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ひとりっ子が多い

自分の小説を振り返ってみると、ひとりっ子が主人公の物語が多いことに気づきました。
ふたりの余命」の主人公は、ふたりともひとりっ子です。大人が主人公だと兄弟の有無が言及していない場合もありますが、兄弟ががっつり登場する話は「くじらの夢」ぐらいじゃないかな。

兄弟が登場しないのは、そもそも家族が登場しない小説が半分ぐらいあるからです。
家族ものと家族以外の話を交互に書いているので、兄弟どころか家族も登場しない物語が全著作の半数になります。

家族が登場する小説でも、ひとりっ子の設定が多いのは、兄弟が出てくると家族にべったりしすぎる気がしちゃうからです。
兄弟というのは関係性がきっちり決まっている気がして、会話が型通りになる感じがするんですよね。
上の兄弟だと主人公を諭す存在で、下の兄弟だと主人公にないものを持っているような。他の関係性ももちろんあるんだけど、今の関係を気にしないようなら兄弟を物語に登場させる必要がないですよね。

中高生が主人公だと親との葛藤を題材に採用することがあります。兄弟がいると、親との関係がぶれる気がします。
上の兄弟なら親の主張を翻訳して主人公に伝える役割を与えたり、下の兄弟なら親に好かれていて、主人公と親との対立を際立たせることができますが、物語によってはそれらの関係は重たすぎるような。
兄弟を抜きにして、親と子の対立を描いた物語の方がスッキリすることが多いです。

ひとりっ子ばかり描くけど、ひとりっ子の本当の気持ちはわかっていないかもしれません。自分には妹がいるのでひとりっ子ではないのですが、ひとりっ子のマインドの方がしっくりくるんですよね。自分の兄弟が妹だったからかもしれません。子供の頃に長い時間を共有する兄や弟だったら、また違うんでしょうかね。

いつかは兄弟の物語をじっくり描いてみたい気はあります。兄弟の物語でパッと思いつくのは、成田美名子さんの「CIPHER」です。双子の兄弟が主人公の漫画で、兄弟同士の愛情と対立が絶妙で、いつか「CIPHER」みたいな物語を書いてみたいと思っています。

初の商業出版です。よろしかったら。


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