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現代詩の入り口

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2023年9月の記事一覧

「現代詩の入り口」22 ー 詩の本質がむき出しになっているところを見たいなら、荒川洋治を読んでみよう

「現代詩の入り口」22 ー 詩の本質がむき出しになっているところを見たいなら、荒川洋治を読んでみよう



「キルギス錐情」     荒川洋治

方法の午後、ひとは、視えるものを視ることはできない。

北ドビナ川の流れはコトラスの市(まち)からスコナ川となり史実のうすまった方位にその訛(か)を高めている。果たしてそこにひとは在り、ウラルの高峰をのぞみながらでごろな森を切っている。倒れ木の音は落ち

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「現代詩の入り口」21 - 芯のあるわかりやすさを知りたいなら、菅原克己を読んでみよう

芯のあるわかりやすさを知りたいなら、菅原克己を読んでみよう

詩に選ばれている人なんていないのかなと、ぼくは思うのです。詩を選ぶのはいつだって人の方で、そしてだれでもが詩を選ぶことができるのだと思うのです。詩を書いている人は、詩に選ばれたのではなく、詩を選んだ人ばかりです。ですからみんなが同じなんです。

で、今日はあたりまえの話をしようかと思っています。自分の書いているような詩だけが詩ではないよ

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「現代詩の入り口」20 ― 理屈抜きに詩の魅力に浸りたいなら、高階杞一を読んでみよう

「現代詩の入り口」20 ― 理屈抜きに詩の魅力に浸りたいなら、高階杞一を読んでみよう

本日は高階さんの詩を読んでみようと思います。十一篇あります。どれも面白いです。

象の鼻
てこの原理
家には誰も
キリンの洗濯
ゆうぴー おうち
春’ing
サイの河原
だぶだぶの夏
桃太郎


象の鼻 



「象の鼻」 高階杞一

世界の端っこに
鼻のない象がいて

午後には
おばさんがきて

夜には

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