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田舎から上京した若者が都会に絶望し、絶望したはずの都会を好きになった話

まちは好きですか?

皆さんはどんな要素があれば、「このまちに住みたい」と考えますか?
観光資源や郷土料理、行政サービス、インフラ、、、重きを置く点は人それぞれだと思いますが、私は「ひと」だと考えます。

地元の話

私の地元である岩手県花巻市は、宮沢賢治や温泉、レトロな観光スポットが多くあります。観光資源にはめぐまれていますが、高齢化率が高く市外への転出も多く、課題の多いまちでもあります。そうした状況下ではまちに残りたいという人よりも、仙台や東京などの都市部へ進出してみたいと考える人も多い傾向にあります。
この現状を変えるため、一番に求められていることは何でしょうか。。。

出会いの話

私は所属する大学で地域課題解決に焦点を当て研究や活動に取り組んでいます。
とはいえ、大学に来て真面目に勉強をしそれを地域に還元しようと考える人は少数です。加えて、大学にある都市部の人たちは人間関係が希薄で、思考も合理的であることが多いです。
地方出身の私にとっては、当然そんな状況に慣れるはずもなく、一人孤独で悲観的になり、つまらない日常を過ごしていました。そんな中、一つのアルバイト先に出会いました。

あたたかい「ひと」の話

私の勤めていたアルバイト先は個人経営のカフェで、特にマニュアルはなく常連さんの多いアットホームなところでした。店長をはじめ、他の従業員の方も優しく気さくに話しかけてくれるため、非常に居心地が良かったです。プライベートでもご飯に連れて行ってもらったり、人生相談に付き合ってもらったりと沢山の施しを受けました。そうしていつしかそのアルバイト先は、第2の家のようになっていました。
都会に来た当初は、田舎のような連帯感もどこか長閑な感じもないありように辟易し、虚しい感情だけが残っていました。なぜ都会に来たのだろう、どうしてここまで冷酷でいられるのだろうと考えていました。しかし、私のアルバイト先で出会った皆さんはいつも優しく暖かく、ぽっかり空いた私の心を埋めてくれる存在へとなっていました。

別れ際に感じた「都会に戻ってきてもいいな」の話

孤独な私を埋めてくれたアルバイト先ですが、当然終わりも来ます。学業の都合で退職しなければならなくなった私ですが、第2の家であるアルバイト先を辞めるということは、再び孤独へ戻ることを意味します。今回は、地元の大学に編入するため孤独にないかもしれませんが、それでも寂しい気持ちは強く名残惜しさが尋常ではありませんでした。そこでふと思ったのです。

「また都会に戻ってきてもいいな」と。

あんなに嫌で地元に戻りたかった私ですが、いつしかその暮らしに幸福感を覚えるようなっていたのです。こんな嫌なまちでも温かい人がいるんだと、自分に居場所があるんだと、強く感じさせてくれました。

そう、つまりは「ひと」なのです。

人が人を繋ぎ、集うことで居場所が生まれる。居場所が生まれれば、そこに人が集い繋がっていく。どんな地域や場所であっても、心温かい人は必ず存在します。「ここに帰ってきたい」と思えるかどうかは、自らが一緒にいて楽しいと思える人に出会えるかどうかだと実感しました。つまり、地域を好きになること=人を好きになることなのです。

最後に

ここまで「ひと」に焦点を当て、地域を好きになるかどうか話してきました。当然、地域ならではの文化や食に魅了される人も多いかと思います。しかし、地域で出会う人やコミュニティは、人々の寂しさを埋め、愛を与え、居場所を提供してくれます。「ひと」が存在し続ける限り、その「温かさ」は消えることはありません。
東京一極集中や過疎化など、地方にとってはネガティブな話題が後を立ちませんが、どうか今一度「地域」や「ひと」に重きを置いてみてください。もしかすると運命的な出会いをすることがあるかもしれません。

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