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才能と才能の相乗効果

初めてヨーロッパのチームへ行った時は、周りから「なんでお前がここにいるんだ?」って目でみられました。何しに来たの?メカニック?笑
みたいな感じ
本当にそう聞かれたこともあった(まじで)

でも、必ず聞かれることは
「お前どんなリザルト残したの?」と
自転車界はどんなにアシストでも、何かしらの結果があるし、TTのスペシャリストだったり、馬車馬の様に前を走ったら結果なんて聞かなくても仕事っぷりが感じられる。それが無いと、自分の結果でしか自分を表現できるものはない

僕の少し胸が張れるリザルトといえば
Paris-Bruxelles (1.HC) 5位
Tour de Picardie(2.1) 2位 1st
Circuito de Getxo  (1.1) 2位
Cup de Franceで一桁に何回か入った
くらいのリザルトしかない。
でも無いよりはマシで、チームメイトの意識を逆転するには毎年結果を出すしかない

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特に結果を出さなければいけないのが、春先だ
シーズン始めは印象に残りやすく、逆に結果が出せなければ1年中使ってもらえないことすらある。もし「あいつ使えない」と言うイメージがついてしまうから。ヨーロッパで上に上がるにはそこは必死になった方がいい
特に外国人は使えないと思われると前半戦で数レースしか出れない場合もある。それって差別じゃん!そう、外国人は普通に差別される

こんなことをよく言われる
君は才能があるから!とか、宮澤さんだからできるんですよ
とか言われることが結構ある。と言うか毎回言われる、天才みたいな
でもよくよくその選手がどうレースと向き合っているか聞くと、大抵ほとんど考えないでレースを走っている
僕が全く天才でも才能豊かでも無いには理由がある

なぜそんなことが言えるか

それは、レースで結果を出すために必要な決まり事が、事細かく全て説明できるから
本当に才能があったり、天才肌の選手ってそういう感じじゃ無いでしょ?
終盤になったらシャシャッと集団の前にいって、ぴゅっとスプリントしたら勝てるよね。みたいな

僕はそれができないのでリスト化している
・レース前は必ず自転車の変則・ブレーキのチェックを自分でする(必ず自分で直す)
・自転車で走りながら直せるメカニック技術を身につけておく(自分自身への言い訳の芽を摘み取る)
・パンクしたらチームカーが後ろにくるまで自転車を降りない
・横風はTTの得意そうな身長の高い選手の影に入る
・先頭交代から下がるときは隊列のすぐ脇を隣の選手の風よけおこぼれをもらいながら後ろに下がる
・レースコースは風向き道幅、アップダウン全て頭に入れる
・レースの展開を予想する(当たり前で一番難しい情報戦)
・どのチームが何人で集団の中で動いているか把握する
・逃げた選手の細かい情報を仕入れ、誰に勝ち目が無いかを決める(誰が切れる?)
・集団の右か左のどちらが流れやすいかコースレイアウトと風を読む
・サーキットは全てのコーナーで左右どちらから上がれるかチェックする
・上りの出力のリミットを設けて後半にアタックできる体力を温存する
・攻めるときは誰の動きを使って攻めたら周りに与える破壊力が上がるか決める
・決して最後まで自分の強さをひけらかす走りをしない
・いちいち考えて個人の心理が集団をどう動かすか法則を見つける

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もし才能があったとしたら、誰よりも努力する事は誰にも負けない自負はあったかもしれない
でも、それを活かせるのは自分だけ
どんな選手にも色々な才能があり、それがチームになっている
チームメイトの才能を使って自分を強くさせることもできるし、逆も然り
切磋琢磨は才能が相会えて相乗効果を生み出す。自分が強くなりたかったら強い選手に必要とされる存在になることが重要だとわかるはずだ
天才は自分で得られるものでは無いが、才能を活かす方法はいくらでもある事を多くの若い選手に知って欲しい


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