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ホワイトな学校へ#7 その5「げいじゅつ祭」という提案

…文化的行事の負担を減らす

文化的行事とは、地域によって違いますが、私が勤めている地区では、学芸会、音楽会、展覧会のこと。
連合行事(※)と関連して、この三つの行事が3年サイクルで行われていました。
ところが、数年前、地区の教育委員会がこの三つの行事を含む連合行事全体を見直し(多くは廃止)したことで、文化的行事の3年縛りというサイクルがなくなりました。
※連合行事とは…近隣の学校同士が集まって、一緒に行事を行うこと。子供の活躍の場は増えるが、会場までの移動や係の先生の派遣などの負担も大きい。

つまり、各校で考えて取り組んでよいことになったわけです。

学芸会のメリット・デメリット

学芸会は、私の地域では劇などを行うことが一般的。華やかだし、学校全体で盛り上がり、文化的行事の中では、保護者に一番の人気である。
子供たちにとっては、セリフを覚え、人前でしっかり声を出して演技をすることで、今日的に求められている表現力を身に付けられることが期待できる。一つのものを皆で創り上げたという、終わった後の感動も大きい。

しかし、低学年、中学年はいいのだが、高学年でそれなりの内容でそれなりの仕上がりの劇を見せるとなると、実は結構時間がかかる。
3年に1度しか行っていないから、4・5・6年生ともに同じ経験値であるにもかかわらず、「6年生が一番すごいはず」という、親の期待感も強い。
授業時数が厳しいこともあり、高学年で学芸会を行うことは、いろいろな意味で負担が大きい。

音楽会・展覧会のメリット・デメリット

音楽会は、学芸会の次に人気がある。しかし、音楽専科教員の負担がとても大きい。もちろん担任も協力はするが、音楽専科の実力が、出来栄えを大きく左右する。
そして、展覧会が一番人気がない。子供たちの作品は個性にあふれ、実のところ一人一人の力を最大限に引き出すことができるのが、展覧会なのであるが、展覧会当日に子供の活動している姿が見られないことが、地味な印象を与えてしまうのだと思う。
展覧会の年に当たった6年生の親は、「はずれ」という感じをもつらしい。
こちらも、図工専科教員の負担が大きいことは、音楽会と同様である。

3サイクルのデメリット

この3サイクルのもっとも大きなデメリットは、子供たちの体験が平等でないことである。例えば、1・4年生で学芸会を行う学年と、3・6年生で行う学年では、内容も、身に付けられる力も、準備にかける時間も全く違う。同じ学校で、教育的効果に差がある計画でいいのだろうか?

先生方にとっては、3年に一度しか行われないため、反省を次回の実施計画に生かすことが難しい。先生方は、だいたい6年以内で異動してしまうし、管理職は、さらに短いサイクルで異動してしまうことが多い。次回行う時に、わかっている人が少なく苦労する、ということが繰り返される。

だから、この3年縛りがなくなったことを好都合と、すべてやめて、「学習発表会」に変えた学校も多い。
学習発表会であれば、会の運営そのものは毎年同じ実施計画で行えるので、全体的な運営の負担は減る。しかし、学習発表会となると、今度は、毎年担任が中心となって内容を考え、指導しなくてはならず、各担任の負担が増えることになりかねない。

そこで、思いついたのが、「げいじゅつ祭」
(実は、私は学芸会が大好きで、学芸会をなくしたくなかったというのもこれを思いついたきっかけなのです( ̄ー ̄)ニヤリ。このことについては、次回に!)

「げいじゅつ祭」とは!

学芸会、音楽会、展覧会を、毎年すべて行う。
1年生・5年生…展覧会
2年生・4年生…学芸会
3年生・6年生…音楽会
毎年、同じ学年で行えば、子供たちに平等に同じ体験をさせることができる。2年生と4年生の担任は、学芸会の指導をすることになるが、授業時数に余裕があるので、たっぷり使ってしっかり仕上げればよい。学芸会を行うのは2学年だけだから、体育館練習もゆとりをもって行える。
そして、専科教員にとっても、2学年分だけの準備で済み、ほぼ授業時間内で計画できるので、大幅に負担が減る。
なにより、毎年同じ実施計画で行えるのだから、先生方の負担も大幅に減る。

問題点か?

毎年同じ学年だと、ネタが尽きるのでは?
心配ご無用。数種類用意して繰り返せば大丈夫。同じ演目だったとしても、子供が違えばいいではないか。それに先生方は、異動で少しずつ入れ替わるので、毎年新しい風が入ることが期待できる。

もう一つ、場所の問題があった。展覧会の展示スペースについては、時期をずらして体育館で実施するか、他のスペースを使うことになる。書き初め展などと同時に行うのであれば、時期をずらすのもよいと思うが、「げいじゅつ祭」と銘打っていいるのだから、同時に行いたい。
だから、廊下などのスペースを活用することをお勧めする。

本校には、幸いなことに広い玄関があり、その上の2階、3階と同様の広いスペースがある。合わせて特別教室棟の廊下を使えば十分な展示スペースになる。そこを活用して、三つのイベントを同時開催することにした。

予告(根回し)

これを思いついた時、先生方には例の順番で話をした。まず教頭、そして主幹教諭に話したところで、教務担当主幹Y先生が素案を作ってくれた。そのお陰で、先生方はすんなり理解してくれた。

その後、PTA役員会と学校評議員会で予告した。私の説明に、皆さん半信半疑だったようだが、一応納得はしてもらえた。そして、年度初めの全体保護者会で説明した。(ここでも、順番が大事)
最初の年は移行期間として、この計画で6年生までに2回学芸会を行えない学年は学芸会を行ってリセットする予定だった…ところが、あの忌まわしき感染症の流行で移行期間対応はできなくなった。でも、何もできなかったのは皆一緒なので、予定通り2年後、つまり昨年度から「げいじゅつ祭」を実施した。

前例のないことを企画するのだから、文化的行事の長(=教務担当主幹Y先生)は大変だったと思うが、よくやってくれた!

ここで、気になるのが保護者の反応 果たして…

大好評!
本来であれば、展覧会の年であったことも功を奏した。特に6年生の保護者が、音楽会が見られたことをとても喜んでいた。学校評議員も絶賛だった。その方は、「こんなにいいこと、どうして今まで気づかなかったのかしら!」とおっしゃっていた。

子供たちにとっては、自分が翌年取り組むことへのイメージをもつことも容易になった。

斯くして、今年度も感染症対策バージョンではあるが、同じ実施計画で先生方の負担を減らし、子供たちには同質の体験をさせることができる「げいじゅつ祭」を実施する。


「学芸会をやりたい」というこだわりから、子供たち、先生方、保護者、いずれにとってももWin Winのいい計画ができました。(Y先生のおかげです!ありがとう(*´▽`*)
手前味噌ですみません…

次回は、「寄り道① 学芸会が好き」です=^_^=

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