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[小噺]中学校時代、一番怒られたこと

中学校の頃、僕はとにかく先生に怒られた。
怒られすぎてもはや、どれが一番怒られたのか分からなくなっている。
だけど、恐らくこれが一番ではないかと思うものがある。
今回は、そんな話をしたいと思う。

中学二年生の頃
国語の授業は、振替授業などがたくさんあり
他のクラスよりも、大きく進度が取れていた

あまりにも、早く進んでいたらしいので
どうやら次のテスト後に控えている書道の練習をさせることで
他のクラスとの差をなくそうとしていた

ただ、書道バッグを使う初日
僕の手持には書道バックは無かった

国語の先生は元ヤンキーという噂が自然に立つほど
おっかない先生で
怒りすぎて椅子をぶん投げたこともある先生だった
だから、僕は委縮しながらその先生と関わっていた
もちろん、他の生徒も同様に委縮している人が多かった

書道バッグを忘れたことを先生に言う

他の生徒も何人か忘れていたので
ホームな環境で怒られることとなった

しかし、先生は別段怒ることもなかった
その代わり、原稿用紙2枚分の反省文を書かされることになった

原稿用紙2枚分も反省することもない気がするが
怒られなかったという喜びが勝ってしまい
他の生徒が書道の練習に励む中
原稿用紙三枚半も書く大作だった
先生も感心していた




その翌日

僕は書道バッグを持たずに学校に着いていた

これほど自分を呪ったことがあっただろうか

しかも一時間目からだった

他のクラスの人に借りようかな
そう思ったが
そういえば、書道をやっているクラスはこのクラスだけ

絶望的だった

何かの手違いで先生が休んでくれないか
何かの手違いで書道が無くなってくれないか

友達に相談しても、笑って背中を叩かれるだけだった

一時間目の時間が近づいてくるたびに早くなる鼓動

休んでいる人の書道バッグを探したり
落とし物ボックスを見に行ったりと
やれることは全部やった

その時、教室の前扉が開いた

僕は小さな声で「あっ」と声を出した
国語の先生は腕を組んで教卓の前の椅子に座った

タイムリミットは確実に近づいていた

心臓の鼓動は体全体に鳴り響いた

その鼓動に掻き立てられるように
授業が始まる前に公開処刑上に向かった

「あの、すいません。今日も書道バッグを忘れてしまいました」

僕は怒られるなら
豆電球のフィラメントが電流の長し過ぎで切れるように、呆れられるか

火に油か どちらかであろうと思った・・・

その後のことは言うまでもない

まぁ、一つ書くことがあるとすれば

教室内で立ち上がっていた人たちは

授業時間外にも関わらず、話をやめて自分の座席に座っていたり
他のクラスに避難していたりしていた




国語の授業を終えた自分は、どこか胸を張って廊下を歩いていた
あれだけ先生に委縮していた自分を少しだけ笑いながら
「今、あの先生に委縮してないのは俺だけなんじゃないか?」って
馬鹿らしく笑いながら



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