お盆休み(2024.8/15)のこと
二十代後半の頃のこと。
うちの会社の受付嬢の一人は、
とんでもない美貌の人だった。
肌が白くて、
からだはすうっと細くて、
髪の毛は長くて自然な茶色で、
いつもゆるく巻かれていた。
受付の制服でさえもその人にぴったりで、
訪れるお取引さんは、彼女に会うのが楽しみな人も、
一人や二人ではないはずだった。
声もかぼそく、小さい頃は体が弱くて、
空気の良いサナトリウムのようなところで療養していたというから、
昭和の漫画かドラマの、リアルお嬢様!?と
見まごうばかり。
お嬢様とは事実で、お父様は会社経営されていると聞くし、
退社後、さようなら、と言って結んだ髪の毛をほどき、
海外の高級車を運転して颯爽と帰る姿は、
同じ会社にいて次元の違う人だった。
しかし、なぜだか、
同い年の彼女はわたしのことをとても好いてくれて、
よく声をかけてくれた、というか、なつかれた。
何が気に入ってくれたかは、いまだに謎だけど、
今日のお話に続く出来事がある。
先にも書いたけれど、彼女のお父様は会社経営をされていた。
そんな中で、ランチいったときに話したかどうかは
定かではないけれど、彼女はこんなことを言った。
「うちに、お抱えの占い師さんがいるの。すごく当たるの」
確か、命に係わる実績のことをいくつか聞いたような・・・
そして、スゴイ!と当時の、素直な若いわたしはいたく感動したような?
「カイトさんならいいよ。お父さんにお願いしてみるね」
そんな感じの手筈を踏んで、
わたしは彼女のお宅のお抱えの占い師さんに、
見ていただくことになったのだった。
唯一記憶にある、
おじさん占い師さんに言われたことは、
「ものすごく、あなたは見えない力に守られているね。ご先祖様であったり・・・。そしてあなた自身、とても祈る人だね」
だったような気がする。
あたり。
小さい頃から、わたしはよく祈っていた。
そして、感謝を続けていくために、
これから続けたら良いという儀式を教えてくれたのだった。
毎月、一日と、十五日に、白いお皿の上、
右に盛り塩と左に酒を置く
(酒の器はブルーが良い)
その皿を西向きに置き、
「リンピョウトウシャカイジンレツザイ」
を、三回唱える。
素直なわたしは、
何の疑いもなく、この儀式を絶え間なく、
二十代後半からずっと続けている。
呪文の言葉を三回唱えたあと、
オリジナルでご先祖様と守護と、
父親と、関係性の濃かった母方の祖母と、
亡き人たちに必ず語りかける時間。
お願いごとなんてない。
近況報告と、最近の楽しかったことと、
(たとえば昨日は、還暦を迎えた以前お世話になった上司に、あーちゃんの絵を見せた。いたく感動してくれて、アザラシと少女の物語を書いてください!と強く言ってくれたことがうれしかった、とか)
いつも、見守ってくれているお父さんとおばあちゃんに、
感謝しているよ、
本当に愛しているよ、
とか、
わたしだけでなく、田舎の人たちも見守ってあげてくれたうれしい、
とか、
今日もそんな語らいをしていたら、いつもと感覚が違う。
儀式的な、上をなぞるような薄っぺらさが消え失せ、
言葉のひとつひとつが見えない何かにきちんと伝わっているような、
受けとめられたような、
そんな濃厚さを感じて、涙が流れた。
伝わっている。
泣きながら気づけば、
今日はお盆の真っ只中だった。
何の疑いもなく何十年、
言われるまま、
「リンピョウトウシャカイジンレツザイ」
を前置きにしていたけれど、
今さらながら、
リンピョウトウシャカイジンレツザイ って何!?
と調べてみました・・・(おそ・・・)。
いわゆる魔よけの、場の浄化の言葉だったようです。
・・・この記事書くにあたり知りました^^;
いまさらながらありがとうございます。
この二十代後半から続く、
見えない人たちとの語らいの儀式は、
今後もずっと続けていくのだろうな。
場の清めの言葉とともに。
どこまで尖らせることができるか、にこだわった盛り塩とともに。
最後までご覧いただきありがとうございました☺
お盆休みスピンオフバージョンでした。
写真のかわい子ちゃんたちは、
昨日行った「はしもとみお展」の子たちです。
メインは、「かがくいひろしの世界展」でした。
(神戸ファッション美術館にて、9/1まで開催中)
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