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僕の前に道はない 僕の後ろに道は出来る~『高村光太郎詩集』~
印象に残った言葉たち
ああ、走るべき道を教へよ
為すべき事を知らしめよ
氷河の底は火の如くに痛し
痛し、痛し
真面目、不真面目、馬鹿、利口
己を知るのは己ぎりだ
も一つあれば己を生んだ人間以上の魂だ
つきぬけ、やり通せ
何を措いても生を得よ、たった一つの生を得よ
他人よりも自分だ、社会よりも自己だ、外よりも内だ
それを攻めろ、そして信じ切れ
孤独に深入りせよ
僕の前に道はない
僕の後ろに道は出来る
ああ、自然よ
父よ
僕を一人立ちにさせた広大な父よ
僕から目を離さないで守る事をせよ
常に父の気魄を僕に充たせよ
この遠い道程のため
この遠い道程のため
俺は感ずる、
人間が無に等しい故に大である事を。
ああ、おれは身ぶるひする、
無に等しい事のたのもしさよ。
無をさへ滅した
必然の瀰漫よ。
僕はあなたをおもふたびに
一ばんぢかに永遠を感じる
僕があり あなたがある
自然はこれに尽きてゐる
僕のいのちと あなたのいのちとが
よれ合ひ もつれ合ひ とけ合ひ
混沌としたはじめにかへる
あなたはまだゐる其処にゐる
あなたは万物となって私に満ちる
感想
実はこの本、前にも読んでいる。前回は『道程』が読みたくて、パラパラと捲って読んでいった。何度読んでも『道程』の詩は凄くいい!!!
今回はしっかり全体を読み通した。すると新たな気づきがあった。この詩集は、『「道程」より』『「道程」以後』『智恵子抄』の3つの年代に分けて収録されている。
『「道程」より』には、力強い、挑戦的な作風が多い気がした。
『「道程」以後』は、ちょっと落ち着いた感じを受けた。
『智恵子抄』からは、智恵子夫人への愛、智恵子夫人を失った悲しさをありありと感じることができた。
私はこの『道程』という詩が好きだ。道なき道を突き進み、その先で何が起ころうと、進んだ後には道が残る。という印象を受けた。私も道なき道へ挑戦したいと思うので、挑戦する時にはこの詩がいつも頭の中に浮かぶ。
書籍情報
高村光太郎詩集
高村光太郎
岩波文庫
1995年7月5日 第54刷発行
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