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【半農半Xとは?】生活に農を取り入れ心穏やかに暮らす

半農半Xというライフスタイルが、注目されています。

新型コロナウイルスにより生活様式が変わり、リモートワークが普及したことで、田舎で農業と他の仕事をしながら心穏やかに暮らす事を選択することができるようになり、政府も働き方改革を推進しています。

私は月曜日から金曜日は会社員、土日は農業をして生活しています。リモートワークやフレックスタイム制度が広まったおかげで、どこでも働けるようになり、平日早朝に農作業をやり、そのあと農場にてリモートワークで会社勤めをすることができるようになりました。生活の中に農業を取り入れて、半農半Xに取り組んでいます。

この記事では、半農半Xについて解説しています。ぜひ、最後まで読んでみてください。

1.半農半Xとは

いま注目されているライフスタイルの一つで、「はんのうはんエックス」と読みます。半農半Xは、塩見直紀(しおみなおき)さんが1990年代から提唱しており、農業をしながらもその他の好きな事ややりがいの持てる仕事をして生活していくことをいいます。

コロナ禍でテレワークが増えたいま、「半農半サラリーマン」を目指す人も増えており、他にも「半農半民宿オーナー」や「半農半Webライター」など農業と他の仕事を両立するなど、「農業×好きな仕事(X)」いろいろな組み合わせを選択することできます。

お金や時間に追われることなく自分のペースで自分が思い描くライフスタイルを選択することができるのです。

半農半Xの「農」とは、大規模でがっつり稼ぐことではなく、自分自身や家族の食料を自給できる程度に始めるということです。「自分や家族が食べていける分を農業で得ながら、好きな仕事で自立し稼ぎを得ていく」という考え方で、農業に充てる時間を大きくせず、余裕のある時間を作り、その時間を自分の好きなこと「X」に充てるということになります。つまり、食料、仕事に対して自立するということです。

Xに何を選ぶかは、自由であり、多様な組み合わせができるのです。

新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに、企業のリモートワーク化が進み、政府の働き方改革や副業の推進を進めたことによって、半農半Xというライフスタイルが注目されてきました。

私は、1年前から「半農半会社員」として生活をしています。平日は会社員、週末は農夫になります。

以前から農を取り入れた暮らしをしたいと漠然と思っていましたが、会社での忙しさや人間関係によるストレスで体調を崩したことを機に、「半農半X」をスタートをしました。

緑が多い自然の中で土に触れ、植物を育てることで、心もからだも癒されています。農を生活に取り入れることでリフレッシュされ、会社での仕事にも前向きに取り組めるようになり活力を取り戻しています。


2.生きがいに関する調査

「生きがいを持ち仕事をしていますか。」

あなたはどう答えるでしょうか。

公益財団法人年金シニアプラン総合研究機構は、1991年から5年おきにアンケート調査をし、「サラリーマンの生活と生きがいに関する調査」というデータを発表しています。最新の調査結果が、2022年3月に発表された「第7回サラリーマンの生活と生きがいに関する調査」になります。

それによると、生きがいとは「生きる喜びや満足感」「心の安らぎや気晴らし」「生活の活力や張りあい」であると考える人が多く、そのような生きがいを持つ人の割合は、64 歳以下の男女では 3 割から 4 割強となっているということです。つまり、「会社ではたらく人の半分以上の人は生きがいがない」ということになります。

また、「時間的ゆとり」「経済的ゆとり」「精神的ゆとり」についての調査結果もあり、「やや欠けている」「欠けている」と評価する人の割合が一定数いることがわかりました。

「時間・お金・メンタル」の余裕がないというのは、生きがいを持つのが困難な状態です。

私も会社員だけの生活をしている時には、仕事をこなす時間に追われ、それに加え、人間関係に悩むことも多く、生きがいを感じていませんでした。

第7回サラリーマンの生活と生きがいに関する調査:調査結果の概要及び男女別・年齢階層別比較


3.半農半Xの魅力

半農半Xの魅力とはなんでしょうか。

心豊かな生活ができる

Mr.Childrenの曲に「everybody goes -秩序のない現代にドロップキック」という曲があります。

複雑に絡み合った社会の中で必死に頑張り続けるサラリーマンが描かれ、歌詞の最後には「報われないけどね」と強烈な一言があります。その曲を聞いた時に、とてもショックを受けました。

私が若かったその当時は、今のような副業やリモートワークがない時代でした。コンリートジャングルの中で会社員として働き、時間に追われながらあくせくパソコン作業をし続け、機械的な毎日になっていました。

