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長きブランクの果てに


 昨年12月下旬、転居先を決める少し前くらいから、私は転職の新たな方向性について考え始めていました。

 以前「再就職活動再開」の記事にも記したように、私は転職によって全く違う業種へ転向している経歴があります。
 業種Aから業種Bへ。最近までの業種Bの方が期間は長いのですが、業種Aの方が専門性が高く国家免許も必要でやや稀少となります。
 「再就職活動再開」の記事に記した1件目の求人先は主に業種Aに属し、業種Bはそれに付随するもの。
 面接では、もう業種Aはやらないのかと問われ、業種Aの方ならぜひ採用させてほしいとかなり強めに言われたものでした。
 結局、業種Aで応募したわけではない私はその求人先には採用されず、2件目の求人先に採用されたのですが、業種Aの方ならぜひ採用させてほしいと言われたことは、少なからず私の心に残るものとなりました。
 その後、2件目の求人先に勤めたのですが、「生きている実感のために」という記事にも記したように、働く中である壁にぶつかりました。それは、指示された新たな業務によるもの。
 その業務は求人票に明記されず、面接においても説明されず、全く私が想定していなかったもので、過去に類似の経験もなく、私には非常に苦手とする分野のものだったため、責任が求められるその業務を担うことは、酷く恐ろしく重圧に感じたのです。
 そもそもこういう業務を担いたいがために業種Aから転向したんじゃない、という気持ちになりました。もう相当ブランクが生じてしまっていますが、経験がある分まだ業種Aの仕事の方が役に立てるのではないか、とも。
 そして私は、「本来想定していなかった苦手な業務によるストレスを絶えず抱えながら、物凄く頑張って苦手なことが少しだけ苦手じゃなくなる生活」に楽しみや生き甲斐を見い出せず、退職を決めました。

 その後、これを機に業種Aに戻ろうかな、という思いと、このまま業種Bを続けようかな、という思いに、揺れ動いていました。
 とは言え、業種Aの中でも希望する分野において、私が求人先の条件を満たし尚且つ通勤できそうな距離の応募先がない状況でした。
 ブランクのない人、若い人、自動車の運転ができる人、という求職者を求めている所には応募できません。
 かつて自身が運転していて交通事故に遭って以来、自動車の運転を止めた私にとって、自動車運転の要望には応えられませんし、通勤のためには交通機関の利用が不可欠で、乗り継ぎも含めて時間がかかり過ぎる所は諦めざるを得ないのです。
 そういうわけで、業種Bの求人先5件に応募し、その内3件の面接を受けていました。これがそもそもの既定路線だ、という思いで。
 しかし、転居先を決める時期が近づき、通勤できそうな場所に転居することで、その状況は変えられるのではないかと思ったのです。

 業種A(およびその周辺)に特化したいくつかの求人サイトに登録し、転職エージェントともやり取りして気になった求人先をあたってもらったりしました。
 しかし、「1週間前に新卒で採用が決まったそうです」、「既に充足したとのことです」というような回答が続く状況。私に詳細を告げないだけで、求人先から「ブランクがあって若くもない人じゃねぇ……」と渋られて断られたのかもしれません。
 私は、そもそも試用期間で終了してしまうかもしれないのだから、ある程度どこにでも行きようのある交通の便のいい所に定めた方がいい、と考え、転居先を決めました。
 以前の住居から通勤するには時間がかかり過ぎると思っていたものの、転居した今の住居からなら通勤できそうだ、と思われる求人先に、転居の2日後にハローワーク経由で応募し、その1週間後には面接の運びとなりました。
 午前中に面接を受け、午後には採用の連絡が。更には「2月から来てもらっていいですか?」という急展開。
 かつて業種Aで初めて働いた求人先に次ぐ早さの採用で、やはり条件さえクリアすれば強く求められる職種なのだな、と思わせられました。

 そういうわけで、相当のブランクを抱えつつも、2月から業種Aの仕事に復帰しました。
 懐かしさと時代の流れを感じながら、改めて学ぶことも多く、実習生時代に戻ったようだな、と思ったりしています。
 かつての業種Aの職場を辞めて業種Bに転向したのも、長期に渡って受けたハラスメントに疲れ、ハラスメントを行う特定の人から離れたかったからで、職業自体が嫌いになったわけではなかったのだ、と改めて思っています。
 明日で試用期間は終わりです。
 今まで一緒に仕事をする傍ら色々教えていただいていた先輩が、産休で職場を離れるため、異動で新体制が始まるまでの1ヶ月と数日は、午後の業務は私が主導する立場、という予定になっています。
 サポートしていただける方に恵まれているものの、やはりブランクからの不安は大きいです。
 それでも、遠回りの上でせっかく戻って来た以上、精一杯頑張りたいと思っています。

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