<レポート>BRANDED SHORTS 2024 セミナー 企業版ふるさと納税を活用した地方創生映画の製作とPR
SSFF & ASIA 2024で開催されたBRANDED SHORTS の未来を考えるセミナー。今回は「企業版ふるさと納税を活用した地方創生映画の製作とPR」の書き起こしレポートを紹介します。
開催日時:2024年6月11日[ Tue ] 16:00-17:00
会場:赤坂インターシティコンファレンス
ゲスト:株式会社and pictures 代表取締役 伊藤 主税
株式会社NTTドコモ 東北支社 スマートライフ部長 平田 啓介
株式会社アウトクロップ 代表取締役 / プロデューサー 栗原 エミル
株式会社アウトクロップ 取締役 / ディレクター 松本 トラヴィス
秋田市 人口減少・移住定住対策課 主席主査 横山 美鈴
SSFF & ASIA代表 別所哲也
MC: こちらのイベントは、企業版ふるさと納税を活用した映画やブランデッドムービーなど映像コンテンツの制作方法や可能性を、具体的な事例と共にプロジェクトに関わったゲストの皆さまにそれぞれの立場で語って頂きます。ゲストの皆様にご登壇頂きたいと思います。皆様、拍手でお迎え下さい。皆様、ご着席下さい。
松本さんから、一言ずつ自己紹介をお願いしてもよろしいでしょうか?
松本:みなさん、こんにちは。私たちアウトクロップは、秋田市を拠点に映像制作やミニシアター、色々なクリエイターが集える複合拠点の運営などをしています。みなさんどうぞよろしくお願いいたします。
栗原:同じくアウトクロップの栗原と申します。私は、ドイツ生まれ京都育ちで大学を機に秋田に参りまして、そこから松本と一緒に映像制作の会社を4年前に起業しました。本日はみなさんよろしくお願いいたします。
横山:秋田市役所の横山と申します。移住定住やシティープロモーションなどを担当しております。
平田:NTTドコモ 東北支社 スマートライフ部の平田と申します。東北6県でドコモのサービスの販売利用促進を担当しております。皆さんどうぞよろしくお願いいたします。
伊藤:株式会社アンドピクチャーズの伊藤と申します。長編映画、短編映画・CMの企画制作、あとは、俳優とクリエイターの育成を地域創生とともに事業としてやらせていただいている会社の代表です。どうぞ、よろしくお願いいたします。
別所:皆さん、本日はお越しいただきまして、ありがとうございます。ショートショートフィルムフェスティバル&アジアそして、BRANDED SHORTSの代表を務めております。別所哲也です。どうぞ、よろしくお願いいたします。
諏訪:では、ここからは、別所さんにバトンタッチさせて頂き、深掘っていただきます。別所さんよろしくお願いします!
「いやいや秋田市は凄く良い所じゃないか!」若い学生やクリエイターが地方でも挑戦ができるプロジェクトを秋田でもやりたい
別所:企業版ふるさと納税とショートフィルムの関係について、色々迫って参りたいと思います。早速はじめていきたいと思います。
伊藤さん、横山さん、企業板ふるさと納税を活用して、秋田市のショートフィルムを作ったということなのですが、まずは、プロジェクトの全体像を教えていただきたいと思います。
昨年、BRANDED SHORTSのイベントで紹介されました、愛知県蒲郡市の事例で企業版ふるさと納税を活用した映画制作をされて見事、成功事例を作られた伊藤さんお願いいたします。
伊藤:企業版ふるさと納税を活用したプロジェクトで、俳優の山田孝之さんと阿部進之介さんと一緒に立ち上げました。ミラーライアーフィルムズというプロジェクトを軸に事業を推進しております。機材や編集機器が非常に進化していて映画が撮りやすくなった今、誰でも映画が撮れる時代というのをコンセプトに、今までにシーズン1-4、今推進しているのは5-8を進めています。年間20本ショートフィルムを集めまして、5作品ずつ1年をかけて上映をしていくというプロジェクトです。シーズン毎に、様々な地域で企画立案から脚本開発、ロケハンなどを含めて、地域一体となり施策しているというところが特徴です。シーズン1―4は、36本作りまして、一作一作にポスターを作り、柴咲コウさん、斉藤工さん、志尊淳さん、水川あさみさんなども監督を務めた作品もあります。併せて、一般公募もしまして、まだ見ぬ未来の才能とこの有名な方々を一緒にメジャー、インディーズ関係なく上映していくのが特徴です。
