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デザインにまつわるゲリラ合戦

ことのあらすじ

弊社で今もなお案件対応している某スポーツインストラクター派遣事業で起きたデザインにまつわる問題…..。自業自得ではありますが、幾多の苦しみと悩みに苛まれた体験であったため、この体験から学んだことを皆様にお伝えできれば幸いです。

お伝えしたい問題というのは、WEBシステムを開発する上で必ず絡んでくるデザインに関する要件整理や制作に関することです。

想定しておけば回避できる問題を普通に起こしておりました。
主に以下の通りです。

・コミュニケーション不足によるデザインの破綻
・無限にひっくり返るデザインの要求
・市場のニーズを無視したデザイン改修の要求

見ただけで苦しくなってきますが、決してクライアント様が悪いわけではく、本来事前に説明が必要であったことを明確に説明できていなかったことに一因があります。それぞれについて詳しく見ていき、最後に結論をお伝えさせてもらえたらと思います。

コミュニケーション不足によるデザインの破綻

まず前提として弊社は、このプロジェクト立ち上げ時からデザインを全て担当していたわけではありませんでした。弊社側では、画面のワイヤー作成を担当し、作成したワイヤーを先方クライアント様の専属デザイナーにお渡して「デザインの提案」と「コーディング」をしてもらいました。

デザインの提案に関しては、ワイヤーをもとに、フォトショやイラレを使って実際に画面イメージを作ってもらい、クライアントと同意したら、実際の制作作業に入る感じです。
よくあるWEBの制作工程で起きる流れですが、コーディングが終わった段階で1つ目の問題が起きました。

弊社では、Vue.jsを使って画面を実装する想定でおり、納品されたものを弊社側で構築しているシステム(Laravel + AWS)に繋ぎ込む作業があるのですが、受け取ったものがjQueryを使ったもので納品されたため、元々画面側で作られていたイベント(ボタンをクリックしたら文字色が変わる/親メニューを押したら詳細メニューが出る)が全て動かなくなる事象が発生しました。

この時点で、作業破綻が起き、制作会社が作ったコードをVue.jsの動く形式に作り直す羽目になり泣きそうでした。(手伝ってくれた弊社エンジニアにはとても感謝しておりますmm)
この問題の原因は、先方のデザイナーに弊社が使っている技術要素を加味した相談をしていなかったことでした。

正しい依頼方法としては、

Vue.js側で動的な処理は弊社で対応するので、HTML/CSSのコードだけ使ったものを作って欲しい

と依頼すべきだったということです。
WEB制作では、HTML/CSSだけではなく、jQueryを使った動的な部分にまで見積りに含まれているため、その部分のコストが丸々飛んでいき、それを弊社が巻き取る形になったということです。火事場の鬼改修(心の中で界王拳を何度も発動してました。)でどうにかしましたが、もう起こしたくないです(笑

無限にひっくり返るデザインの要求

これはリリース直前に起きたことです。当時は動画配信サービスを構築しており、大体4ヶ月ぐらい(軽微改修は置いといて)で実装することができました。デザイン破綻問題もなんとかクリアし、いざ市場へ投入!と意気込んでいたら、先方クライアントの役員から、

「何か色が違うんだよね….」
「前に参考に送ったサイトだと、もっと綺麗に見せてるよね?」
「トップのコンテンツ少なくね?」
「余白多いな。。なんか物足りないよね?」

あれ?FIXしたデザインはなんだったの?と私は唖然としてました。
色も先方のデザイナーさんが提案してくれたもので同意を取れていたし、スタート時点でコンテンツは少ないので、まずは売上にコミットして市場に出してみて反応を測るのが良いと思っていましたが、クライアント様としては「このままでは、出せない。」ということで、改修が入ってしまいました。

そして、次の打ち合わせで再度修正案を持っていくと、今度は、

「ボタンの位置もっと上がいいんじゃない?」
「トップのコンテンツ欄に新しくスライダーを増やしてください」
「ボタンの色が弊社のサイトカラーにあってない」 ….etc

