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【連続小説】 冒険ダイヤル

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おさななじみとの再会を願う、高校生たちの物語。 そこには小さな謎解きが待っています。
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2023年10月の記事一覧

冒険ダイヤル 第2話 マーガレットとアプト式

「でさ、おお可愛い線ってどういうとこなの?」 「大井川鉄道井川線だよ、エマちゃん」 手元か…

アイチャイム
8か月前
7

冒険ダイヤル 第3話 ヘアゴムとバックル   

 《 フェイクニュース・ノート 》  ノートのおきて  ① うそのニュースだけ書くこと  …

アイチャイム
8か月前
4

冒険ダイヤル 第4話 フェイクニュースノート

「パソコンのパスワードにバーカバーカベロベロバーと入力すると爆発する、だって。はなまる十…

アイチャイム
8か月前
7

冒険ダイヤル 第5話 絶対に損しない恋 

それからふたりで一晩中おしゃべりをした。 絵馬はつい最近男の子につきあってほしいと告白さ…

アイチャイム
8か月前
6

冒険ダイヤル 第6話 みかんと先住民

チャイムが鳴ると生徒たちが教室の空気をかき混ぜ始めた。 みんなクリーニングしたての制服で…

アイチャイム
8か月前
16

冒険ダイヤル 第7話 公衆電話と謎解きゲーム

災害用伝言ダイヤルとは災害が発生したとき被災地域に電話がつながらない場合に使える声の伝言…

アイチャイム
8か月前
6

冒険ダイヤル 第8話                   ドーナツのドにネッシーのネ

翌日は土曜日で学校は休みだった。 爽やかな快晴で十二月にしては暖かく、絶好のウォーキング日和だ。八人の小学生たちはホームセンター前のベンチに集合した。 「ねえ亮君、これ、どうしても着けていかないとだめ?」 奈々美は恥ずかしそうに、手にしたビニール製の黄色いベストを見つめた。〈鶯町・環境保全〉という文字がでかでかと印刷されている。全員そのベストを着て片手にはビニール袋、片手にはゴミ拾い用トングを持っていた。 亮のお父さんは町内会の清掃ボランティアをしている。謎解きウォークラリ

冒険ダイヤル 第9話 ハイチュウと絆創膏

トイレ休憩の後、駿から伝言が入っていた。 「その六文字で全部だよ。だからヒントは無し。あ…

アイチャイム
8か月前
10

冒険ダイヤル 第10話 借り物

さっきメモした文字をもう一度眺める。 並べ替えパズルの類は何度もやらされたことがある。な…

アイチャイム
8か月前
8

冒険ダイヤル 第11話 直線距離 

ところが、約束の時間になって171にダイヤルしても野田さんたちからの伝言はなかった。 「…

アイチャイム
8か月前
13

冒険ダイヤル 第12話 セブンティーンと長電話

百段まで登っても、ちっとも上が見えない。深海は本当に涙が出そうだったが、だから帰ればよか…

アイチャイム
8か月前
8

冒険ダイヤル 第13話 点と線のちょうちょ

「171に電話しよう。魁人がひとりで待ってる」 受話器を取り、最新のメッセージを聴くボタ…

アイチャイム
8か月前
15

冒険ダイヤル 第14話 こたつ授賞式

「あたし寒くなってきちゃった。亮君、この黄色いのずっと着ててもいい?」 奈々美はあんなに…

アイチャイム
8か月前
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冒険ダイヤル 第15話 ゲームの始まり

みかんまんじゅうを食べたあと四人の高校生たちは夏休みの写真を見せ合うことにした。 静岡旅行に行った駿と陸は蒸気機関車の前で記念写真を撮ってもらったようだ。あっけらかんと笑って写っている。半袖の下に日焼けの跡が残っていた。 絵馬は二人で衣装交換したときの写真を見せていかに自分がセンスよく深海を変身させたかというコーディネートのコツなどを説明し始めたが、ファッションにうとい男子たちは「専門用語がわからない」と恐れおののいている。 「あんたたちの鉄道用語の方が圧倒的にわからないん