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「人を喜ばせたい」という市民の思いが遠野の魅力 #022朝倉健

朝倉健
Asakura Ken
有限会社アサクラ酒店代表取締役

プロフィール
遠野市出身。大学卒業後、山形での修行を経て、遠野駅近くで営む家業のアサクラ酒店に入社。同店を父から引き継ぎ、遠野市のふるさと納税では返礼品として酒類を出品している。遠野市在住歴55年。

「数量限定ということもあって『一番搾り とれたてホップ生ビール』(以下、とれたてホップ)の在庫が足りなくなってしまったこともありましたよ。問屋さんに問い合わせたり、必死にかき集め、なんとか発送には間に合わせました」

と言うのは、有限会社アサクラ酒店代表取締役の朝倉健。遠野市では、「とれたてホップ」を返礼品として選べるふるさと納税を受け付けており(限定品のため受け付けていない時期もあります)、その返礼品を出品しているのがアサクラ酒店です。

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寄付者は、自治体やその返礼品についていろいろとチェックしているかもしれませんが、その返礼品を発送する業者が注目されることはありません。しかし、アサクラ酒店をはじめとする業者の下支えがあってこそ、遠野市の思いが寄付者へと届くのです。

ふるさと納税で遠野から思いを届ける

アサクラ酒店の店舗は遠野駅から徒歩5分ほど。いかにも地元に根付いた酒屋といった佇まいで、もともとは食料品店としてのスタートでした。酒屋になったのは昭和になってからのこと。父の代では、ワインに注力していたこともあったと言います。

朝倉自身がアサクラ酒店に携わるようになってからは35年。その間の時代の変化を、酒販の変化とともに感じるようになりました。

「珍しいお酒を扱いたいけど、最近は入手や販売がだんだん難しくなってきましたね。少量なら入手できることもありますが、卸値が高いので。今は通販が普及してきていることもあって、珍しいお酒も通販で入手するお客さまも多いですからね」

コロナ禍で家飲みする人が増えたとはいえ、その多くはスーパーや量販店でお酒を購入しています。ビールをちょっと1本買おうと思ったらコンビニを利用。街の酒屋でお酒を買うということは多くはないかもしれません。アサクラ酒店の売上の多くは業務用ですが、飲食店での売上も減ってしまい、コロナ禍では大きな影響を受けました。

「業界としてもかなり厳しいですよ。でも、ふるさと納税で『とれたてホップ』を出品させてもらっていますが、ここまで遠野が注目されるようになってくるとは思っていませんでした。ふるさと納税で『とれたてホップ』を飲んでもらって、それをきっかけに遠野へ行ってみようと思ってもらえたらいいですね」

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ふるさと納税という機会を利用して遠野を知ってもらおうと、ホップの里からビールの里へ VISION BOOK」や遠野市の広報紙を同封したり、「とれたてホップ」に遠野産の新米をセットにした定期便を用意したりと、朝倉は遠野に興味を持ってもらえるような仕掛けを考えています。

「できれば『とれたてホップ』とパドロンをセットにしたいと思っているんですが、現状ではパッケージの問題があってなかなか難しいんですよ」

ただビールを送るだけでなく、遠野を知ってもらいたい。遠野で生まれ育った朝倉だからこそ、ふるさと納税の機会にその思いを届けたいと思っているのかもしれません。

遠野の産業を盛り上げたいという思い

遠野を知ってもらいたいという朝倉の思いは、BEER EXPERIENCE株式会社が実施するビアツーリズムにも現れています。そのツアーのひとつである、ビールとおつまみのペアリングを楽しむ「遠野ナイトビアホッピング」では、市内の飲食店を2軒まわった後の最後の目的地として、アサクラ酒店を訪れることも。アサクラ酒店では、30分の滞在でお酒を試飲できるという内容になっています。

以前からビールの里プロジェクトには関わりたいと思っていたんですよ。ビアツーリズムのツアーで飲むお酒はビールが多いと思うので、こちらでは遠野の日本酒と焼酎、どぶろくを提供しています」

アサクラ酒店の滞在はツアーの一番最後。そんな事情もあるからか、または朝倉の人柄に惹かれるからか、「30分では話し足りない」「朝倉さんの話をもっと聞きたい」という参加者も多いと言います。

