Happy Soul prefecture

東京サヴァイバーという小説を書いています。 時折、18禁判定が付与されているような代物…

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東京サヴァイバーという小説を書いています。 時折、18禁判定が付与されているような代物ですので目を通す際はご注意を。 一応、マガジンで本編と番外編を分けています

マガジン

  • 東京サヴァイバー(18禁

    後藤くんと岸くんが送るBL風ほのぼのゲームライフ 時折、18禁判定が付与されてます。 マガジンの見出し画像は𝕏nii_ottoさんへの有償依頼。 フル画像は私の𝕏でどうぞ。

  • Tokyo Supper Dinner

    東京サヴァイバーのストーリーの外側の話とか、登場人物の紹介等

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【東京サヴァイバー】プロローグ 日本文化の源流

桜、富士山、そして浅草寺。 日本を訪れようとする外国人がまず目を通すであろうパンフレットやガイドブックの表紙に描かれているのは桜、富士山そして浅草寺だ。 浅草寺。 瓦葺に朱の柱、大きく雷門と書かれた大提灯の両側に据えられた神とも悪魔ともつかない恐ろしげな二体の立像。東京に降り立った訪日外国人がまず最初に触れることになるオリエンタルでエキゾチックな日本、東洋的異国情緒が味わえる日本というのが先ず浅草寺なのだろう。浅草寺は訪日外国人の中でもっとも有名な「日本」なのだ。 日

    • 第四十二話 太陽軒

      「なにか食いに行こうぜ」 信号でトラックを止めた後藤が言った。 後藤が珍しいことを言ったので岸は少しばかり驚いた。 「佐川のじいさんのアレでだいぶ時間取られたし、今から晩飯作るのもなぁ」 岸は本のページの端を少しだけ破り折り込むとを本を閉じダッシュボードに置いた。時間はもう18時を少し過ぎていた。確かに佐川が死んだことで和さんの店で刑事に事情聴取をされだいぶ時間を取られた。あの渡部という年かさの刑事は終始とてもにこやかで「申し訳ないですけど・・・」と言った口調を崩すことはなか

      • 第四十一話 失踪女性

        田中がカフェのドアを開け店内に入るとすでに谷が待っていた。 谷がすぐに手を上げ田中を招き寄せた。 田中はワインバー風神で渡部警部補と高価なワインを楽しんだ後にすぐに谷にとりあえずの報告のつもりで連絡したのだが谷は「今すぐに来てください」と言ってきたのだった。仕方なく田中は谷との待ち合わせ場所に指定された、カフェと言うより喫茶店と言った方がしっくりくるこの店に来たのだった。 田中は店内を一通り見まわしてからカウンターの中の老マスターにコーヒーを頼みながら谷が座るテーブルの向かい

        • 第四十話 ギャルカフェ111(トリプルワン

          那奈と谷は友人となっていた。 九時五時勤務の週休二日で土日が休みの那奈と、365日24時間営業の警察官である谷が時間を同じくする機会は多くはなかったが、それでも二人は流行りのカフェに連れだったり、谷の数少ない日曜の休みには二人でショッピングへ行くこともあったし、那奈の通う空手教室に谷が見学に来ることもあった。 「グーテンモルゲン!」 調べてきたのだろう、谷がドイツ語のつもりで挨拶をするが残念ながらそれは朝の挨拶だ。 那奈が仕事を終えてから訪れるような時間では「グーテンダー

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        【東京サヴァイバー】プロローグ 日本文化の源流

        マガジン

        • 東京サヴァイバー(18禁
          43本
        • Tokyo Supper Dinner
          2本

        記事

          第三十九話 壊れ行く女

          山井那奈は床に放られたコンビニおにぎりとオレンジ色のキャップの付いたペットボトルを見つめていた。 もちろん長谷部が那奈の身体を十分に楽しんだ後に放り投げていった物だ。 那奈は相変わらず薄汚れたチューブトップを身に付けてはいたがショーツはもう無かった。長谷部がお楽しみの最中に引き裂いてしまったからだ。そんな長谷部でさえ那奈のチューブトップを剥ぎ取ろうとはしない。そこに長谷部を含む全ての男が望むものはもう無いからだ。そこにあるのは痩せ衰え痣と傷と垢に塗れた身体。 那奈はおにぎりに

