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鉄印帳の旅【第10弾】

2020年の9月に錦川鉄道から始まった鉄印帳の旅。ライフワークとしている鉄道風景写真撮影も意識的に第三セクター鉄道を多めに回ってきました。
全40社中、33社を集め、noteに掲載する「鉄印帳の旅」も今回で10回目を迎えました。

今回の行先は伊勢鉄道。ついでですから、そのまま足を延ばしていろいろ春の情景を撮りに行きたいと思います。

東京→名古屋→鈴鹿

今日の東京駅出発は、もう何度乗ったかわかりません。6時33分発のぞみ5号博多行。最寄り駅の柏たなか駅からの始発電車に乗ると、ちょうどこの列車がちょうどよく、撮影行の際にはこの列車に乗ることが多くあります。

東京駅

名古屋までは1時間半。朝ごはんを食べて、富士山を眺め、ちょっとウトウトしたらあっという間です。

名古屋到着は8時過ぎ。この日は平日でしたので、通勤ラッシュでかなりの人がいました。在来線ホームに出ると、デビューしたばかりの315系が向こう側のホームに停車していました。

名古屋駅では新車315系に出逢いました

名古屋からは快速みえ号に乗車します。これまで近鉄の独壇場に近かった名古屋-三重県にJR東海が本気で殴り込みをかけたと言われる瞬足の快速列車です。2両編成という短い編成で指定席は満席、自由席も立客が出るほどの乗り様。多くの乗客が利用しているのがわかります。

名古屋から乗車した快速みえ1号

桑名、四日市と停車して、快速みえ号は伊勢鉄道へと入ります。伊勢鉄道線内の停車駅は鈴鹿のみ。名古屋から1時間もかからず、列車は鈴鹿に到着しました。

鈴鹿駅

伊勢鉄道はもと国鉄伊勢線。亀山でスイッチバックする関西本線、紀勢本線の短縮ルートとして計画された新しい路線ですが、線内利用は少なかったようで第三セクター鉄道に移管されました。しかし、その後も特急南紀号や快速みえ号が通過し、JRから多額の通行料が支払われていることから、地元の利用客があまりいなくても黒字を確保していると言います。
鈴鹿駅は高架駅ですが、駅舎自体はとてもシンプル。コンクリートの高架橋の下にプレハブが建っているかのような駅でした。

鈴鹿駅全景
高架橋の下にある駅事務室

鈴鹿駅構内には、こじんまりではありますが、かつてのヘッドマークやさまざまな部品等が展示されていました。

鈴鹿駅構内の展示室

ここで鉄印を記帳してもらいます。伝統工芸の伊勢形紙で作られたきれいな鉄印でした。

伊勢鉄道の鉄印

伊勢鉄道鈴鹿駅のすぐ近くには近鉄鈴鹿線が走っています。しかし駅はありません。鈴鹿駅から歩いて15分ほどのところに鈴鹿市駅があり、そこに市役所もあって中心市街地を形成していますが、鈴鹿駅自体は周りにコンビニすらなく、寂しいものです。近鉄鈴鹿線自体は駅のホームから眺めることができました。

近鉄鈴鹿線の電車を遠望

鈴鹿から鳥羽へ

さて、伊勢鉄道の鉄印を記帳できましたので「鉄印帳の旅」自体はこれで終わってとんぼ返りしてもいいのですが、せっかくですから、さらに前に進むことにしましょう。
行先は鳥羽。ここから津を抜けてさらに紀勢本線、参宮線へと進んでいきます。この鈴鹿から、また快速みえ号に乗ってもいいのですが、せっかくですから、伊勢鉄道の車両にも乗っていきたいと思います。

鈴鹿駅に入線する伊勢鉄道の列車

白地にスカイブルーの伊勢鉄道の普通列車に乗車。利用客は少ないかと思いましたが、1ボックスに1人以上は座り、それなりに乗られているように感じました。
そして着いたのは終点の津。そう、日本で一番短い駅名です。

津駅に到着

津からは再び快速みえ号に乗車します。今度は4両編成。相変わらず乗車率は高めですが、何とか座ることができました。

津駅に入線する快速みえ3号

多気駅から快速みえ号は参宮線へと入っていきます。参宮線の魅力は何といっても終着鳥羽の手前で走る海沿い区間。かつては池の浦シーサイド駅という臨時駅がありましたが、2018年に休止、2020年に正式に廃止されました。

