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指でゲラを修正する

僕にとって執筆の仕事で嬉しいことのひとつは「何度でもやり直せる」ことです。アーティストはお客様の前で演奏しているときはミスできませんし、営業は顧客に一度言ったことは無にできません。
小説家は時間が許す限り原稿を修正できます。現代の作家はPCで作業を行うので、跡を残すことなく、いくらでも修正できるわけです。
ただ、跡が残る作業があります。それがゲラを修正する作業です。

小説を脱稿した後、小説家にはゲラを修正する作業があります。書き上げた原稿に校正の人が誤字脱字や、おかしな表現に赤を入れてくれた組版を、著者がチェックします。

「夏のピルグリム」では、ゲラの作業をすべてPDFで行いました。紙のやり取りをせずに、タブレットPCに表示したPDFに赤を入れて、作業が終わったら編集の人に送信してゲラのやり取りをしました。
送料がかからないだけじゃなく、僕みたいに地方在住の作家だと、受け渡しのタイムラグがなくなるので、良いことばかりです。

使用したタブレットPCは「Amazon Fire HD 10 Plus」です。僕が持っているモデルは、手首を置いても反応しない「パームリジェクション機能」がないので、書き込むときに手首を浮かさないといけないので、とても書きにくかったです(手袋をはめる方法もあるのですが、いちいちするのも面倒です)。スタイラスペンで書くと、手のどこかの部分が画面に触れてしまい、誤動作してしまいます。

そこで編み出したのが、「指で書く」という手法です。PDFを拡大して、指で書き込むと誤動作がほとんどしなくなりました。ペンを握るよりも、人差し指を伸ばしたポーズの方が、画面から手首が離れるからです。

これが結構新鮮な体験でした。大人になってから、指でなぞって文字を書くことがないので、砂浜に字を書いた子供の頃を思い出しました。
指で書くとペンも不要なので、タブレットPCがあればどこでも作業がd系ます。
指で書くことに慣れると紙でのゲラ修正に戻れなくなりました。
一度お試しください。思ったよりも綺麗に書けますよ。


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