しかし、時代は変わり、どこでも仕事ができる環境が整い始めています。
多様な働き方ができる時代になりました。農を生活の中に取り入れ、自然の中で、土に触れる時間を作ることで、忘れていた人間本来の感性を取り戻し、心穏やかに生活していくことができるのです。

季節ごとに変わる植物の美しさ、鳥が作り出す音色、ここちよく流れる風を感じるなど、会社員生活だけでは得ることがないであろう自然の気持ちよさを感じることができます。

「自然とともに生き、自然のめぐみを得て生きているんだ。」と感謝し感動する心が湧き上がってきます。

生活コストを抑えた生活ができる

私は、ミニトマトを育てています。収穫したトマトは、スムージーにして朝食にしたり、トマトパスタやトマトピザにしたりとかなり重宝しています。

農業での自給率が高くなるほど、食材費をおさえることができます。家賃も田舎だと安くなるので、生活コストが低くなるでしょう。

田舎に移住は難しいという方は、無理なくできる家庭菜園から始めて、自分が食べる野菜を育ててみてはいかがでしょうか。

植物を育てることにどのくらいの時間を費やすかは自由なので、できる範囲でこつこつと楽しみながらすることがポイントです。

規則正しい生活ができる

生活に農作業を取り入れることで、規則正しい生活ができるようになります。会社員だけの生活をしていた時は、週末は遅くまで寝てダラダラと過ごしていました。農作業という目的ができたことで、気持ちにもメリハリがつき、早い時間から起きるようになり規則正しい生活をしています。

新鮮な野菜がを食べることができる

自分で育てることで、新鮮な季節の野菜を食べることができます。
私は、ミニトマトを育てていますが、やはりスーパーで買うものと比べると新鮮さや美味しさが全然ちがうのを実感しています。

ワークライフバランスな生活ができる

自分の時間や家族との時間がとりやすくなります。一緒に農作業をすることで、家族の一体感が生まれ、自然のなかで楽しく話しをすることもできます。時間に追われることや、お金のために必死に働くことから解放されるので、人間らしい生活を送りながら感性が磨かれていくのです。

私が実感しているのは、会社員としてだけの時代と比べ、家族で過ごす時間が増えたこと、語り合う時間が増えたことです。

生活に農を取り入れることで、平日会社員と週末農夫のオンとオフ、ストレスとそれを開放する精神的なバランスにも効果があると感じています。

4.農業とXの事例

半農半Xの「X」の仕事ですが、Xという仕事に1日の中でどれだけの時間を充てるのかを決めておくことは大切です。その時間を引いた時間が農業に充てられる時間になるので、農業の規模や育てる野菜はなにが適しているのかを決めやすくなります。

Xの仕事に関しては、パソコンを使って、どこでもできる仕事が向いているかと思います。そして、スキルを上達させて、時間単価をアップさせ効率よく稼いでいく努力が必要になります。

しかし、Xにとくに縛りはありません。例えば、次のような組み合わせがあります。

  • 半農半プログラマー

  • 半農半Webライター

  • 半農半動画編集者

  • 半農半サラリーマン

  • 半農半バーテンダー

  • 半農半民泊運営者

  • 半農半家庭教師

  • 半農半介護ヘルパー

  • 半農半カフェ

などなど、沢山出てきます。好きな仕事で効率よく稼げるXにすることが大切ですので、しっかりと考えて計画しましょう。

事例動画紹介

ここでは3つの事例を動画で紹介します。

半農半農業アドバイザーの山村さん

東京から農ある暮らしを求め長野県へ移住。農業アドバイザーをしながら、自分でも農業をしている方の動画です。
古民家で家族と暮らし、半農半Xをエンジョイしている姿に勇気をもらえます。

【信州農ある暮らし】半農半Xスタイル 山村さん

半農半会社員のひろさん

平日会社員、週末農業を実践する週末だけ農夫のひろさんの動画です。
現在、会社員だけど農業をしてみたい方の参考になります。
東京や大阪の都会に暮らしながら、農業に挑戦している体験談は興味深いです。

【週末農家のリアル】聞いてみた【半農半✕】兼業農家

半農半会社員の人たち

こちらも平日は会社員、週末は農家を実践する人達を取材したニュース番組。航空会社で働く人、鍼灸整骨院を経営する人などを紹介。また、農業学校で知り合った3名が、農園を経営し、余った畑を貸しながら農業をアドバイスして楽しむ姿にほっこりします。

