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随想(詩について)

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2024年7月の記事一覧

55年後の「詩の教室」

55年後の「詩の教室」

ぼくは、子どもの頃からずっとひとりで詩を書いていました。九段高校に通っていた頃も、学校で詩の話をする友人は、ひとりもいませんでした。

詩は、家に帰ってから、自分の部屋で、扉を閉め、机に向かって、ひそかに書くものでした。

ですから、高校にいる間は、詩のことは、授業中に窓外の空を見上げながら、堀辰雄や三好達治のことを考えたりはしましたが、誰にもそのことを話すことはしませんでした。

けれど、ぼくの

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同人誌に入ってよかったと思う、一番のこと。

ぼくは20代で「グッドバイ」という同人誌に、創刊メンバーとして入りました。

もうずっと昔、1970年代のことです。

同世代の何人かで、一緒に詩を載せる雑誌を作ろうというのが、目的でした。

それまでぼくは、子供の頃から、ずっとひとりきりで詩を書いていたので、誰かと一緒に詩の活動をやるのは初めてでした。

ですから、ぼくの気持ちとしては、単に詩を載せるための雑誌に入ったのです。それだけのことだっ

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昔、詩をやめたことについて

昨日は、高円寺の「バー鳥渡」で、さとう三千魚さんと、詩について話しました。聴いてくれた人は8人ほどの小さな集まりでした。気楽に、いろんなことを話したのですが、その中で、詩をやめたことの話になりました。

さとうさんは、詩集を出したあと、30年間の長いあいだ、詩を書かないでいた時期があったそうです。

ぼくも長いあいだ、書かない時期がありました。同じだなと、思いました。

それで、「書いていない時期

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知っている人の活躍に、心が落ち込むのなら

ぼくが今さらあらためて言うことではないけれども、ネットとかSNSというものは、便利であるとともに、付き合ってゆくのがむずかしいものだと思う。

昔であれば、知らないで済んだことまでも、知ってしまうことがある。即座に知ること自体は悪いことではないけれども、それによって、心が乱されることがある。

たとえば、休日に機嫌よく自分の詩を書いていた人が、なんとなくSNSを読んで、知っている人の活躍を見てしま

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