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ダイアモンドの婚約指輪を飲み会で披露した、30年後の彼女は今。

GWの最中。

5年ぶりに高校の親友、いや、幼稚園からの幼なじみとも言える多香子から突然LINEが来た。

20時。

13年おつきあいしていた彼氏(60代半ば)が突然亡くなって、、凹んでる。
今、○○君と飲んでる、美伊が地元に帰ってるなら来ない?
と。

わたしは、いつものようにピラティスに行って、帰宅し、いつものように軽く飲みながら夕食の支度を静かに楽しんでいました。

彼。

そういや1回お会いしたことあるなー。
10年前くらいかな。
たまたま実家に帰った時。
最寄り駅から実家に帰る途中の
パチンコ屋さんの前で。

いかつい白髪混じりの男性。

その後ろを歩く多香子は、昔のはつらつとした健康美の多香子ではなかった。

「美伊??やんね?元気?彼氏やねん。」

軽く挨拶をした。
その彼は今はもうこの世にはいない。


多香子は24歳で結婚した。
1つ上の男性と。
女の子と男の子の2児の母となり、懸命に子育てをしていた。
お子様にも何度かお会いしたこともある。
とっても素直で礼儀正しく、そして愛くるしくて。
でもその後、旦那さまが心を壊してしまい、離婚した。
多香子は懸命に働いた。
エンディングプランナーという職に出会い、彼女は誠心誠意頑張っている。今も。


24歳で多香子は結婚した時、
その報告会を兼ねて、高校卒業後、久しぶりに地元で部活の仲間と飲み会があった。

当時、わたしは就職した会社でなんの目的もなく、彼氏なんかいるわけもなく、うだつのあがらない中途半端な時期だったかな?
でも、皆に会えるのが嬉しくて飲み会に参加しました。


その時に、多香子の結婚の話になり、彼女が突然、バッグから指輪が入っているであろう綺麗な箱を取り出した。
そっと開けるとキラキラと輝くダイアモンドの婚約指輪が。

彼女はそれを自ら左の薬指にはめ、芸能人がよくやっているポーズで私たちに
「彼からもらったの。婚約指輪。」

私たちは羨望の眼差しでその指輪を見ながら、おめでとうの言葉を送り続けました。

その時の多香子の笑顔と、どや顔が忘れられない。


あれから約30年後。

その多香子からのLINEは、その当時誰が想像したでしょうか?


コロナが落ち着き、日本中は、殺気だったように観光地が賑わっている。
いつものように自分の部屋で過ごしていた夜の突然のLINE。

5年ぶりのLINE。


わたしは多香子のために身支度をして、
地元の飲み屋に行く気持ちにはなれない。

自分の人生、自分でまとめましょ。

あなたがもう一度、

あの30年前のダイアモンドのように

輝きたければ。

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