弟と私は子どもの頃、カマキリと一緒に遊んでた。

カマちゃんと名付けられたカマキリ。

私たちにつまみ上げられても、抵抗するわけでもなく、キゲンのいい感じで、私たちの手の上を歩いた。

カマちゃんのエサは、当然のことながら、生きた虫。かごに入れてやると、カマで捕まえて食べている。

私たちはその様子をつぶさに観察した。そして、自分たちがゴーフルみたいなお菓子を食べる時に「カマちゃん食い」と言ってちまちま食べる。

けっこう、私たちはそのカマキリと仲良くしてかわいがっていたのだけど、ある日のこと、弟が、カマちゃんを逃がしてやったという。

ちょっと残念だったけど、それで良かったのです。なぜなら、カマキリは、祖母が割り箸に挟んで保管しておき、煎じて熱冷ましに使うのです。

私も弟も、一度は飲まされたことがあるかもしれません。カマちゃんが薬にされてしまわなくて良かったのです。