【Podcast書き起こし】歌舞伎にもドラマにも愛あればこそ!?
■オープニング
【タイトル】TFC LAB presents集まれ!伝統芸能部!
【田中】皆さんこんにちは!「TFC LAB presents集まれ!伝統芸能部!」開幕のお時間でーす! この番組は普段は広告制作会社に勤める伝統芸能好きが大集合。伝統芸能をたくさんの人に好きになってもらうためにあの手この手で勝手にPRを頑張る番組です!
ポッドキャスターリレー形式の本番組なんですが、今回は歌舞伎チームがトークをします。ポッドキャスターを務めるのは、
【石川】はい、私石川です。
【吉武】私、吉武華奈子です。
【田中】そして、私田中の3名でお送りしていきます。よろしくお願いしまーす!
【石川・吉武】よろしくお願いしまーす!
■歌舞伎と宝塚、「型」という共通点
【石川】ところで田中さん、なんか高校の時、お芝居、演劇やってたってことなんですけどね?
【田中】そうなんですよ。埼玉のとある公立女子高校でミュージカル部にいまして、私は一応男役をずっとやってました。
【石川】おー!なんか、女子だけだとやっぱり宝塚っていうね、印象があるけど吉武ちゃん、好きですよね?
【吉武】はい(笑)、そうなんです。本場のほうにも行ってみたりとかしてて、女性だけで男性役も女性役もやって、何でしょうね、現実にないような理想の世界を再現するっていうところで、すごく魅力があるなーと思います。そういう意味では歌舞伎はね、真逆というか……。
【石川】田中さんの演劇部もそういう意味ではまさに非現実的な世界という感じなんですか?
【田中】うーん、そうですね。でもやっぱり男役の主役をやってる人は実際に、ちょっとモテる感じに、チョコレートもらったりとかね、バレンタインに。なんかそういうちょっと日常と非現実が混じっちゃうみたいなところがありましたね。
【石川】うーん、なんかアレじゃないですか? 宝塚はやはり女性だけ? で男女やりますし、一方で歌舞伎は今度は男だけで女役もありというかたちで、こう、ある意味全く対局の世界でありながら、スタイルはね、結構そういう意味ではおんなじというか異様に不思議な世界でしょ?
【田中】そうですね。
【石川】うん、だから意外とそういう意味では宝塚のファンの方たちっていうのはもしかしたら歌舞伎にも通じるのかも。
【田中】あー! なるほど。そうですよね。
【吉武】あー、それは十分にあると思いますね。確かに!
【石川】うん、だって僕、例えば玉三郎さんとかすごい大好きなんですけど、本当、玉三郎さんのね、演技とかを見ていると、ある意味現実の女性以上に非常に女性的。
【田中】そうですね。
【吉武】確かに確かに。
【石川】あるでしょ?
【吉武】なんか、宝塚の男役の人も女性の理想の男性像をやっぱ分かってやってるから、すごく何て言うんですかね、男性より男性らしいときがあるみたいなのもあるし、多分歌舞伎もそうで、女性のどういうしぐさが色っぽくてたおやかだとかみたいなのが分かってるから、だからこそすごく魅力的に映るみたいなところがあったりしますよね、多分。
【石川】結局アレかな。やっぱりスタイルっていうの?
【吉武】そうですね。型というか。
【石川】型というかね、見せ方っていうか、そういうのがあるんでしょうかね。
【吉武】そうですね、それをまず、型を受け継ぐっていうところから始まっていくのでそこを受け継がないまんまやっていくと、その型なしになってしまうっていうところですごく気を付けて演じられてるっていうお話をよく読むので、やっぱ特に宝塚だと「ベルサイユのばら」とかまさに型の演目だと思いますけど、歌舞伎にもそういうものがあって、なんかその、そこを一生懸命やろうとするからこそ魅力が出てくるというか、おんなじ型なんですけど演者によってすごく違いが出てくるというか、そこに演者の魅力が出てくるってところがすごく見てて面白いところだなと思います。
【石川】うん、有名なね、話ですけど、皆さんもご存じかと思いますが、5レンジャーってあるじゃないですか。
【吉武】はいはい。
【イシカワ】戦隊……5レンジャー。あれのね、5人が1つ1つ見得をするっていうのは、歌舞伎の白浪五人男っていうですね、演目からそういう意味ではいただいてやっているっていうことで。
【吉武】あ、そうなんですね!