海沿いを走る

快速みえ号はやがて終点鳥羽駅に到着。並走する近鉄線は賢島まで線路が続きますが、JR参宮線はここが終点です。

鳥羽駅

鳥羽城跡

参宮線の終点・鳥羽までやってきたのは理由があります。長年憧れてきた撮影スポット、鳥羽城跡に行きたかったのです。鳥羽城跡は、鳥羽駅から歩くこと10分ちょっと。基本的に一本道ですので、迷うことはありません。

鳥羽城入口から急な階段を抜けると、まず三の丸、続いて二の丸、そして本丸と三段の城郭になっています。天守や櫓などは残っていませんが、往時をしのばせる石垣がきれいに残されていました。二の丸にはインスタ映えスポットにもなっている「♡TOBA」のモニュメントがでかでかとありました。両端の木は桜です。鳥羽は海風が強く寒いため、平野部よりも一週間ほど開花が遅れるそうですが、4月上旬には見頃になっているでしょう。

♡TOBAのモニュメント

ちなみに、撮りたかったのはこれではありません。本丸跡から望む近鉄志摩線の情景です。

鳥羽城跡から望む近鉄特急しまかぜ

ミキモト真珠島へと向かうブリッジをアクセントに、鳥羽の市街地や入り組んだ島々を望むスポット。ちょうどこの日は特急しまかぜの運転日で、しかも大阪・京都・名古屋から、1時間で3本ものしまかぜがやってくる日。アングルを変えながら撮影を楽しみました。春ですので、どうしても空が白っぽくなってしまい、海の色も映えませんが、こればかりは仕方がないですね。

斎宮で菜の花と

鳥羽からは近鉄電車で帰路に着きます。JRで帰ってもいいですし、何なら近鉄特急で帰れば早く名古屋に戻ることが可能です。しかし乗車したのは普通列車。それには理由がありました。

鳥羽駅に入線する普通・伊勢中川行

この時期、菜の花と絡めて近鉄電車を撮ることができるスポットとして名高いのが斎宮駅周辺です。普通列車しか止まらない斎宮駅で途中下車。たくさんの花々と列車たちを撮ることができました。

踏切脇の花壇でビスタExを撮影
菜の花畑では伊勢志摩ライナーを撮影

よく歩き、よく撮って、ちょっと雲が出てきた頃を見計らって帰路に着きます。普通列車に乗って松阪に向かい、そこからは特急列車に乗って名古屋、そして新幹線で東京へと帰ってきました。

斎宮駅に入線する普通列車

帰りもちょっと工夫して

東京駅に着いたのは19時半ごろ。そのまま秋葉原へ出て、つくばエクスプレスで最寄り駅の柏たなかへと帰ってもよいのですが、この日は平日、もろに帰宅ラッシュに巻き込まれます。
というわけで、せっかくですので、昨年路線が開設された、東京駅から流山おおたかの森駅を経由して柏の葉キャンパス駅を結ぶ高速バスに乗ることにしました。東京駅八重洲口のバスターミナルはとてもきれい。普段、丸の内側で仕事をしている私には縁遠い八重洲側の変貌ぶりに驚きました。

東京駅八重洲口バスターミナル

乗車率が低迷していると記事で見たことがありますが、意外にも20人以上の乗客が列を作り、それなりの乗車率と見受けられました。定期券で通勤している者としてはあまり利用できないかも知れませんが、たまに疲れた時にはバスで爆睡して帰るのも悪くないかも知れません。何せ、つくばエクスプレスはすべてロングシートの通勤型で特にホームライナーのようなものもありません。固くて狭いシートに座って帰るよりも、高速バスで多少なりともリクライニングできるシートに座って帰ること、そして何より景色が前から飛んでくる(変な言い方ですが)のが心地よい。ロングシートでは景色は横に飛んでいきます。何より、ラッシュ時はおっさんの腰のあたりしか見えません(見たくて見ているわけではありませんよ)。それに比べたら雲泥の差があろうというものです。

というわけで、日帰りの伊勢鉄道、そして鳥羽までの春旅を終えました。
鉄印帳は残すところ、道南いさりび鉄道、IGRいわて銀河鉄道、由利高原鉄道、阿佐海岸鉄道、土佐くろしお鉄道、松浦鉄道を残すのみとなりました。あまり焦らずに、またじっくり巡っていきたいと思います。

(掲載写真はすべて筆者撮影。なお、常にマスクを着用、単独行動で感染対策には十分に気を配っての旅程です)

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