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いろいろなジャンルの小説を書くメリットとデメリット

いろいろなジャンルの物語を書いてきました。恋愛、ミステリー、青春もの、SF、社会派サスペンス、時代小説、童話などなど。書いたことがないジャンルは、ホラーぐらいですかね。スティーヴン・キングが好きで本格的に小説を書きはじめたのに、なんでだろう。

高校の時に初めて書こうと思った本格長編小説は、そこらじゅうから蚊が飛来するホラーでしたが、完結できなかった記憶があります。大まかなあらすじは覚えているので、いつか書き上げたい気もします。

話が逸れました。
いろいろなジャンルの小説を書いた理由は、筆力を上げるためと自分がどのジャンルに向いているか模索していたからです。
様々なジャンルを書いたことで、視野は広がった気がします。特にSFですね。そこまでSFを読み込んできた方ではなかったので、いくつか名作と呼ばれる小説を読み直していたら、面白そうなアイディアが浮かんだので書いたのが、「アインの追憶」です。

色々なジャンルの物語を書いたことで、どんな話でも書ける自信はつきました。
Amazon Kindleにアップしていたときは、どの小説が人気になるか試したこともあります。なかなか閲覧数が伸びなかったので、あれこれ実験的にジャンルを増やしました。

様々なジャンルの小説が書ける自信がついたのは良かったけど、デメリットもあります。
それは、小説家としての色が定まらないことです。いろんなジャンルの小説があると、この作家は一体なにを書く人なのか読者は混乱する気がします。
恋愛小説を読んで、僕の小説が好きになった読者さんは、おそらく次も同じような話を読みたいはずなのに、次回作がSFやホラーだったら、「おいおい、全然違うじゃん」と思うでしょう。

Kindleの場合は、読み放題ということもあるし、出版数も多いので、自分が好きなジャンルだけ選んで読めば良いと思いますが、たくさんの本を出版するわけにはいかない商業出版だとそうはいきません。
前作を読んで面白いと思った人が、次回作も買ってくれるでしょうから、前作と似たカテゴリーの本を出版して、「この作家はこういう雰囲気の物語を書く」と認識してもらうことが大事です。

スティーヴン・キングがデビュー作「キャリー」の後に「呪われた町」を書いたとき、編集者から「超能力少女の話の次に吸血鬼の話を書いたら、そっち系の作家だと思われるけどいいのか?」と聞かれたそうです。
2作目が作家の色を決めてしまうということなのでしょう。吸血鬼の小説を書くと、いわゆる一般的な文芸作家のラインから少し外れてしまったのでしょうね(キングがデビューした50年前は)。
でも、キングは、「キング・オブ・モダンホラー」と呼ばれ巨匠として今も君臨しているわけですし、売れてからは、「スタンド・バイ・ミー」のような文芸作品の枠に入る傑作も出版しています。

僕の場合、商業出版でいうと、「夏のピルグリム」は2作目に当たります。ただ、一作目の「ふたりの余命 余命一年の君と余命二年の僕」はAmazon Kindleですでに出版していた「ふたりの余命」が元になっていますし、「夏のピルグリム」は新人賞の応募作です。
商業デビューしてから書いて本になった作品はまだありません。次回作が、作家としての色(そして力量)を決める重要な一作になると思いますので、慎重にそして真剣に考えて書いていきたいと思います。

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