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16歳の夏、場所は栃木、僕は稲妻を呼んだ

雷に打たれたことがある。
これは比喩でも誇張でもなく事実だ。

16歳の夏。場所は栃木。

16歳と言えば、朝勃ちだ。
栃木と言えば、夕立だ。

思春期真っ只中。
毎朝僕より早く起きるのは股間の方だった。
その状態を毎朝見せられていた姉とは一言も話さない関係になってしまった。
人を閉口させるほど僕は朝勃ちしていた。
そして栃木は不意に降る雨が多い街だった。

主人公ジャックが魔法の豆を植え、
巨木に育った豆の木を登り雲の上にある巨人の城に行くという童話がある
「ジャックと豆の木」という
僕は当時このタイトルを丸々盗用した
「ジャックと豆の木亭」というレストランで働いていた

出勤日に家を出ると雷雲が空を覆っていた
お店に着くまでは降らないだろう、そして仕事中に本降り、終わる頃には止んでいるだろう
栃木の人は雨の予測に優れているのだ。
でも一応傘は持ってでた。

もちろん僕の予想は外れる。
通勤中に雨が降り出してきた。
雷は少し遠いところで鳴っている。

雨が強くなってきた。
傘をさす。

その瞬間
聞いたこもない物凄い音と共に僕の全身に痙攣と痛みが走り痛みだけがすっと抜けた。
雲の上の巨人が僕に落ちたのか!?

近くにいた通行人が声をかけてきた
「お兄ちゃん大丈夫?」
おそらくそのようなことを言ってたのだろうが
頭が全く回らない。

周りを見れば、周辺の家や店舗、信号機全てが停電していた。

そう、僕に雷が落ちたのだった!!
僕の直毛の髪の毛はウェーブがかかり、手は痙攣したままで傘が離せなかった

雷は避雷針ではなく僕に落ちた
調べてみると落雷に当たる確率は100万分の1
世界での年間被害者数は1000人ほど
死亡率は約30%
実際に落ちた僕からしたらどうでもいい数字だ馬鹿野郎

雷は僕の体を巡り地面に抜けていったのだろう、命に別状はなかった

だがこの後、僕は高速道路に侵入しランニングしていた。
こればっかりは本当に意味がわからない、頭がパニックになっていたのだろう。

ずぶ濡れ姿で帰宅し、母親にことの顛末を伝えた。
母は怒っていた

「そんなことどうでもいいから!!あんた朝にちんちんおっきくしたまま寝るのはやめて!!
お姉ちゃんがとても嫌がってるから!!」

雷も母の雷も僕に落ちたのだった

翌朝、
相変わらず朝勃ちしてる股間を見つめて
僕はこう尋ねた

「お前って避雷針なの!?」

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