【石川】実は僕らも知らないところで歌舞伎のスタイルっていうのは……。
【田中】えー! そうなんだ!
【石川】そうなんですよ(笑)河竹黙阿弥さんが作ったんですかね? 確か。
【吉武】はい。
【石川】うん、そういうのあったりとかね。だから見せ方というのはすごくこう、多分宝塚も共通している部分もあると思うんですけど。ありますよね?
【吉武】はい。
■歌舞伎における「愛」①『修善寺物語』
【石川】そういう意味でね、あともう一つは型だけじゃなくって、やっぱりこう歌舞伎ってどうしても昔のお話っていうところがあるとは思うんですけれども、やはり観に行った方はみんな分かると思うんですけど、とってもこう、なんか愛にあふれた演目多いじゃないですか。男と女の愛だったりとか親子だったりとか、ある意味ちょっとアレだけど男同士のね、忠義というか、そういうのだったりとかっていうのがあるんですけど。
田中さんとか例えばどういうの好きですか?
【田中】そうですね。私は結構新作歌舞伎とかで現代の話を歌舞伎に変換したやつとかをたまたま観に行ったりとかしてて、ちょっと前になっちゃうんですけど「あらしのよるに」っていう演目があって、それはまさに友情の話なんですよ。男同士の友情の話がベースになってるっていうやつで、なんかやっぱり今に通じるものがあるんだなっていうの観たときに感じましたね。
【石川】なるほどね。吉武ちゃんはなんか……どういうやつが好きですか?
【吉武】そうですね。私は色々気になるものがあるんですけど「修善寺物語」っていうのをちょっと前に観まして、なんでしょうね……純愛ものだったんですけども、純愛もありつつ、あと師弟というのかな、上司と部下っていうか当時のお殿様と部下の関係とか色々ありつつですね、私のなかでは特に純愛の部分がいいなと思ったんですけど、自分の命をかけてまで相手のために、お面を作る話なんですけど、お面を被って相手に見せて彫ったお面を被って相手の振りをして命を捨ててまで守り切るというか、守り切れないんですけど結局は。そのぐらい愛情かけるっていうところがすごく響くし、現代だとそこまで命かけてどうこうってとこまでないですけども、なんかこう感情の面で普遍的なものあると思うので、現代にそういうものが身近じゃないから逆にロマンを感じるというか、そういうところがあるんじゃないかと思います。
【石川】なんかね、他のときのもね、「修善寺物語」はね、僕はオペラで観たことがあるんですけど、清水脩先生っていう方が作曲なされたね、オペラがあって、やはりまあ僕はなんかね、恋愛というよりはね、アレに関して言うとアーティストのね、業というの?
【吉武】あー、それは確かにありますね。
【石川】あの、要は自分の娘が、今吉武ちゃんが話したように、恋する人を犠牲になって、自分のお父さんのところへたどり着くんだけど、お父さんは一応彼女の死に顔を面を作ります。
【吉武】はいはい。
【石川】ようやく自分がこの本物の面を打てるとかっていうことで。
【吉武】そこがリアルだっていう……。
【石川】そう! そこがね、すごい……。
【吉武】そう、なにか足りないなにか足りないって言って、ずっと彫っていても他人には渡したくないっていうか、頼まれて彫っているんですよね。で、頼まれて彫っているんですけど、なんか完成しないからって言って、本当は頼まれたときに、頼んだ本人は「もうこれでいいじゃないか」って言うんですけど、「なんか足りない」って言うところが最後、娘が死んだことによって、「あ!これだ!」っていうところに行きつくんですよね。
【石川】だから娘の断末の顔というのを「ようやく出来た!」とかって言ってね、それでね、やる……。そこで妹とか妹の旦那とかが、「しっかりせい!」とかなんとかって言ってるんだけども、お父さんにはそんなこと関係なくて「ようやく我々もちゃんとした面が打てるぞ!」みたいな感じで。
【田中】それ、お父さんちょっとサイコパスじゃないですか?(笑)
【石川】そうそう!なんだろう、もうなんかさ、やっぱりこうそういうところって、でももしかしたら芸術家の世界っていうのがあるのかなっていうかね。
【田中】あぁー!