とボロボロ出てくる。

さらには、

「最初って会員さん入りづらいから、1ヶ月間無料にするだけじゃなくて、キャンペーンでアンケートに答えたら無料期間延長する仕組みを作りましょう」
「元々決めてた価格を変更して、新プランを作りましょう!」

というように、デザイン以外の要求も出てきて、ベースとなるシステムにも手を加える事態が発生しました。
正直もっとたくさん覚えていられないぐらいの要望がありました。

このやり取りがなんと約1年近く続きました。その間にもシステムの運用コストや動画の制作コストなど膨大にかかっているはずなのに、なぜかそのやり取りが延々と繰り返されました

最初は、先方の意思決定に問題があるんじゃないかと考えていましたが、色々考えていくと、我々の進め方にも問題はありました。

色々要望が出ているものをひたすら修正していましたが、このやり方は作業スケジュールが破綻する上、予算も切れ、せっかく作ったサービスも世に出ないというデメリットしかありません。

バスケットボールのように、まずはタイムアウトを設けて、方向性の確認や
今やるべき作業のスコープを絞って、いかにユーザへ早く提供するか?といった視点からの提案をすべきだったと今では思っています。(某バスケマンガのA先生がいたら、タイムアウト発動してたと思います。)
本当に当たり前のことで恥ずかしいですが、作業メンバーが少ない中だと陥りやすい事象だと思いました。

ここで取れた対策としては、クライアントへ、

・現場の事業としての展開ラインを再認識してもらう
・我々は開発を受けつつ、クライアントの先にいる利用者(サービスを使うユーザ)を見据えた提案をする
・元々定義していたスケジュールの差分を伝え、スケジュールの引き直し

をするともっと状況は変わっていたのではないかと思います。
こんな状況だからこそ、リスケを提案して方向転換を提案すべきでしたが、当時は沼にハマって気づきもしませんでしたorz

市場のニーズを無視したデザイン改修要求

さて、ようやくサービスをローンチしてから数ヶ月経った頃、既存のシステムに新しい機能を入れる話が出てきました。この辺は、サービス力を上げていく上では当たり前の流れではありますが、2点問題が発生しました。

クライアント内で起きていたことですが、役員同士でレイアウト/デザインに関する議論が白熱し、「俺は絶対こうした方が良い」、「いや、他のサービスはこうやってるからこうあるべき」という感じで、話の収拾がつかず、打ち合わせが毎日深夜まで続く時期がありました。(この議論には弊社も毎夜2時ぐらいまで毎回同席してました。)

議論していいものを作っていくのは、すごく大事ですし、会社としてユーザに何を提供していくべきかを決める重要な場でもあります。

しかし、本来ターゲットとすべき、ユーザは誰かという大事なポイントは置いておいて、クライアントの各々の考えで、意見を言い合って、無駄に時間を浪費する瞬間も多くありました。

今ターゲットとしているユーザが、

「どんな課題に困っている」
「どんな解消方法を求めている。」

という前提(ビジネス解いて当たり前ですが)があり、それを汲んだ上で、デザインやレイアウトを落とし込んでいく必要があるのに、他の競合サイトと比較した見栄えやカラフルさなど、目先の対応に時間をかけてしまっておりました。

このことから、デザインやレイアウトを組む前に、「誰に提供するか」を前提とした進め方をちゃんとクライアントに提示していこうと思いました。

現状はまだまだ苦戦しているので、いい方法あったら教えてください(笑

最後に

正直現役のデザイナーさんからしたら、「当たり前だろ」という話も多々あると思いますが、自分への戒めと、これから対峙するクライアント様にはより配慮して弊社のサービスを受けてもらえるようにしていきたいと思いました。

流石に弊社だけではデザイン力は足りず、外部から専任の顧問をつけて、
アドバイスをもらうようにしていますが、会話をする中で

デザインスキル以前に、コミュニケーションがしっかりしてれば手戻りも少なくなり、品質も上がりますよね

という言葉を聞いて「真理だなー」と感じました。

割と当たり前の土台がしっかりしていないと、本来のスキルにも影響してくるという経験を得られました。

いやー、大変だったけど、デザインの奥深さを知ることが出来て良かったっす!


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