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僕の前に道はない 僕の後ろに道は出来る~『高村光太郎詩集』~


印象に残った言葉たち

ああ、走るべき道を教へよ
為すべき事を知らしめよ
氷河の底は火の如くに痛し
痛し、痛し

寂寥 p.18

真面目、不真面目、馬鹿、利口

狂者の詩 p.54

己を知るのは己ぎりだ
も一つあれば己を生んだ人間以上の魂だ

狂者の詩 p.54

つきぬけ、やり通せ
何を措いても生を得よ、たった一つの生を得よ
他人よりも自分だ、社会よりも自己だ、外よりも内だ
それを攻めろ、そして信じ切れ
孤独に深入りせよ

冬の詩 四 p.72

僕の前に道はない
僕の後ろに道は出来る
ああ、自然よ
父よ
僕を一人立ちにさせた広大な父よ
僕から目を離さないで守る事をせよ
常に父の気魄を僕に充たせよ
この遠い道程のため
この遠い道程のため

道程 p.82-83

俺は感ずる、
人間が無に等しい故に大である事を。
ああ、おれは身ぶるひする、
無に等しい事のたのもしさよ。
無をさへ滅した
必然の瀰漫よ。

火星が出てゐる p.149

僕はあなたをおもふたびに
一ばんぢかに永遠を感じる
僕があり あなたがある
自然はこれに尽きてゐる
僕のいのちと あなたのいのちとが
よれ合ひ もつれ合ひ とけ合ひ
混沌としたはじめにかへる

僕等 p.202-203

あなたはまだゐる其処にゐる
あなたは万物となって私に満ちる

亡き人に p.255


感想

 実はこの本、前にも読んでいる。前回は『道程』が読みたくて、パラパラと捲って読んでいった。何度読んでも『道程』の詩は凄くいい!!!

 今回はしっかり全体を読み通した。すると新たな気づきがあった。この詩集は、『「道程」より』『「道程」以後』『智恵子抄』の3つの年代に分けて収録されている。

 『「道程」より』には、力強い、挑戦的な作風が多い気がした。
 『「道程」以後』は、ちょっと落ち着いた感じを受けた。
 『智恵子抄』からは、智恵子夫人への愛、智恵子夫人を失った悲しさをありありと感じることができた。

 私はこの『道程』という詩が好きだ。道なき道を突き進み、その先で何が起ころうと、進んだ後には道が残る。という印象を受けた。私も道なき道へ挑戦したいと思うので、挑戦する時にはこの詩がいつも頭の中に浮かぶ。


書籍情報

高村光太郎詩集
高村光太郎
岩波文庫
1995年7月5日 第54刷発行


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