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「島の文化会議 隠岐と後鳥羽院から考える、海士町、隠岐らしい文化観光とは?」に参加して


島根県海士町のEnto バンケットホールで行われた「島の文化会議 隠岐と後鳥羽院から考える、海士町、隠岐らしい文化観光とはに参加した。

ミニ基調講演「文化観光とは❓」

文化庁 文化観光推進コーディネーターの丸岡直樹氏による講演。
文化観光を考えるうえで、どれだけ多くの視点を取り入れることが大事とのこと。その視点をもつためにはいろんな立場の人と対話することが大切だそう。民間、行政、観光などの立場、価値観がある。

丸岡さんは、ひのしと呼ばれる古代のアイロンを事例として魅力の伝え方をお話された。ひのしの魅力を伝える際に歴史の事実だけ伝えても観光客側にはなかなか伝わりにくい、ではどうしたら魅力が伝わるのか。

古代の時からひのしを使って手間暇かけて服のシワをなくしていたことから、当時から美意識があったため、お墓にも持っていくくらいの価値があったと伝えると観光客側にも魅力が伝わるとおっしゃっていた。

また文化の話をする際に、歴史上の人物など固有名詞が多くなりがちで、多すぎると観光客との距離が多くなりがちといった内容もあった。知りたい情報は詳細ではなく当時の価値観などの本質が大事だと話されていた。

暮らしに観光においては、海士町において関係人口のような繰り返しきてもらう関係があればとのこと。それを作るためには日常の風景に入らせていただく、そことの関わりが大切だそう。

海士町菱浦地区のキンニャモニャセンター


丸岡さんにとって海士町の日常で思うかぶ風景は何度もお邪魔しているスナックみちくさで海士町の民謡・キンニャモニャを踊ったことらしい。


仕事終わりに撮った海士町の風景
夕暮れ時の海士町の日常


船で海士町にやってきた時に流れる音楽を聴いて帰ってきた気分になるそう。

これは地域の方のアシストのおかげで、海士町のスナックを知り関係性が育まれたという話も印象的だった。


他地域の例だと観光客が喜ぶのは地域の方の好きな景色だそう。

丸岡さんがGWに訪れた兵庫県丹波篠山市で、宿に泊まった時のことをお話しされていた。

大学生時代に陶芸体験で訪れた丹波篠山市の風景


宿の清掃していた高校生が「山の景色が一番大好きでお客さまにお裾分けしたいくらいだという景色だ」と話すると、観光客の方が山の写真をカメラを取り出して撮影するくらい喜んでもらえたというエピソードも話された。

僕は丸岡さんのお話を拝聴させていただいて感じたことが2つあった。

①地元や旅先の何気ない日常の風景は大切だということ、その土地の日常風景というものは人の心の琴線に触れる、癒しを与える資源だということ。

海士町での漁火(いさりび)


僕の場合は川や山、田園風景を見ればふるさとを思い出す。また海のない市で生まれた僕にとって海を見れば不思議なことに心がほっこりする。

普段何気なく見ている風景を五感を研ぎ澄ませて感じたことを友人や身近な人にまずは伝えていきたいと考えた。
だからこそ観光する際はお邪魔させていただく姿勢は常に忘れないでおきたい。


②文化の魅力から本質を伝える際には、歴史文化の理解したうえで、歴史の背景を噛み砕きより分かりやすく伝えることが大事だということ。

何か祭りのことを伝える際も、5W1H(いつ どこで 誰が 何を なぜ どのように)を踏まえて説明できるように祭りの詳細も知る必要があるなと思う。

僕の実体験で恐縮なのだが、高校時代の日本史でものすごく分かりやすい授業をしていた先生を思い出した。
その先生の授業がなぜ分かりやすかったのかというと、歴史上の出来事を「今風で言うたらこれは○○の役割やねん」というように現代での位置付けまで落とし込んでいたからだと思う。


島内事例共有 文化と歴史から紐解く隠岐・海士町の風土

島内事例の共有のセッションで印象に残った点は3つある。

①海士町の民宿・但馬屋のおかみさんのお話

海士町の民謡 キンニャモニャ踊りのイメージ

但馬屋では海士町の民謡キンニャモニャを披露するそう。
今回の話でおかみさんがおっしゃっていた「民謡というものは、生きるよろこび」というフレーズが脳裏に焼き付いている。
僕にとっていきるよろこびとは何だろうかと考えると「日常風景を探求するまちあるき」という言葉でまとまった。


地元を兵庫県を離れて海士町に住処を移したが、そこでも毎日みる海士町の日常風景が知的探求の種だと思う。

海士町の清水寺の石仏


海士町で印象的だったのが各地区のあらゆるところにお地蔵さんがたくさんあること。

兵庫県加西市の石仏①
兵庫県加西市の石仏②
田んぼにある石仏 兵庫県加西市


この風景をみて地元の隣町兵庫県加西市の石仏を彷彿とさせるものを感じた。


②語り手とはなんなのか。語り手は誰にでもなりうるのか


海士町から見渡す島前カルデラ

今回の島内事例の共有で最も興味のあったテーマだった。
僕は語り手は誰にでもなりうると思った。
旅先で地域の人から教えてもらったことを、土産話で友人に伝えるだけでも立派な語り手だと思う。土産話を聞いた友人がその旅先に行けば 語り手になった甲斐があるくらい嬉しい気持ちになる。



③海士町の深淵とはなんぞや

島内事例の3つ目のテーマ「君は海士町の深淵を知っているか⁉︎だった。
深淵という言葉のチョイスが斬新に感じる。

言葉の意味を調べると川などの深いところのことを言う。海士町の深淵というフレーズではティープな海士町。テーマを噛み砕くと「あんたは海士町のディープなところ知っとるか⁉︎」だと僕は思った。


海士町の春の早朝風景


海士町に移住してもうすぐ2ヶ月になりそうだが町のディープな名所、祭りをより深く広く知っていきたい思った。
色々動く中で地域に住んでいる人で知っている方が増えてきたのも嬉しいことだ。1年後僕はディープな海士町を知っているのだろうか。ワクワクしたのが正直な感想だ。

ゲスト&参加者が混じっての交流会

ゲストと参加者が混じった交流会では自分が最も興味のあるテーマでグループに別れて意見交換をした。語り手とは何なのかを深掘りしていきたい、他の人の意見を聞きたいと思ったので語り手をテーマのグループで意見交換した。

自分は海士町など隠岐諸島の日常風景や祭りを写真におさめて、情報発信、ZINE、写真展に挑戦してみたいとふと頭の中で出てきた。

地元兵庫でも海士町の良さを多くの人に地道に伝えていきたいなと。そのために地域にどっぷり使って海士や島前地域、隠岐の島町のディープなところを知りたいと思った。


島の文化会議に参加してみて

島の文化会議に参加して、自分があえて一旦地元兵庫県を離れて島根県海士町に来たのか。島暮らしで今後自分が何をするべきなのかを整理するきっかけになった2時間だった。海士町にせっかく来たからこそ、海士町に住んでみて散策してみて率直に感じたことをnoteに投稿して、海士になかなか来れない人にも雰囲気だけでもお裾分けできればと思う。

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