【石川】なんかゴッホとかだって一応自分の耳を結構切り落としちゃって、やっぱりちょっとこう……。
【田中】「はー痛い。ちぎっちゃえ」っていう(笑)
【吉武】想像しただけで痛いです。
■歌舞伎における「愛」②『四谷怪談』
【石川】そうそう、であとね、ほんとそういう意味ではホラ、夏でいうとね、四谷怪談とか、そういうのも歌舞伎の演目では有名なものがあるけど、あの話なんかは知ってるでしょ?
【田中】知ってます。
【石川】あの、どうですか?お岩さんの気持ちは?
【田中】そうですね。なんか裏切られたっていうのが、浮気から始まって毒を盛られてっていう、今不倫とか色々話題だけど(笑)やっぱそういうのが、でもその、何だろうな。浮気されて悔しいとかっていう気持ちって今と変わんなかったりするから、そこらへんは教官できつつ演出としても面白いみたいなところはすごいあるなーっていうふうにですね。
【吉武】現代でそういうふうに復讐するわけにいかないからこそ、多分その見てる人たちが色々なモヤモヤを例えば持っていたとして、その舞台を見ながらなんかその投影してるというか、自分のところ「ここまでは出来ないけどここまでやってくれちゃったらちょっと気持ちいいよな」みたいな、そういうところはちょっとあるのかなっていうふうに思います。
【石川】ああいうあの伊右衛門みたいなサ。男っていうのはどうなの?
【田中・吉武】(笑)
【田中】どうなんだろうな。
【吉武】いやー、なんかね、ちょっと責任感ないなとかって思ったりしますけど。
【田中】いわゆる、ちょっと危険な男みたいな感じですよね。だから特に昔は結婚する年齢も今より若かったりするから、そういう男が魅力的に見えるっていうときなのかもしれないなってちょっと思ったりとかしたんですけど。
【石川・吉武】(笑)
【吉武】確かにそうですね。年齢全然若いですものね。
【石川】でもさ、あれなんてさ、途中結構やっていいのかみたいなね、DV じゃないけど、ホラなんか金ないから「売る物よこせ!」とか「これだけは売らないでください」とかって言うなら「うるせぇ!」みたいな感じ。
【吉武】そう、なんか情もなにもないなと思って、なんかその男女の関係っていうよりなんかちょっとある種物になってるっていうか、お岩さんに対する接し方が、対「物」みたいなところがすごいちょっと見ててゾットするなっていう風に思いますね。
【石川】うーん、ああいうふうに、でもあの、取りつかれてると、やっぱり男って駄目ですね。
【田中】そうなの?
【石川】ああいうあの霊の取りつきってさ、一種のストーカーみたいなもの……。
【田中】はいはい。
【石川】ねぇ?恐ろしいですね。悪いことしたら絶対駄目だとかって思っちゃう。
【田中】ある。結構なんか教訓っていう部分もあるのかもしれないですよね。なんか結構グリム童話じゃないですけど今に残ってるものって教訓としてこれをやっちゃいけない、こうなっちゃうよみたいな教えるものが出てるじゃないですか。そういうもしかしたら色んな作者の自戒の念とかも込められてるのかなとかって思ってますよ、私は。
【石川】でもアレだよね。歌舞伎ってほんと面白いのは結構あの「仕掛け」が面白いじゃないですか。今のこの「四谷怪談」とかも例えば「仏壇返し」とかよ。あとあの…
【田中】「戸板返し」ですよね。
【石川】そうそう、「戸板返し」有名だし、あとあの「提灯抜け」とかね。なんかさ、「こないだそれは何なんだ?」って、やっぱこれ、聴いてらっしゃる方、興味持ったら是非1度観ていただきたいんですけど。
【田中】是非ぜひ観てほしい。
【石川】僕はあのアレなんですよ。今から大学のときなんですけど、当時の片岡孝夫、今の仁左衛門と玉三郎の黄金のTTコンビ!
