ヒツジ

読むこと大好き人間です。 昔から物語を考えるのが好きで、一歩踏み出してみようと小説を書…

ヒツジ

読むこと大好き人間です。 昔から物語を考えるのが好きで、一歩踏み出してみようと小説を書いてみてます。

マガジン

  • 長編小説「10」 完結済み

    連載していた「10」という小説をまとめました。前作「49」の続編になりますが、読んでいなくてもわかる内容になっています。 創作大賞応募用に書いたあらすじが第1話の前にありますが、中盤までのネタバレも含まれます。ネタバレしたくない方は、第1話【価値のない金貨】の部分から読んでいただくことをオススメします。 ファンタジーですが人間描写を主にしていこうと書いたので、興味のある方は読んでいただけたら嬉しいです。

  • 短編小説「49」 完結済み

    以前連載していた小説をマガジンでまとめました。「10」という続編も別のマガジンでまとめてます。 弟を亡くした男、サカド。 姉の恩人を探す少年、ナズ。 心を閉ざして生きていたサカドは、ナズの旅に同行することで弟の死を受け入れ始める。 一方のナズも、旅の理由は他にあるようで……

最近の記事

「10」第42話 【完結】

【この10年をともに】 地上での目的を果たし、俺たちは無事に地下に帰って来た。 今回のためにたくさんの人が力を貸してくれた。俺とトーカはお礼と無事戻ったことを伝えにみんなの所をまわった。 ラボのみんなは地上に上がる箱がきちんと機能したことを喜び、プティさんが更に改良版を作ろうと目を輝かせるのをサリさんが止めていた。 ノーマには武器を整備してもらいながら今回のことをずっと話していたら「うるさい!」と部屋を追い出された。 みんな相変わらずだ。 フォーラは念の為サカドに危険が

    • 「10」こぼれ話3

      いつも読んでくださる方、スキしてくださった方、ありがとうございます。 いよいよ明日で「10」も最終話を迎えます。 決して短くはない話を読んでいただき、また応援していただき、ありがとうございました。 最終話の前にこぼれ話を少しだけ載せておきます。楽しんでいただけたら嬉しいです。 ・34話おまけ マイトは5人兄弟の一番上です。弟2人と妹2人がいます。今は軍の寮に入ってるので離れてる暮らしてますが、毎日連絡はとってるみたいです。 ・35話おまけ 1話で出てきたトーカの写真は

      • 「10」第41話

        【こたえ】 姉?ナズに姉がいたのか? 不思議な顔でトーカを見ると、トーカも戸惑っていた。 「姉と言っても、本当の姉じゃなく自分の前のヤドだと言っていた。たしかナノカさんだったかな」 トーカの妹さんのことだ。まさかこんな所で妹さんの話がでるなんで。トーカがピクリと反応したのが見えた。 「ヤドというのは役目の前に49日間旅をする決まりがあるのか?」 「そうです」 地上の様子を知るためだと、トーカがこっそり教えてくれた。 「その旅から帰ってくるとナノカさんがまるで別人の

        • 「10」第40話

          【終着点】 「狭い………」 ジンとの話し合いからニヶ月。怪我もすっかり回復した俺は、いよいよ地上を目指していた。………トーカと一緒に箱に詰められて。 「なんで荷物扱いで地上に向かうんだよ」 「仕方ないだろ。テラスタワーには所狭しと監視カメラが仕掛けられてるんだから。生身でなんて行けません」 だからって箱に詰めなくても。 「それにこれはラボが作った一級品だよ。あらゆる機器を欺き中に人がいることを悟らせない。外からは貴族がバカンスを過ごすための旅行荷物だと思われてるだろ

        「10」第42話 【完結】

        マガジン

        • 長編小説「10」 完結済み
          45本
        • 短編小説「49」 完結済み
          12本

        記事

          「10」第39話

          【そのために】 「昔々ある所に、心優しい夫婦がおりました」 ジンは子供に寝物語でも聞かせるように話し始めた。 「夫婦は困っている人を助けることが大好き。いつも一人息子にこう言っていました。『弱い人を助けなさい。あなたの手はそのためにあるのだから』息子はその言葉を信じて毎日夫婦の人助けの手伝いをしていました」 あなたの手はそのために…… ジンの手を思い出す。血に濡れたあの手を。 「でもある日、夫婦は殺されてしまいます。神の塔の利益を独占している貴族達がいることを知り、

          「10」第39話

          「10」第38話

          【秘密】 「これで協力者は揃ったな。あとは地上に出入りできる人間でサカドという人の情報を集めてもらってる間に、細かな計画を立てていくか」 ロウからの依頼のあと隠れ家に帰ってきた。今は作戦会議中である。 「ヒスイはしばらくやる事もないし、アジトに帰るか?」 「え〜。じゃあ俺もついてく〜」 「お前は俺と作戦の下準備だろ。というか、アジトには連れていかん」 「そうか。俺も一緒に地上に行くんだもんね」 「不必要に大勢で行ってどうする。行くのはヒスイと俺だけだ」 「なんで!ズルい

          「10」第38話

          「10」第37話

          【一言】 犯人との格闘のあと、孤児院の人に手当てをしてもらいロウが来るのを待つ。犯人はロープを借りて縛ってある。ハイルは抜け殻のように大人しく座っていた。 「おや。これはトーカに怒られるな」 やって来たロウは俺の腕の傷を見て、こともなげにそう言った。 「あの、ハイルの様子がおかしいんですけど」 俺の腕はともかく、完全に生気の抜けてしまっているハイルが気になる。 「ああ。これはまた盛大に壊れてるね」 「壊れ……大丈夫なんですか⁉︎」 「いや。これは復活するまでかなり

