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2024年上半期読書 4-6月(一言感想つき)

2024年4〜6月までに読んだ本一覧です。
※個別に記事化したものは除く。

引っ越し&新生活でバタバタだった3〜4月。
単身赴任だった夫と合流し、家族そろった生活がスタートし、なんだか久しぶりに「ちゃんと暮らしている」感があります。
今思うと、2023年度の一年はワンオペでよくがんばったな……(過ぎ去りし日々は良い思い出で、ぼろぼろだった自分を褒めてあげよう)。

生活は変化しましたけど、今年度も読書は続けたいと思っています。


2024/4

📙青い鳥|重松清

私こういうヒューマンドラマに弱すぎるので、案の定号泣。
子どもだって、大人だって、"そばにいてくれる人"のいる安心感って、ハンパない。と思う。

📙持たない暮らし|下重暁子

"持たない暮らし"は"持てない暮らし"ではない。数々の選択肢の中から吟味して選び取った少数精鋭。今の日本における持たない暮らしは、もしかしたら究極の贅沢なのではないかと思った。

📙人質の朗読会|小川洋子

冒頭に最大のオチがあって、メインストーリーの「人質の朗読」にはオチがない。 私がこの小説を読んで一番感じたのは、他者には些細に見えることでも、人にはそれぞれに大切にしていることがあって、膨大な時間の人生をそれぞれに重ね、それぞれの思想を築き上げているということ。 誰しもが等しく大切な人生を持っているのだという当たり前は、忙しさや周囲の環境で意外に忘れがち。でも、それを忘れないようにしないと。

📙池上彰の世界の見方|池上彰

池上さんの話は歴史や地理、経済、政治、宗教、倫理、社会情勢などテーマが縦横無尽なのにそれらが一本の軸で系統立てられているので、本当にわかりやすい。 地図、お金、宗教、資源、文化、情報──この視点から見る世界の姿を、中学生・高校生との実際の授業の中でのやりとりをもとに書かれたのがこの本。 【「中東」「アラブ」「イスラム世界」。ニュースなどでよく聞くこの三つは同じ国々のことだと思いますか?】【極東、中東など、なぜ世界はイギリスを中心としたものの見方がされるようになったのでしょう?】 わかっているようで曖昧にしていてわかっていないこと。大人でも、きちんと答えられない見出しが並ぶ。地図の段では、日本中心じゃない地図から見える世界の関係性がとても面白かった。

2024/5

📘質問力|斎藤孝

生まれてこの方、話術の悩みは尽きることがない。特にビジネスは一期一会がとても重要だと理解しているものの、私は一度きりの機会というものにとても苦手意識がある。
大切なのはしっかり準備すること。特に「(例えば講演などであれば)質問は講演を聴きながら気になったポイントを事前に複数挙げておき、優先度をつけておく」というくだりが案外盲点で、はっとした。質問力は一見その人のセンスのようにも見えるけど、問い方の修練と情報収集という努力の賜物なんだと改めて確認できた。

📘言葉のズレと共感幻想|細谷功、佐渡島庸平

私たちにとって、言葉っていっそのこと邪魔なんだろうか笑
もちろんそうではないと思うけど、普段の生活で嫌というほどすれ違うコミュニケーションを感じているので、歩み寄る手間を考えるとそんな考えもふとよぎったり。噛み合わないことを楽しむ、もしくは、すり合わせることを楽しむ、くらいの余裕が欲しいものだと思う。

佐渡島:〜前略〜(仏教的観点でいえば)すべてのストーリーは自分にとって都合のいい妄想にすぎない、そして本当のストーリーとは無常ということだけである。
それ以外の、過去と現在と未来をつないだストーリーもどきはその場の自分の心をしのぐための使い捨て道具にする分にはいいけれど、そのストーリーもどきにこだわっていると、やがては囚われの身となる。

第8章 現在と過去、成功と失敗(p.153)

ここ、いいなと思った。柔らかく、一方で芯のある思考を持っていたい。

2024/6

📗第二の性|シモーヌ・ド・ボーヴォワール

シモーヌ・ド・ボーヴォワール。まさに彼女だからこそ書ける内容。“すごい”というより“凄み”がある。
本書(文庫版の第一巻)は原書の全二部のうちの二部目、「体験編」の中の三章中の一章目に当たる「女はこうしてつくられる」部分の訳出だ。つまり『第二の性』のうちのごく一部ということ……これでも。
若年期の女性をテーマにした本書は、男性に対するハンデキャップ、コンプレックス、生理という呪い、母親からの圧迫、性的強迫観念などを経て、女性が“女としてつくられる”過程が書かれる。卑屈、他責、服従、受動……なぜ女性が「こうあらねばならないのか」。
記録や証言などを用いた冷静な考察を淡々と行いながらも、そこはかとなく感じる怒り──もはや怨嗟といってもいい感情を感じる。
こんな言い方をしていいのかわからないが、当事者である女性だからこそ成せた大著だと感じた(読了したのはまだ全体の1/5程度な訳ですけど)。

今日ではこうした娘も自分の運命をそっくり男性に委ねずに、自らの手で自由にすることも可能になっている。 〜中略〜 しかし自主的個体として完成することは、女はまだ青年よりはるかに困難である。すでにいったように、家族も社会風習も彼女の努力を援助しない。その上、たとえ彼女が独立をえらぶとしても、やはりその人生では、男性や恋愛にちゃんと席を空けておくのである。もし彼女が、自分の人生としての運命を放棄するような何かの仕事に全生命をあげて没頭するとなると、しばしば心配になる。この感情はあまり告白されはしないが、しかしそれはちゃんと存在し、集中した意思をみだし、限界をはっきり示す。

p.172

うう……「凄い」。

📗ソフィーの世界|ヨースタイン ゴルデル

ストーリー仕立てで哲学史がわかりやすく学べて、すごくよかった。図書館で借りたものの、もう一回読みたくて購入。
感想は一つひとつ気になったところを取り上げると膨大になりそうなので、最近ぼちぼち哲学本を読み始めているので、その感想文に挟む形でこの本の引用を出していこうかな。

ニーチェの「神は死んだ」も含めて、「哲学」には神という前提がものすごくちらつく。現代においては、その前提は取り去られているのだろうか。最近の潮流も知りたい。

📗書くことについて|スティーヴン・キング

含蓄もユーモアもたっぷり含んでいて、よかった。名言がたっぷり。
たくさん学ぶところがあり、手元の記録にたくさんメモした。
良い文章を書くコツ? 端的にいうと下記の記述にぜーんぶ集約されるのではないか笑

作家になりたいのなら、絶対にしなければならないことがふたつある。たくさん読み、たくさん書くことだ。私の知るかぎり、そのかわりになるものはないし、近道もない。

書くこととは──(p.192)

最後のこの文章も、本当にいい。書きたくなる。

あなたは書けるし、書くべきである。最初の一歩を踏み出す勇気があれば、書いていける。書くということは魔法であり、すべての創造的な芸術と同様、命の水である。その水に値札はついていない。飲み放題だ。
腹いっぱい飲めばいい。

後書き 生きることについて(p.359)

📗春にして君を離れ|アガサ・クリスティー

すごかった(語彙失)。
怖い。自分の後ろに伸びる影を、思わず振り向いてじっと見ちゃうような、そんな読後感がある。読書を咀嚼するために書いている感想文だけど、久々にこれは絶対ネタバレしたくない本だと思ってこっちのショート版に記載した。登場人物それぞれの視点でも、同じ流れを追って読んでみたいと思わせるほど、それぞれの人物造形に優れている本だと思った。
アガサ・クリスティって、すごい人だ。

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