別所:ありがとうございます。昨年、私たちの映画祭でも愛知県蒲郡市、豊橋市、豊田市、こちらを連携して制作した、事例を紹介させていただきました。
別所:横山さん、早速、秋田市のプロジェクトについてご紹介お願いいたします。
横山:はい。ミラーライアーフィルムズのプロジェクトは、映画制作を通してクリエイターの皆さんが挑戦できるようなプロジェクトになっています。秋田市は、人口減少が最も進んでいる都道府県、秋田県の県庁所在地の一つで、人口減少問題など色々な問題を抱えており、地方に根強く残っている「田舎には何もない、都会に出ないと夢がかなえられない」などの大人の根強いネガティブな意見が残っています。そんな中、地域には6つの大学があるのですが、「いやいや秋田市は凄く良い所じゃないか!」と色々な活動をしてくれている若い学生やクリエイターが地方でも挑戦ができるプロジェクトを秋田でもやりたいと考えていて、ミラーライアーフィルムズと連携して昨年度映画制作を行いました。
別所:事業の概要について教えてください。
横山:はい。著名なクリエイターの方の映像作品をシーズン5と6の各シーズンで2作品ずつ制作しました。あと、学生が制作する映像ワークショップ作品の短編映画作品も1作品ずつ制作しました。また、これら全ての作品に地域の学生や 市民にご協力いただいた姿をドキュメンタリー映像として制作しました。著名クリエイターとワークショップの二つが重要です。どんな方に作品に参加していただいたかというと、シーズン5では竹中直人さん、漫画家の大橋裕之さん、シーズン6では小栗旬さん、浅野忠信さんです。こういった著名の方と地域の学生が制作補助という形で参加したり、その経験を基に自分たちで映画を作ったりする活動を行いました。このプロジェクトをまとめた映像をご覧ください。
別所:ありがとうございます。松本さん、今ご覧いただいた映像についてお話しを伺えればと思います。
松本:今回すごいメンバーの方々が秋田に実際いらっしゃって、いろんな映像制作をするプロジェクトでした。 一流の方々やプロの方々が地方に来て、映画制作をご一緒する経験はなかなかないと思うのです。今回約30名の地元の学生が制作のプロセスを一緒に経験して、カチンコを打ったり監督さんの横に立ったりという経験した後に、自分たちで街歩きをして、自分たちの町の魅力って何だろうって整理をしながら、自分たちの作品にするっていうワークショップ作品も制作されました。
別所:まさに、シビックプライドや、地域の人たちが参加型でプロセスマーケティングにしているのですね。プロセスに参加しながら作られているという想いが、映像の中に詰まっていたなと思います。私たちも 観光映像大賞という地域創生の映像部門を2012年から行っていて、最優勝賞には観光庁長官賞も授与されるというものであります。
地元の地域へ利益が分配される循環型の仕組みによってどんどん秋田発でチャレンジできるフィールドに魅力
別所:今回の秋田市観光ショートフィルムは横山さんいかがでしょうか?
横山:こちらの作品は、ちょうど、ミラーライアーフィルムズの制作中と同時期に制作をしていたのですが、実は、監督しているのは松本さんなのです。
松本:先ほど、少しご紹介させていただいたのですが、アウトクロップっていうクリエイティブの会社をしていまして、メンバーが8名ほどいて、1名を除いてはみんな移住者の会社なのです。移住者の人が秋田に帰ってきたり、秋田出身で県外に行って地元に対しての熱い想いを持っていたり、そんな実話のストーリーを基にして本作品は秋田市に久々に帰る女性のエピソードです。
別所:作品の長さは、6分27秒のショートフィルムですが、6分でどんな風に物語が展開するのか、そして、秋田への想いが紡がれています。 ぜひ観光映像大賞でどのように上映されるのか、注目いただきたいと思います。地方創生のための こういった施策 は 色々とあると思います。自治体や地方の皆さんがショートフィルムを作りたくなる、 参加したくなるという魅力がありますね。 地域が映画制作に期待するということは、栗原さんどういったものでしょうか?