【田中・吉武】TTコンビ…!
【石川】TT コンビってね、言われていてね、このとき玉三郎さん初役だったみたいで、このとき以来は全然演じてないっていうことらしいんですね。
【吉武】あー、そうなんですか。
【田中】そうなんですね。
【石川】うん、で、これのね、「四谷怪談」は観てね、「ああ、面白いなー」って思ったし、あとやっぱりね、あの当時孝夫はほんとにハンサムというかイケメンですごく有名だったので。
【吉武】今でもお綺麗ですよね。
【石川】ねー! ほんとだよね。
【吉武】体型も変わらずに。
【石川】いや、ほんとアレはね、玉三郎さんが当然お岩さんの役やってるんですけど、ちょっとしたところがすごい女の人としてのリアリティーがあって、それが面白いの。
なんか普通に決め台詞どうのこうのっていうこと言ってるでもなく、でも考える間とかね。こう、ちょっとしたそういうなんて言うか、現実っていうのかな?そういうところがね、すごくリアルで、そこは細面だから綺麗だし。
【吉武】そうですね。
【石川】すごいだからね、怖かった。
【吉武】(頷き)
【田中】ああ、なるほど。リアリティーがさらに恐怖を引き出すとか、ああ……確かにそうですね。
【石川】そうそう、だからお岩さんが一応そのとなりの伊藤屋さんだっけ?あれに乗り込んで行くぞー!とかっていうところをその宅悦が止めるじゃないですか。で、その止めて、そのまま柱に刺さっていた短刀のところで「あれー!」とかって言いながら首ザクッていくわけですよね。なんかね、そういう演出とか、だからお岩さんが亡くなる演出とかね、結構歌舞伎ってなかなか、それをやっぱりまだ20歳そこそこの若造が見ると、なかなか結構ね。
【吉武】衝撃的ですよね。
【田中】あははは!
【石川】衝撃的な感じがありましたよね。
■歌舞伎に興味をもったきっかけ
【石川】で、歌舞伎を見るきっかけっていうのはどんな?
【田中】私はですね、ちょっとそこは多分特殊で、小学生のための歌舞伎体験教室っていうのを文化庁が多分主導してるんだと思うんですけど、毎年? ちょっと今年やるか分かんないですけど、やっていて、それのほんとに1回目とか2回目ぐらいのときに参加させていただいてて、で、それは1週間本物のプロの歌舞伎役者さんに小学生が恵子をつけてもらって、最後国立劇場のステージで1演目みんなでやるっていう企画だったんですよ。
【吉武】へー!
【石川】何やったの?
【田中】えっと…あ!演目が今バッて出てこなくなっちゃった!調べてもいいですか?
【石川】まあ、そうですか。へー!
【田中】そうなんですよ。それで、ほんとに衣装も普段お芝居でほんとに使われている本物のものを着させてもらって、カツラも必要な人は徳山さんとこ行って作ってもらってみたいな、ほんとにそういうところから全部やらしてもらってっていう感じだったので。で、もうステージとかも私たちのために朝から作りこみしてくれるわけですよ。ほんとにすごい体験で、もしお子さんいる方、親戚にお子さんいる方とか(笑)、今小学生だって方がいたらほんとに体験させてあげてほしいっていう超オススメ体験なんですけど。ほんとに実費で出したらいくらかかるんだろうみたいなのをその文化庁が歌舞伎を好きになってもらうために肩代わりしてやってくれてるって感じなので。
【石川】へー。でもホラ今歌舞伎ってアレじゃない。重心が低いほうがいいって言うから、今の若い人たちって、みんな足が長いので。
【吉武】そうみたいですね。
【石川】なんかあんまり向かないんですってね。だからやっぱりこう、短足の人のほうが、ここで言っちゃアレかもしれないけど、團十郎さんとかね、なんかやっぱり足があんまり長くないところがすごく安定感あって逆にかっこいいというかね。
【田中】あー!