          第三十九話 壊れ行く女

          第三十八話 風神にて

          渡部はワインバー風神の前に着いた。 署からゆっくりと歩いてきた。時刻は6時50分だった。 丁度いいな。渡部はドアを開け店内に入った。店内には相変わらず控えめな音量で洋楽がかかっている。ロストインザリズムだ。この店は流れる曲まで実に良い。 こういう静かに酒を飲む店ではどんな曲を流すかというのは非常に大事だ。特に気ならず、時に酒が美味くなる曲を流せばいい。酒を不味くする日本や韓国のくだらん歌謡曲を一切流さないというのはとても大事なことだ。もちろん選んでいるのはラジオのDJだがその

          第三十八話 風神にて

          第三十七話 八つ面の渡部

          「コーヒー買って来ていいか?」 岸のヤツが言った。 二日酔いもだいぶ収まってきたようだが、まだ本を読むほどではないらしい。 今日はもう配達は終わった。あとは帰るだけなんだがコーヒーなら帰ってから淹れてくれればいいんだが今すぐに飲みたい何かがあるんだろう。 「ああ、ドトールでいいか?」 「ああ」岸は指で目頭を押さえながら答えた。 オレたちは間違っても缶コーヒーなんか飲まない。 岸に言わせれば缶コーヒーはコーヒーじゃない何か。らしい。 アレを飲むくらいなら森永かグリコのカフェオ

          第三十七話 八つ面の渡部

          第三十六話 誰が佐河を殺したの?

          「関本さーん、鑑識呼びますよぉ?」 「いや、待ってくれ」 「自殺でしょう?」 「木下、もう一度大家に話を聞いてきてくれるか?」 「またですかあ!?もう三回も聞いてるじゃないですかぁ、すげえイラついてますよ大家さん。さっさと鑑識呼びましょうよぉ」 「いいから聞いてこい!全部だぞ!」 木下と呼ばれた刑事は舌打ちをして部屋を出て行った。 何かあるはずだ。 関本はきつい便臭のする老人の死体から距離を取りつつ、もう二度と動くことの無くなった老人の死体を観察した。ハンカチで鼻を覆っては

          第三十六話 誰が佐河を殺したの?

          第三十五話 山葵を食うと死にかける男は玉子巻きがお好き

          キンキの寿司はマジで美味かった。 キンキってあんなに美味いんだな。 道路にいた連中は(やっと離れてくれたか)という顔でオレを見ていた。 どうせ寿司の味なんかわからないくせに!と思うのは良くないな。 キンキの寿司の味なら道路で飲んだくれている外人連中よりオレの方が分かっている自信はあるが、冷静に考えるとオレは一人前の寿司を出されても食えるのは半分くらいだからな。山葵が入っていなくてもだ。 それならこいつらの方がよっぽど和さんの寿司を楽しめるだろうよ。 オレが岸と田中さんの元へ

          第三十五話 山葵を食うと死にかける男は玉子巻きがお好き

          第三十四話 The rolling stones that won't stop until Go To dies.

          金の問題じゃない。山崎。アレは大事な酒だったんだよ……。 オレと和さんの様子がおかしかったから?和さんの機嫌を取るためにアレを、山崎を開けちまったってのか・・。違う、機嫌が悪かったのはオレの方だったんだぜ。 アレは、山崎はあの女が買って来てくれたんだ。しょっちゅう海外に連れまわされていたのに安い給料で買って来てくれた大事な酒なんだ。でもあの女の名前が思い出せない。 いや、オレはあの女を思い出しちゃいけないんだ、捨てたんだから。 あの時、桐さんがオレの隣に立って左手を見せた

          第三十四話 The rolling stones that won't stop until Go To dies.