栗原:そうですね。我々秋田で起業した者として、外から多くの刺激を頂ける機会が本当に貴重だったと思います。特に よかったと思うのが、一発の打ち上げ花火のような形ではなく、ミラーライアーフィルムズという、プロジェクトの中で地元の地域へ利益が分配される循環型の仕組みがあって、今後2回3回4回と、どんどん秋田発でチャレンジできるというフィールドがあります。ですので、今回の実施が最初の1回目という位置付けとして貴重だったと思います。秋田市は、フィルムコミッションといわれるような組織がないのですが、今回の映画制作を通じて地元の人たちがこんなロケーションあるよ、とか、ここで撮ったらどうか、とか、色々な方に協力をいただいて、そういう話が出てきたので、今後このプロジェクトをきっかけに、秋田県での映像制作が、より活発になっていくんじゃないかと 思います。 何より住んでいる人たちがこういう風に秋田を切り取ってくれるんだって、シビックプライドが映画を通じて高まっていったことを一参加者としてすごく感じる機会になりました。
別所:横山さん、これは、嬉しいのではないですか?
横山:そうですね。地域の方々にとっても、あのロケ地、もしかしてあそこかな?と 気付くことにもなりますし、制作した学生たちも自分たちで街歩きをして、その地域のことを改めて知ることができて、自分の住んでいた地域って、魅力的なとこがこんなにたくさんあったんだ、と気付くきっかけにもなります。 更に、地域の人と交流するきっかけもたくさん生まれたので、秋田への愛着がさらに深まったのではないかなと思っております。
別所:一体感が生まれますよね。これよく、数年前から地方創生には、よそ者、若者、ばか者まで言いますけど、ばか者とはいい意味のイノセントで無知で色んなことを現地の人に、わからないことを質問できる力なのかもしれませんけど、この3つのよそ者といわれる中で、現地にいる人たちと一体感を持って、モノを作れるのが映画であるということは、僕も大変うれしく思っております。
私たちもショートフィルムの制作や映画祭を運営していまして、ショートショート フィルムフェスティバル でもナショナルツアーという映画祭を地方で開催させていただくことを積極的にやっています。現在に至るまで、国内外あわせて20都市ほどで開催していまして、映画制作もそうですが、「映画のお祭り」、こういったものを、今後もぜひやっていきたいなと思います。
寄附企業だから、通信企業だから、とかということではなくて、プロジェクトはまさに参加型で協力したい
別所:平田さんにお伺いしたいのですが、地域の企業としてクリエイティブな体験を通じたコミュニティ作りって通信技術によって大きく変わってきたと思います。 どのような取り組みをされているのでしょう?
平田:寄附企業だから、通信企業だから、とかということではなくて、プロジェクトはまさに参加型で協力したいっていうのがすごく大きいかなと 思 います。今やらせていただいているところでいうと、スマートフォンや機材の貸し出しや、秋田支店の会議室を使って頂いたりしています。先日は、ドコモの若手社員がこのプロジェクトのどういうグッズを作るといいか?マーケティング講座を学生のみなさんにやらせていただいたりしています。このような形で、学生の皆さんや秋田市の皆さんとの連携であったりするのが大きいと思っていて、今後シーズン6でお披露目の際には、ドコモショップの皆さんと一緒にどういう盛り上げができるかっていうことを考えていきたいと思っています。当社としても、このプロジェクトの発展にしっかり連携しているところで継続的にご協力出来ればという風に思っております。
別所:今日この後、じっくり皆さんにお伝えいたしますが、企業版ふるさと納税という仕組みもそうですし、その地域に企業が目指すという地域貢献みたいなものが平田さんあるってことですよね?
平田:そうですね。私たちドコモの秋田支店や東北支社、ショップスタッフも秋田市民なのですよね。一緒にみんなで盛り上げましょうという姿勢で、僕たちはお客様でお金出して終わりじゃなくて、一緒にシビックプライドの醸成に関われたらなと強く思っております。
企業版ふるさと納税は、目的をきちんと地方創生に設定でき、実際には税金の控除もあってお得に支援ができる
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