【石川】そういうところってあるでしょ?
【吉武】はいはい。
【石川】吉武ちゃんは何を観て歌舞伎って……。
【吉武】私も結構特殊な入り方をしたと思うんですけど、自分でお稽古で殺陣を習ってたんですけど、そこでよく浅草の方に行ってて、本屋さんにふと入ったときに、浅草のお扇子屋さん……橙お扇子作ってるところの主人が勘三郎さんのこと書いた本が並んでいて、ちょっとふと気になって取って、そこから勘三郎さんにハマり、もう亡くなってたんですけど、知ったときには。で、勘三郎さんの本読んでるうちに観たくなったんで、それこそ会社の近くの赤坂のところで兄弟が演目やってたんです。ちょうど春の。で、まだ全然古典演目じゃなかったんですけど、そこで観て七之助さんのあまりの美しさに衝撃を受け(笑)そっからじゃあちょっと本番をちゃんと観ようと思って、4月の本番行けるところで、まだいろんな知識がなかったので、歌舞伎座の1番上の幕見席からデビューしたっていう感じですね。そこでもうすっかり踊りにハマってしまって、そこでやってたのが奴道成寺の、四代目猿之助さんの奴道成寺が大好きで、猿之助ってすっごい踊りが上手いことで有名な方なので…
【石川】そうですね。
【吉武】なんかもうそれに魅入られてしまって(笑)、そっからどんどん歌舞伎にハマっていったっていう経緯ですね。
【石川】弊社のそばにもありますね。
【吉武】そうですね。はい。
【石川】でもあの、そうそう、歌舞伎ってさ、だから演劇だけじゃなくってさ、合間に挟まれる日本舞踊?
【吉武】そうなんですよねー!
【石川】あれ素敵ですよね。
【吉武】あれがいいんですよ。ほんとに。
【石川】藤間流とかね、色んな流派の。
【吉武】そうそう、そうなんです。あれはもう言葉も何もいらないってか、もう日本人じゃなくても観たら分かる。観たらとにかく美しいからっていう、もうそこで一気に引き込まれますし、幕見だったら、分数短いんで、例えば踊りだけ見るとか。
【石川】そうだね。
【吉武】雰囲気だけ味わうっていうことから入っていけるので、すごく入門としてはいいかなと思ってます。
【田中】演目分かりました! あの、「寿曽我対面」といやつです。
【吉武】ああ!あれ、お正月の演目ですよね。
【石川】本格的!
【田中】あの、結構アレですよね。新年のときとかによく。
【吉武】かかってますね。
【田中】割とこう、縁起がいいほうの(笑)
【石川】うんうん。
【田中】でも、これもベースのストーリーは仇討ちもので。
【石川】そうだね。
【吉武】五郎十郎みたいなの出てきますね。
【石川】うん、曽我の兄弟とかね。曽我ものっていうふうに言うんだよね。
【吉武】そうですね。強めの人とナヨナヨっぽい感じとコンビで。
【石川】そうそう、お兄さんの十郎のほうがナヨナヨ系。イケメン系で。五郎さんのほうが。
【吉武】やんちゃ系ですよね。
【石川】荒事系で。
【吉武】やんちゃでパワフル系みたいな。
【石川】やー、ほんと勘三郎さんっていうか、まあ僕は勘九郎さんの時代というか。
【吉武】あー!五代目のときから。
【石川】これ、僕の1つのエピ祖度なんですけど、僕は大学のときにね、あるレストランでウエイターのアルバイトをしてたんですよ。そこが某テレビ局のそばなのね。だからよく色々芸能人さんがいらっしゃってたんですけど、僕のテーブルっていうのが、必ず勘九郎さんと某ある女の人の、まあ、それは別に変な関係なのか、お友達なのか全然分かりませんけど、そういうのはあり。まああとね、原田知世ちゃんも必ず僕のテーブルにっていうのが……。
【吉武】あ!そうなんですか。
【田中】へー!
