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12 行きたい場所にすぐ行ける、というわけではない (ネパール、ベトナム、マリ)

 さあ、どこそこに行こう。と決めたら、ガイドブックを読み込んで、船なりバスなり飛行機なりを予約して目的地に一直線かというと、そうではない気がする。
 
 目的地とわたしのタイミングが合って、そこにうまく迎えられたらいい。でも、そうじゃないことも結構ある。なんていうか、そこに辿り着く時期(時間)やら方法(移動手段)やらは旅のカミサマが差配してるんじゃないか、と思う。
 順番もある。そこに行く前に行っておかなければならない土地が優先される、そんな感じ。

 例えば2度目の旅。
 前年の、初めてのバックパック旅は香港と中国雲南省だった。今回は東南アジアを3ヶ月ほど巡る予定で出発。関空からマレーシアに飛び、列車でタイに入り、ミャンマーへ行って戻って、さて次はベトナムだ。バンコクの旅行代理店でホーチミン行きのフライトを予約し、パスポートを預けてビザの申請も頼んだ。が、指定された日に受け取りに行くと、手違いがあったので明日取りに来いと言う。
 んんん、なんか嫌な予感。

 そして翌日、店に出向くと案の定、いつ入国許可がおりるかわからないと告げられた。何か政治的な理由でツーリストの入国規制が行われているらしい。面倒なので飛行機はキャンセルし、パスポートを返してほしいと訴えた。
 ノープロブレ〜ム、tomorrow evening オ〜ケ〜、で、翌日またまた代理店に足を運び、パスポートは無事に戻ってきたのだけど、ビザのスタンプは既に押されてあり、そのページに黒いサインペンで思いっきりバツ印が✖️
 ベトナム大使館よ、CANCELED のハンコとか、無かったのか・・・。

 まあしかし、ここはひとつ気を取り直して。
 いつか訪れる予定のネパールへ、今回行ってみよう。と、別の代理店でカトマンドゥ行きの相談をした。すると、この季節は悪天候でしょっちゅうフライトキャンセルになるし、飛んでも墜落が多いと言われた。くーっ・・・そうなのか。

 とりあえず、タイのノービザ滞在期間がもうすぐ終わるので、一旦どこかに出ないといけない。バスで北上してチェンマイ、ノーンカーイ、そしてメコン川を越えてラオスに渡った。
 そうしたら、まあ、ラオスという国は!

 魅了された。
 旅には順番と方法と、そして自分だけでは決められない何かがあるのだとこのとき納得した。
 ラオスを2週間旅してタイへ戻り、帰国後はラオス語講座に通い、そののち何度かラオスを旅することになる。この旅ではベトナムでもネパールでもなく、ラオスに行くことになっていたのだ。

 ベトナムへは翌年、カンボジアから陸路で入国した。なんとアメージングなことか。陸路国境越えの楽しさを知ってしまった。バンコクから飛行機で、じゃなく、カンボジアから陸路で入ることを、旅のカミサマが設定していたのだ。たぶん。

 さらにその翌年、ネパールへは、チベットのダムから陸の国境(谷底の川)を越えてコダリに入った。大変な道のりだったけれど、いちばん心に残っている国境越えだ(詳しいことは別の章で書きたい)。ネパールへはこうやって行きなさい、と、旅のカミサマが設定していたのだ。きっと。

 というわけで、自分の都合じゃない理由でルートや行き先が変わることがときどきあって、おかげで予想外に素敵な地に滞在することになったり、楽しい出会いがあったりした。ああ、この時間に到着ための紆余曲折だったのかと思える出来事がいろいろあった。
 それに、予定を変えたために事件や災害を免れたこともある。
 そうなると、やっぱり、こう、守られている感じがして、便宜上「カミサマ」と呼んでいる何かに感謝したくなるのだ。

 ただ、2回挑んで2回ともかなり激しく拒否された西アフリカのマリはどうなのか。
 守られているのかいい加減あきらめろということなのか、今からでも行けるのか。まだちょっと未練を残してるんだけど。
 それについてもまた別の機会に別の章で書きたい。

ラブリー ネパール

 

 
 


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