誰も取り残さない教育──『国語教育(24年2月号)』読書感想文
1年間購読してみている『国語教育』。
上半期分の感想はこちら↓↓
今回取り上げたいのは2月号の特集「学習支援」。
教育は国(どころかこれからの地球の未来)の命運を左右する。子どもたち全員が必要な教育を身につけられれば、その知恵を結集して社会はより良い道を選ぶことができる。
だから、特に初等教育現場においては、「誰一人取り残さない」というアクセシビリティ観点が重要になる。
学校教育は一律指導が多いから、取り残されやすい子どもがいる。
そのような子にも配慮した授業は、通常ペースでもついてこられる子どもたちにとってもわかりやすい授業になる。
動きを大切にする「動作化」
口に出す、手で書いてみる、身体で表現してみる。身体感覚を介した学習がより記憶に残りやすいのは、感覚として理解できる。聞くを大切にする「聴覚的焦点化」
聞きやすい話し方を意識する。例えば、説明はなるべく簡素化するとか、注目させるために前置きをするなどがTipsとして挙げられる。見るを大切にする「視覚的焦点化」
映画のように見てほしいものを限定する。
ちょっとした事物がノイズになり、気を取られてしまう子がいる。ひとつの学習に集中できる環境づくりはとても大事だという。多感覚器官の活用「複線化」
情報取得方法には、人それぞれ得手・不得手がある。「ある情報を取得し活用できること」をゴールとするなら、そこにたどり着くためのルートは一つではないことを認める。
人それぞれに情報の獲得のしやすさは異なり、ある人には有効な方法が別な人には有効でない場合もある。インクルーシブデザインの考え方に通じるが、何かを犠牲にして誰かに合わせる方法ではなく、誰かに合わせることで皆が良くなる方法を検討・採用する必要がある。
伝える内容を構造化する
なかでも日常生活でも常に意識するべきだと思ったことが、「伝える内容の構造化」。
伝える側が、伝えたい内容の構造化と分解をしてから整理して伝えることは、情報の構造化が苦手な子供どもだけでなく誰にとっても利益がある。
子どもたちの様子を見ていると、最近の小学校では、以前よりもこの部分の教育がきちんとなされている印象を受ける。
私たちの頃は、作文(論説文)の書き方なんて習っただろうか?
以下は長女が授業で書いた文章だが、「主題提起」「解決法と根拠の提示」「まとめ」という構造が非常にしっかりと書かれている(内容についてはもちろん拙いところもあるが、文章構造は訓練されているなと感じる)。
「初め」「中」「終わり」という文章の書き方を徹底して仕込まれているような印象。
別な機会に、総合の授業でチームで作成したスライドと台本も見事だった。
クラスの性格的なものかもしれないが、授業中に意見を言うこともあまり躊躇がないような様子で。
教育次第で、こうまで伝える力が強化されるのかとけっこう衝撃を受けている。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?