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25年間の音楽史 ≪Part.2≫2000年代編

■2000年代編

~初期~
2000年代に入り、ヒットチャートの上位をDestiny’s ChildNellyUsherなどのR&Bシンガーが占め、2003年には元ギャングのラッパー、50 Centの非常にマスキュリンな『In Da Club』が年間チャート1位を獲得するなど、90年代の音楽シーンを席巻したヒップホップ・R&Bは、2000年代前半にはさらなる飛躍を遂げ、もはやポップ・ミュージックとしての市民権を得たと言っても過言ではないほどに成長しました。

イギリス、欧州においては、引き続きアメリカのヒップホップ・R&Bの影響は受けつつも、Modjo『Lady (Hear Me Tonight)』、Daft Punk『One More Time』といったフランス産のいわゆる“フレンチ・ハウス”や、S Club 7Atomic Kittenといったポップ・グループがヒットするなど、アメリカのマッチョなヒップホップやセクシーなR&Bよりも、甘くメロウなバラードやキャッチーなポップス、変わらずレイヴ・ミュージックを継承したダンスポップが好まれる傾向にありました。

~後期~
2000年代後半に差し掛かると、2000年代前半に完全なる市民権を得たヒップホップ・R&Bは、より大衆化することになります。

2005年に解散したDestiny’s Childからソロへ転向したBeyonceの『Check On It feat.Bun B,Slim Thug』や、ラッパーのJay-Zに見出され世界的なヒップホップレーベル「Def Jam Recordings」からデビューしたRihannaの『Pon de Replay』『Umbrella』が世界的ヒットとなり、ヒップホップ・R&Bを主体とした音楽の“ポップ・アイコン”として地位を確立します。

2000年代末頃に差し掛かると、90年代から続いたヒップホップ・R&Bの世界的躍進という状況に、変化が生じ始めます。

これまで再三述べてきたように、イギリスや欧州では、ヒップホップ・R&Bの影響を受けつつもレイヴ・ミュージックがポップ・ミュージックの主軸となってきました。
それは、ロックやヒップホップ・R&Bと歩み寄り欧州圏のポップスとして常に存在感を示してはきましたが、アメリカを巻き込むほどのムーヴメントというほどには至りませんでした。

しかし、2009年頃からLady Gagaの『Just Dance feat.Colby O'Donis』や『Poker Face』、The Black Eyed Peasの『I Gotta Feeling』などのヒットに象徴されるように、明らかなレイヴからの影響が見受けられる楽曲がアメリカから発信され、それは後の2010年代前半における“EDM”のムーヴメントを予見するものとなりました。その予見は、瞬く間に現実のものとなります。

次回、2010年代編へと続きます。

◆2000年代 紹介楽曲プレイリスト◆