日本の道交法に物申す…はずなのにナナサンマルを語っていた|Essay
日本の道交法では、歩道や路側帯がない道路なら人は右側を通行しなはれ!となってますよね。
だけど、公園や駅や図書館などでは左側を歩くように矢印で指示されてるし、上りと下りが並列するようなエレベーターでも時計回り、すなわち左側を通るような建てつけなんですよね~
そんなどうでもいいことを、なんか一貫性がなくて気持ち悪いなあと思ってしまう人なんですよ、わたしって。
左側を歩くのは、武士は刀を左腰に差しているから鞘がぶつからないように説とか、店の看板を見るときは視線が左から右に動くからという左側パラダイスの法則とかに説明が求められたりしてます。
読めば納得なんですが、じゃあハナから歩行者は左側・車は右側ルールにしとけよ!ってことになりませんか?
なんでも1960年制定の道交法以前にも、日本では「人力車が行き合った場合には左に避ける」という決まりがあったみたいですね。
イギリス式を近代化のお手本にしていた明治期のどこかでそうなったんだろ的に思いこんでいたので、少し意外でした。
だけどだけど、世界の7割以上の国で通行帯が逆なんです。
われわれは肩身が狭いし、海外でレンタカー借りるのがこわい。
だから歩行者は左側・車は右側ルールにしとけよ!って2回言いますね、腹立たしいので。
でもなあ、いまさら通行帯の切替えなんてできないよ、って思っているそこのアナタ。
できるんです。世界にはあるんですよ、そんな国が!
スウェーデン
ノルウェーやフィンランドなどスウェーデンの周辺国が右側通行であったため、国境を越える交通の安全性と効率を向上させるために、1967年9月3日、右側通行に変更しました。
多くの車が左側通行に適した右ハンドル車だったため、国民はたいへんだったみたいです。
アイスランド
1968年5月26日、アイスランドも左側通行から切替えました。
同じく周辺国が右側通行であったからと言われてますが、えっ、島国じゃんってツッコミたくなります。
イギリスの占領下だった時期があったんで、反発したかっただけかもって思ってしまいますね。
サモア
サモアはもともと右側通行でしたが、オーストラリアやニュージーランドから輸入される中古車の多くが左ハンドル車なので、2009年9月7日に左側通行に変更しました。
世界に逆行して右側から左側に変えるなんて、サモアは強者ですね~
でも遠くから輸入しなくて済むし、この変更で交通安全性は高まりましたとさ、めでたしめでたし。
・・・
あれっ、なんか忘れてませんか?
そうです、沖縄ですよ。沖縄も通行帯の切替えがあったんです!
沖縄は第二次世界大戦後、アメリカ統治下にあって右側通行でした。
1972年に沖縄が日本に返還され、遅れること6年、ようやく1978年7月30日(ナナサンマル)に本土と同じ左側通行に変更されたんです。
それでやっと、一国一交通制度というジュネーブ交通条約を遵守することができたんですね。
でも、道路の再舗装や車線の再配置、交通標識や信号の位置の変更、県民に新しい交通ルールを周知させるための大々的なキャンペーンなど一大事だったみたいですよ。
どうやら切替え作業は前日22時から当日の朝6時までのわずか8時間で行われたそうです。
県全域で自動車の通行が禁止されました。
幹線道路ではあらかじめ左側通行用の標識や信号を設置し、当日までそれらをカバーで覆っていたそうです。台風来なくてよかったですねえ。
当日の交通整理は沖縄県警だけでは対応できず、警視庁をはじめ全国の都道府県警から応援部隊が駆けつけました。
にもかかわらず、やはり県民の戸惑いは大きく、交通事故が多発しました。
ある現場の技術者などは、ナナサンマル前の月の残業時間が250時間にも及んだそうです。
人命に関わることなので国の検査官の要求は厳しくて、施工業者との間の板ばさみでとても苦労したと思い出を語っています。
あまり知られていませんが、このタイミングで那覇バスターミナルも改修されています。
もともとここは戦前に沖縄県営鉄道(軽便鉄道)の那覇駅があった場所で、戦後も長くバスターミナルとして利用されてきました(いまも那覇OPAの複合ビルの1階がバスタです)。
バス路線・本数とも多いうえに敷地が狭いので、バスが横付けできる面積を最大化するために、駐機場を外部につくるというウルトラCを繰り出したそうです。
1650年の『唐栄地理記』にも記載されている「仲島の大石」(県指定天然記念物)の扱いも難題でしたね。
「龍珠」(龍がつかんだ玉)として久米村の風水上の要地とみなされていたんです。
大石をまたぐように管理棟と乗降口との間に歩道橋を渡したんですが、これまでとは違う角度から観賞できると、従来の参拝者にも喜ばれたそうです。
観光客のみなさんもゆいレール旭橋駅やバスターミナルをご利用の際には、大石に旅の安全を祈願してみてはいかがでしょうか?
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