          第三十三話 The Rolling Stone

          エビス屋の半地下の作業場に三人の男がいた。 一人は久磨で気絶し床に倒れていた。 一人は後藤で不敵な薄い笑みを岸に向けて立っていた。 一人は岸で銃を後藤の額に向けていた。 「思えば佐河のジジイが死んだ時から色々と上手く転がり始めたよな」 後藤が倒れる久磨を見ながら満足げに言った。 「田中さんを殺したのも上手くいったというつもりか?」 岸は抑えられない怒りを滲ませつつ銃口を後藤の額から外さずに詰った。 それを言われては後藤もさすがに薄笑いを消した。 「いや、田中さんには悪

          第三十三話 The Rolling Stone

          第三十二話 二日酔いの朝

          後藤が朝の日課のようにアラームのスヌーズ機能とのネゴシェーションをいつもより1回少なく終わらせベッドから立ち上がった。 飲みすぎた次の朝はどうしても体がダルく、いつまでも布団の中にいるとダルさがそこにドンドンと貯め込めこまれてくるような気がするので、それならばいっそ起きたほうが良いと思うからだ。 まず洗面台へと向かい真冬の朝の冷水で顔を洗う。これだけでかなりスッキリした。そして歯を磨き、最後に洗口液を口に含みさっぱりさせる。 タオルで顔を拭いてから机の引き出しを開け、クー

          第三十二話 二日酔いの朝

          第三十一話 天使と宴と玉子巻き

          後藤がボーっとした顔で二人並んだベトコンとサキタンが和さんが握る寿司を食べているのを見ていた。 ベトコンのヤツ、ちゃんと左利きのサキタンの右に座っている。軍人のわりには意外にもそういったところの気遣いは出来るんヤツなんだな。まあ右か左かの二分の一なんだが、でもたまたまじゃないみたいだ。ベトコンのヤツが右手に持った箸の使い方はベトナム人とは思えないほど不器用だ。あいつも左利きだからな。左に座るサキタンの邪魔をしたくないってちゃんと考えているんだろう。なんせサキタンは間違っても

          第三十一話 天使と宴と玉子巻き

          第三十話 パーティー

          念のため和さんに連絡をしたが足りない物は特にないとのことだった。 そう、和さんは大事な結婚パーティーの直前になってから「すまん!アレが足りないんだ!」なんてことを言う人じゃないからな。あんなに小さくて貧乏外人どもを相手にしているような店なのに和さんは本当にしっかりしているし、抜けてるところなんて一つもないしいつも正しいし、なによりメシが美味い。 夕方になり陽が落ちて外が暗くなる頃にオレたちは和さんの店へと向かった。岸のヤツが何か大事そうに何か包みを抱えていたがオレたちはタク

          第三十話 パーティー

          第二十九話 ダウト。

          後藤のスマホからメタルなインストルメンタルがけたたましく鳴り響く。 後藤はスマホのカバーを開き左にスワイプしてから布団をかぶり直し、もう一度眠りにつく。 五分後、再びスマホが時間を告げた。 はあ、分かってるよ。でもさこの一年で一番寒い時期の一番寒い時間の五分ってのは本当に至福の時間だよな。後藤は再びスマホの画面を左にスワイプする。 時間が吹っ飛ぶって不具合はあるけどな。見てろ?(1・・2・・3・z・・z・zzz) いい加減にしろ!とスマホが叫ぶ。 ほらな、4秒しか

          第二十九話 ダウト。

          MAEVEの法

          東京都心の地下にあると噂される会員制秘密倶楽部MAEVE。 それは実在する、雑司が谷から護国寺にかけての広大な地下に。 MAEVE。 そこを訪れる者には天国だが、そこに堕ちてきた者には地獄でしかない。 地の底にあるMAEVEに日本の法は迄ばず人権や生存権と言った屁理屈も通用しない。 MAEVEになんらかの権利が存在するとしたらそれは数十万年前から人類が持つ、本来の意味での人権だろう。 いや、この権利は数億年前からこの地球に存在した全ての生命体が持つ権利。 それは他者を殺

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