          「10」第37話

          「10」第36話

          【思い出して】 「ハイル。今日の任務でお前に同行するジェイドだ」 「ジェイドです。よろしくお願いします」 ロウに連れてこられ、俺は教会の支部にいた。神父の服に身を包み、顔をベールで隠して新人としてハイルに紹介されている。いや、声とかでバレないか普通。 「そのベールは何です?」 「孤児院で酷い虐待を受けてね。顔に傷があるんだ。まわりを怖がらせてはいけないから隠してるんだよ」 「そうですか」 ハイルに疑う様子はない。と言うより他人に興味がなさそうだ。 「ジェイドと言った

          「10」第36話

          「10」第35話

          【人形】 民家が立ち並ぶ郊外にある教会。その一室でトーカと俺は次の協力者候補と会っていた。 「初めまして、ヒスイ君。私はロウだ。よろしく」 ロウと名乗った男はスーツに身を包み、一見すると貴族か何かに見える。 「よろしくお願いします。あの、ロウさんは教会の方なんですよね」 「ああ、この格好のことかい?君たちの組織に協力するのは教会への背任行為になるからね。変装だよ」 爽やかに笑うその姿は好青年そのもので。警戒心なく接してしまいそうになるが、なぜか俺の横にいるトーカがず

          「10」第35話

          「10」第34話

          【未来を見る】 翌日、俺たちは隠れ家でソワソワと来客を待っていた。昨日の結果を直接伝えたいと、大佐がここに来ることになっているのだ。 「お茶とお菓子これでいいかな?甘い物より辛いもののほうが好きかな?」 「クキ、お茶会にくるんじゃないぞ」 「だって粗相があって協力者の件が無くなったらイヤじゃない」 ミリッサを迎える時はこんなに緊張してなかったのに、やはり地上への協力がかかってるとなるとみんな緊張している。 そうやってバタバタしていると玄関がノックされた。 「ミリッサだ

          「10」第34話

          「10」こぼれ話2

          いつも読んでくださる方、スキしてくださった方、ありがとうございます。 先ほど「10」最終話を書き終えました。全42話になります。 最終話までは毎日1話ずつアップする予定です。なんとか5月中に完結できそうです。 こぼれ話がまた溜まってきたので載せておきます。クライマックスまでの箸休めにどうぞ。 ・22話おまけ サリにもらったブレスレットの玉はエネルギーを充電すればずっと使えます。もし壊したら謝って直してもらうのでしょう。 ・23話おまけ クキは仕事に合わせて居場所を変え

          「10」こぼれ話2

          「10」第33話

          【赤】 なんでジンがここにいるんだ! 予想外の人物の登場に思考が停止する。俺が追いかけていた男も訳が分からず立ち尽くしていた。 「ヒスイ君、大丈夫!」 1人目を拘束し終わったマイトが駆けつけてきた。俺を庇うように前に出る。 「あれ?軍の人間?」 ジンの言葉に咄嗟に体が反応した。 捕まえるべき男を庇うように前に立ちナイフを構える。マイトに大声で指示をだした。 「マイトさん!この男を保護して下がってください!」 「ヒスイ君?しかし………」 「早く!」 俺の迫力にマイ

          「10」第33話

          「10」第32話

          【残党狩り】 「お久しぶりです。ミリッサ大尉」 「ああ。元気にしていたかね、ヒスイ君」 トリ家への潜入から半月。次の仕事の説明をするためにミリッサが隠れ家やってきた。俺とミリッサはソファで向かい合い、クキとトーカが後ろで話を聞いている。 「協力者のことは私も聞いている。軍の人間も必要だろうと、うちの大佐が名乗りをあげてね。今回君をテストすることになった」 「大佐?ミリッサ大尉が協力者ではないんですか?」 「私では地位が低いからな。大佐は君の組織にも協力しているし理解のあ

          「10」第32話

          「10」第31話

          【ありがとう】 トリ家での仕事を終え、次の仕事が決まるまで俺たちは隠れ家で過ごしていた。アジトに戻れないのは少し寂しいが、クキが嬉しそうにしているのでこれはこれで良かったんだろう。 朝食の片付けも終わり、ゆっくりしていると玄関がノックされた。 「アルア!」 クキが扉を開けるとアルアが笑顔で立っていた。 「え?まだ仕事入ってないよね?どうしたんですか?」 「いや、時間ができたんでな。トレーニングをサボってないか見に来たんだ」 ニヤリと笑われる。久しぶりのその雰囲気に嬉

          「10」第31話

          「10」第30話

          【理由】 火曜日。朝からイスは落ち着かない様子だ。おそらく今日、取引があるのだろう。俺とクキは屋敷から離れることができないので、ここから先はトーカ達の仕事だ。 使用人としての仕事をこなして過ごす。ただ、心は上の空だ。 「ボーッとしてるね。トーカ達が気になる?」 俺の様子が変なことに気づいてクキがこっそりと聞きにきた。 「あ、ううん。そっちは全然心配してない」 「そっちは?」 言えない。コトラのことが気になるだなんて。彼を利用して彼の父親を嵌めた人間が今更心配してるだ

          「10」第30話

          「10」第29話

          【あなたが私にくれたもの】 次の朝、トーカが野菜の配達員に扮して屋敷にやってきた。 「ご苦労様です。あとは我々が運びます」 「は〜い。いつもありがとうごさいます」 目で合図される。箱を開けると蓋に小さな箱がくっついていた。中には小さな黒い玉。発信機だ。 「服のどこかに押しつければくっつくよ。つけた人の位置がわかるようになってて、一応盗聴器としての機能もあるみたい」 今朝、部屋を出る前にクキから発信機が届くことと簡単な説明を聞いた。これであとはコトラに呼び出されれば、

          「10」第29話