【石川】それでいつもだから知世ちゃんが、知世ちゃんって。
【吉武】あははは!お友達みたいな感じになってますね(笑)
【石川】「ウエイターさん」とかって言うと僕が行ったりなんかね、そう。
【吉武】思い出の?
【石川】そう、急に思い出した。
【全員】あははは!
【石川】みんなでも歌舞伎の方たちってやっぱり皆さん目力がすごいので、なかなかオーラがすごいですよね。やっぱりね。
【吉武】すごい。
【田中】たまに映画出られる方とかもいるじゃないですか記者発表とかでしゃべり始めると、「あ、この人歌舞伎の人だ」って(笑)
【吉武】雰囲気がね。
【田中】普段からすごい通る声で。
【石川】そうだね。
【田中】ゆったり、結構、独特のことやっぱりしゃべってる感じがあるから。「あ、すごい分かる」みたいなのありますよね。
【吉武】そうですね。
【石川】あと、ほんと先代幸四郎さん……今の白鸚さん。僕の大学の先輩なんですけど、大学のときにやっぱり公演にいらっしゃっていただいて、それで僕ちょっとほんと間近でお話できたことがあるんですけど、超カッコよかったですね。ちょうどあのときまだ「ラ・マンチャの男」とか、そういうのをやってて、幸四郎さんと女性がね、鳳蘭さんとかさ。
【田中・吉武】ああー!
【石川】ちょっとあまりにも古いかもしれないけど。
【吉武】いや、わかりますよ。
【田中】わかりますわかります。
【石川】生まれてないんじゃない?
【吉武】生まれてないですけど。
【田中】生まれてないかな?
【吉武】何年ぐらいなんだろ。
【石川】80年代前半ですよ。
【吉武】あ、生まれてないですね。我々90年代。
【石川】そうか。
【吉武】はい、そうなんです。
■歌舞伎を広めていくために
【石川】それね、90年代生まれの人でやっぱり歌舞伎ハマってくれる人がいらっしゃるっていうのはやっぱり嬉しいですよね。なんか分かんないけど「何が魅力?」とかって思っちゃうところあるんだけど、僕らからするともうさ、ほら昔のうちのおばあちゃんとか、そいう銭形平次とかね、要は中村梅之助さんとか先代白鸚さんとか吉右衛門さんの鬼平とかね。まあ、おばあちゃんからすると一応吉右衛門じゃなくって、お父さんね、一応白鳳さんの鬼平とかっていうんだけど、そういうのが入ってきてるところがあるもので、そのきっかけっていうのが、だから今面白いなーと思ったりした。
【吉武】そうですね。なんか元はといえば生活に根付いてたものですものね。歌舞伎の起こりを考えたら。だから今必要以上に敷居が上がっちゃってる感じがすごいしてて、だからそのためにどういうふうに生活の中にまずちょっと週末行ってみるとか、色んなメディアが今出てきてますし、だからどうやってそこに戻すかというか、実は席でお弁当食べられたりとか、庶民的なところもあるじゃないですか、歌舞伎って。なんかそこはどう伝えていくかなっていうのは、すごく……ハマっちゃった身としては、今後の課題だなというふうに思います。
【石川】ねえ、今ほらお向かいのさ、お弁当屋さん? 歌舞伎座のね、コロナのアレで。
【吉武】なくなっちゃって。
【石川】ねー、なくなっちゃって、すごい残念ですよねー。名物だったのに。
【吉武】もうちょっと頑張れば良かったなんていうようなことを。
【石川】でも、その敷居を低くするってさ、なかなかやっぱりこういう伝統芸能って、難しくありません?