【コロナ禍で注目】サラリーマンが休日に変身!週末農家 “二足のわらじ”で野菜作り

5.始める前の注意点

半農半Xの生活は、とても魅力のあるものです。
自分のペースで心穏やかに仕事をしたい人にとっては、理想的なライフスタイルです。
ここで始める前の注意点も知っておいてください。

収入設計をしっかりとしましょう

会社員としてフルタイムで働いている時と比べると、始めた時は安定的な収入が少なくなる可能性があります。野菜を育てることで食材費を抑えたり、田舎への移住にすることによる住居費の低減があるでしょう。田舎暮らしのメリットを活かし、生活コストを下げることで収入面の問題をクリアできることもあります。

始める前には、しっかりと収入設計を行うことをおすすめします。
毎月の生活費がいくらなのか、何にお金を使っているのかを家計簿アプリなどを活用して分析するのも役立ちます。私の場合は、「マネーフォワード」という家計簿アプリを使用して生活費の管理をしています。手間要らずで便利です。また、半農半Xの収入のタイプには、

  • 農業をメインにして稼ぐ

  • 農業の稼ぎは気にせず、Xで稼ぐ

農業で稼ぐのか、Xで稼ぐのか、大きく分けて二つのタイプがあると思います。どのタイプで稼ぐのか、事前に収入設計をしっかりと計画しておくといいでしょう。

私の場合は、下記のように計画しました。

  • 会社員 2年後に55歳にリタイア

  • 目標年収 合計300万円 農業で100万円、Xで200万円

  • 育てる野菜 ミニトマト

  • 販売先 JAの直売所

  • Xの仕事 Webライティング

現在、XとしてWebライティングを講座を受けながら学んでいます。リタイアまでの2年間でスキルを高めて収入もアップさせていく計画です。

ライフスタイル(1日の時間配分)を計画を立てましょう

あなたが思い描く理想的な半農半Xはどのような時間の使い方なのかを計画しましょう。

私の理想的なスタイルは、午前中に農業をし、午後は仕事X(Webライティング)をすることです。

緑に囲まれた農場で、汗水垂らしながら、野菜を大事に育てる。ゆっくりと育っていく姿を楽しみながら毎日の生活を楽しむ。農作業のあとは、少しの休憩を挟んで、農場にある木陰の涼しい場所でライティングの仕事に没頭する。たまには、浜辺のカフェに出かけ波音を聴きながら仕事をする。農閑期(のうかんき)には、旅行先でライティングの仕事をして収入を得るという生活を計画しています。

家族の理解を得ましょう

あなたに家族がいるのなら、家族の理解が必要です。

私にも家族がいます。初めて「半農半X」についての計画を相談した時は、かなり抵抗がありました。精神的な穏やかさを求めていること、現在の貯蓄を踏まえて将来の収入設計や人生設計を説明しました。また、家族一緒に週末だけ無理なく少しずつ「農」を暮らしの中に取り入れながら計画を進めています。

半農半Xは、これまでの生活や価値観を手放すことにもなり、家族にとっても人生の大きな転機となります。家族としっかりと話し合って進めることが大切です。

最初の一歩として、家庭菜園などの「小さな農」を取り入れて、将来を思い描いて行くのはいかがでしょうか。

6.まとめ

コロナ禍によるリモートワークの普及により、働き方が多様になりどこでも働ける時代になりました。私自身、リモートワークをする時間がとても多くなりました。

半農半Xは、今までのライフスタイルや価値観を変えて、お金や時間に追われずに穏やかな生活をする生き方です。初めからがっつり稼ぎたい人には適していない考え方かもしれません。

まずは、家庭菜園や週末だけの農業という形で、無理しない「農」をあなたの生活に取り入れて、小さくトライしてみてください。自分らしい半農半Xのスタイルを探すことから始めてみてはいかがでしょうか。

万全の計画で半農半Xを始めても、「農業がうまく行かない」、「収入が厳しい」といった状況も考えられます。そんな時のための「X」が大切になります。その部分をしっかりと強化して、スキルを身につければ、安心しながら半農半Xを行うことができます。

大変な部分もある半農半Xですが、それ以上に「生きがい」「穏やかな気持ち」「自然との一体感」を感じることのできるライフスタイルです。

生活に農を取り入れて心穏やかに暮らす「半農半X」を実践する人が増えてくれるといいなと思います。

ライタープロフィール

【やんばるとまと】

沖縄北部、山原(やんばる)にあるビニールハウスで義父の手伝いをしながらミニトマトの栽培を行なっています。農業とライターの半農半Xで心豊かな暮らしを目指して頑張っています。


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