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参加者の好みに合わせて試飲していただいているんですが、私も一緒に飲んで楽しんでいると、調子よくなっちゃうんですよ。時間が延びても『いいから、いいから』って(笑)。遠野を訪れた人が楽しければいいんです

この試飲で提供しているお酒のひとつに、遠野産ホップ焼酎の「毬子(まりこ)」があります。ふるさと納税の返礼品にも設定されているお酒で、実は朝倉が企画に携わったものなのです。

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「毬子」は、アサクラ酒店を含む遠野の酒販店などが集まって設立した遠野産新規酒類製造研究会が造った焼酎。同会では、遠野市の小友蟹沢金山跡から湧き出る「黄金の滴」という天然水を使って、「黄金の滴」や「黄金の泉」という焼酎を造っていましたが、その第4弾が2010年に発売されたホップ焼酎の「毬子」。

「遠野市内はもちろん、岩手県内でも焼酎造りに対応できるメーカーがなかったり、ホップ焼酎がイメージどおりの味にならなかったり、いろいろと苦労しました。最終的には、福島県の酒造会社で日本酒と合わせて蒸留して造ったんです」

「毬子」をはじめ「黄金の滴」や「黄金の泉」は、遠野市の産業を盛り上げようと企画されたもの。その意味で、2004年に設立された遠野産新規酒類製造研究会は、ビールの里プロジェクトよりもずっと前から、同じような思いを持って活動してきたとも言えます。

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朝倉は、以前からいつかビールの里プロジェクトに関わりたいと考えていました。そう考えていたのは、根底に同じような思いを感じていたからなのかもしれません。

ホップとビールをきっかけにいつか遠野へ

朝倉が遠野産新規酒類製造研究会で活動しはじめた頃、キリンビールから「とれたてホップ」が販売されるようになりました。2002年に「毬花一番搾り」として誕生し、2004年からは「一番搾り とれたてホップ生ビール」として販売。朝倉はその「とれたてホップ」に対しても、好意的な思いを持っていました。

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2002年に発売されたときから遠野産でしたからね。ホップを栽培している他の地域の人には申し訳ないけど、遠野市民としては素晴らしいことだと思っていました。他の地域から嫌われるんじゃないかと思ったくらいですよ」

その「とれたてホップ」が生まれたのは、遠野のホップ農家があるからこそ。遠野で店を構える酒屋として、ホップから遠野のあらゆる魅力につながっていってほしいという思いがあります。

「今後さらに醸造所が増え、そのビールを飲める飲食店も増えると、もっと遠野を楽しめるのではないでしょうか。そこから遠野市民の誇りである遠野物語や遠野の祭りにも興味を持ってもらいたいですね。ホップやビールを通して遠野を知ったら、いつか遠野へ遊びにきてほしい。それが私の思う『ホップの里からビールの里へ』ですね。遠野に遊びに来た結果、田舎で何もなかったなと思われたとしても、それはそれでいいんじゃないかとも思っています」

遠野の魅力は何かと聞くと、「遠野は素朴なところと緩い時間が流れるのがいいんです。そして、みんな人を喜ばせるのが好きなんですよ」と答える朝倉。その朝倉自身が、まさに遠野の魅力を体現しているようにも思えるのです。


ホップの里からビールの里へ VISION BOOK
https://note.com/brewingtono/n/nd0f3fe5f11c6


富江弘幸
https://twitter.com/hiroyukitomie

企画
株式会社BrewGood
https://brewgood.jp/
info@brewgood.jp

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2020年8月時点の情報につき内容が変更されている場合もございます。予めご了承ください。


「一番搾り とれたてホップ生ビール」は2022年も発売が決定しました。発売日は11月1日(火)です。

遠野市の個人版ふるさと納税で寄付の使い道に「ビールの里プロジェクト」を指定いただけると、私たちの取り組みを直接支援することができます。

「一番搾り とれたてホップ生ビール」も遠野市のふるさと納税の返礼品に選ばれております。

寄付金は下記に活用されます。

・新規就農者の自立に向けたサポート
・老朽化する機械や設備のリニューアル費用
・イベントの開催などサポートの輪を広げるまちづくりの施策


詳しくは下記のふるさと納税特設サイトをご確認ください。


<ふるさとチョイス>

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