【吉武】難しいですね。
【田中】なんか、ヨーロッパとかだとそれこそオペラみたいなものだったりとか、結構脈絡と続く伝統的な芸能とかって、結構若い人も観てるし、なんかそれに誇りを持ってるみたいな…。
【石川・吉武】そうですね。
【田中】なんかそれが日本ではほんとう、そうなってほしいなーとかっていう気持ちも、すごいあったりするんですよね。で、なんか聞くと、ヨーロッパだと、なんかすごい学生だと半額とかで行けるように支援されてたりとかっていうのあるらしいんで。
【石川】1000円か2000円ぐらいかな?ですかね。
【田中】ほんと映画観に行くレベルでお芝居も観れるみたいなのが、そういう仕組みとかが出来たりすると、もしかして違うのかなーとか思ったりしますけど。
【石川】なんかね、僕もね、パルマ。ちょうどイタリアのね、ベルギーのふるさとのパルマに取材に行ったときに、たまたま「リゴレット」っていうオペラをやってたんですけど、一般の人たちも勿論いるんですけど、休憩のときにね、お手洗い行ったら、ほんとに親父? ある意味別にお金持ちの人とかそういう感じじゃない一般の親父の人が、まあある意味お手洗いで、ちょっとアレだけど、おしっこしながら口笛で「リゴレット」のあそこの四重奏?あのタンタターン……ていうのを、用足しながら口笛で吹いてて。
【田中・吉武】すごーい!
【石川】そんな感じなんだなとかって思ったの。
【吉武】そのぐらい染みついてるってことですよね。
【石川】そうそうそう。
【吉武】めっちゃ器用ですよね。
【田中】あははは!
【石川】みんなだから、そういう意味では、まあ、当然パルマの人たちは一応ベルギーを誇りと思ってるから、というのはあるんですけど、ほんと一般の人たちが、もうね、口笛で、もうそんなかたちでやってるって。
【吉武】あー、確かに。うんうん。
【石川】すごいまあ、敷居というかなんというか、生活に根付いた感じはあるなーって気がするんですよね。
【田中】確かに。日本だと口笛で長唄みたいなの唄える人っていないですよね。
【吉武】(笑)出てこないですね。全く。
【田中】「どうした?」って感じですよね(笑)
【石川】ほんとですよね。それこそ「倍返しだ!」とかさ、そういう意味では結構そういうテレビドラマとかのほうが、もしかしたら、うーん……なるのかもしれないですね。まあせめて歌舞伎ってなかなかなんとなく一般の生活とはちょっとやっぱり離れたところはあるのかなって気はするけど。
【吉武】そうですね。
【石川】ストーリー的にはね、結構ほんとこう、親子の愛とか男女の愛とかっていうのって、結構グッとくるものが多いですけどね。
【吉武】そうですね、ほんとに。
【田中】なんかでも結構昼ドラ的な展開ものとか多いですよね、今(笑)
【吉武】確かに(笑)
【田中】男女のドロドロ系だったりとか、ちょっと若干騙し騙されみたいな(笑)なんかそういうのは。
【吉武】そうですね。
【田中】でも、それはずっと人間がずっと好きなものなんだなっていう。
【吉武】だから続いてきたっていうのはやっぱりありますよね。
【石川】うんうん、だからアレだよね。ほんとあの、よくあの山崎豊子さんとかのね、「華麗なる一族」とかあるじゃないですか。
【吉武】はい。
【石川】なんかああいう、こう1つのご一家? で、色んな人たちがいて、実はこの人が本当の子供じゃなくって、実は違う家の子供で、あの……ね? そういうのって結構韓流とかでもね、ありそうですけど。
【ヨシタケ】確かに。
【田中】そんなことある? みたいな。
【石川】今ほら、Netflixでやってる、「愛の不時着」じゃないほうの韓流のやつ。
【吉武】ああ、「梨泰院クラス」ですね。
【石川】で、あっちのほうとかも、結局そういう金持ちがいて、てチャン・デヒさんがいて、なんか色々やられて、お父さんが自殺しちゃって、その復讐のために、のし上がっていくなんてさ、ほんと歌舞伎だよね。
【吉武】そうですね。そう、だから入ってみれば、「あ! 実はこういうストーリーあったんだ」みたいなところはやっぱり最初の敷居さえちょっと超えていけば、「なんか全然面白いじゃん」っていうところが切り口としてあると思うんで、だからこそ、まあ私たち、今日こういうふうにね、集まりましたけど、こういう感じでこれから「愛のかたち」だったりとか、色んなところで切り口で演目切手いって、皆さんに「あ、実はここ、これからこういう演目があるんだ」っていうところをお伝えしていけたらいいなと思いますね。
【石川】そうですね。ほんと今日ははね、割と全体的な話をしたけれども、今度はこの具体的な。
【吉武】そうですね。次は具体的に、是非ぜひいきましょう。
【石川】面白いですね。なんかね。
■エンディング
【吉武】はい。というわけで、残念ながらもう終演のお時間となっているようでして。
【田中】そうですね。残念ながら終演のお時間です。今日は。えーと、皆さん今日はちょっと初回なので、感想を一言ずついただきたいかなーと思ってるんですけど、どうですか?
