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ナチュラリスト、E・O.ウィルソンからの警告と提言(読み始め日記)

エドワード・O・ウィルソン博士の存在を知ったのは、最近のことである。最初に認識したのは、ナショジオ日本版のアースデイ特集号で、作家のエマ・マリスの寄稿を読んでのことだった。次号の2020年5月号では、特集『減る昆虫』でウィルソン博士の指摘が引かれていた。今年になってからは、博士の著作『アント・ワールド』(ニュートンプレス)を書店で見かけたことがあった。

興味を持ったので、ウィルソン博士のTED講演を聴いてみた。そして、昨日、博士の著作『創造 生物多様性を守るためのアピール』(紀伊國屋書店)を図書館で偶然発見し、貸出して読むことができた。この本を以下では本書とよぶ。

とても感銘を受けたので、今回は、その感想と要約を兼ねて編集したいと思います。

まず、博士の簡単なプロフィールから。
「エドワード・O・ウィルソン博士は、1929年にアラバマ州バーミンガムに生まれた。ハーバード大学教授を50年近く務めたアリを専門とする昆虫学の大家で著作は膨大である。社会生物学の提唱者として、広く知られている。」

博士が本書を書いたのは、他でもない6度目の大絶滅がおきているといわれ、生物多様性が危機的状況にあるといわれる今日において、地球に暮らす私たちに何が求められているのか。エッセンシャルに提言しながらも、ナチュラルヒストリーやサイエンスの魅力を豊富な経験をもとに語っている。

読んでいてまず思うのは、その博識である。語り口が優しく、パストールという架空の牧師に向けて、優雅に話すさまは、教養精神に溢れている。科学の読み物として、最高に満足できた。

第15章「ナチュラリストの育て方」で博士が語っているアドバイスは、学びや教育を模索する上で、貴重なヒントに満ちていると思います。

要約すると、将来科学者になるかや、科学教育に携わるかどうかに関わらず、子どもの時から、自然のなかで遊んだり、プロジェクトをたてて科学を学ぶことや、動物園や博物館を探検する機会をつくってあげることが、人生の豊かさに結びつくだけでなく、生きる力を養う上でも、欠かせない体験だと言います。
「子どもたちの眼前に開かれている、新しくて美しい世界をマスターしていくことは、子どもたちの自信につながります。ナチュラリストの成長は、音楽家やスポーツ選手の成長に似ているといえるかもしれません。才能ある者たちにはすばらしい仕事があり、他の者には人生を通しての楽しみがあり、そしてそれらが人類に貢献する、ということですね。(p.202)」

あくまで、私なりの理解を編集したものなので、興味を持たれた方はぜひ本書を手に取ってはいかがでしょうか。素晴らしい読書体験になるかもしれません。博士が親御さん向けても語っていると思われるアドバイスもあります。「たとえば、子どもに小型の複合顕微鏡を買ってあげましょう。いまなら、スケートボードやディズニーワールドへの航空券より安く手に入るはず。そして、...…(p.196)」

ご清聴ありがとうございました。








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