【吉武】そうですね。なんか実は色んな物語が、色んな芸術とオペラとか宝塚とかとつながってるっていう、1つの舞台劇術っていう。でも、色々つながっているので、色んな切り口を使って今後伝えていけるなっていう可能性をすごく感じたというか、ドラマだったりとか、皆さんに敷居を1個越えていただくために、色んな切り口があるなっていう可能性をたくさん感じたので、今後に是非期待して臨んでいきたいなと思いました。
【田中・石川】素晴らしい!
【石川】まあ、じゃあ僕の場合はね、ほんと今も話して思ったんですけど、とにかく歌舞伎ってね、ドラマ好きは絶対にハマるなと思っているので、まあ皆さんあまり食わず嫌いはしないで、だからもしかしたら歌舞伎っておば様たちとか、そういう方たちが好きなのかも。
【田中】あー!
【石川】ほんとにある意味、昔の東海テレビさんが作っていた、ああいうオドロオドロの一応ドラマだったりとか、なんかそういうのっていうのが歌舞伎は満載なので、それが結構楽しいというかね、非現実的なかたちで楽しいのかなーとかって思うのでね。あの是非なんでもいいんですけど、ほんとそういう意味では歌舞伎、ちょっと観てみてほしいなーとかね、思いますね。どうですか?
【田中】そうですね。そもそも私、小学生のときに体験をして、中学生のときとかに結構本物のステージを観てとかってしてたんですけど、もう家族以外に話せる人がほんとにいなくて。
【田中・吉武】あははは!
【田中】ほんとに。会社に入っても、ほんとに皆さんと出会ってようやくこの話出来るようになったレベルなんですよ。
【石川】確かにそうだね。
【吉武】意外と自分から言いづらいですよね。
【田中】そうなんです。なんかこうやって皆さんと色々話していくっていうのも、すごいこの先も楽しみだし、これを通して、「実は私も話せます」みたいな人が。
【吉武】うーん、そうですね。是非。
【田中】いたりとかすれば。まあ最近ね、古いものを観に行くとかって結構、流行り始めたりするから、なんかちょっと気になってるけどっていう人が実際に行ってくれたりとかってしてみたらすごく嬉しいなっていうふうに思っています。
【石川】なんかアレですよね。「私、これ観てきましたー」とかってね、一言ね。
【田中】あー! そうですね。
【吉武】そうそう、そうですね。そしたら……。
【石川】すごい楽しいですよね。そう、私がごちそうします。
【田中・吉武】あははは!
【吉武】語る会を是非やりましょう。あのオンラインでもね、なんでも。
【石川】歌舞伎飯の。
【吉武】歌舞伎飯しましょうか。じゃあ、まあちょっと楽しい時間でしたけれども、はい、そろそろお開きと。
【田中】そうですね。で、今日色々演目の話もちょこちょこしたりとか色んな話をしたんですけど、ポッドキャストの紹介文のところに演目のことだったりとか、ちょっと書いていこうと思っているのと、あとnoteをこのポッドキャストで作っていこうと思っているので、そちらのほうもちょっとリンクを貼ろうと思うので、是非チェックをしてください!
【全員】お願いしまーす!
【田中】ということで、次回も伝統芸能楽しく勝手にPRしていきまーす! それでは、次回公演まで……
【全員】さようならー!
最後まで読んでくださってありがとうございます!こちらは初回の書き起こしでしたが、なんと二回目も音声で出ているのです!
ぜひお聴きあれィ!!!
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