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一瞬北海道、東北乗り鉄の旅−鉄印帳の旅【完結編】
2020年の9月に、錦川鉄道で購入し、始まった鉄印帳の旅。これまで、趣味の鉄道写真撮影の合間に、そして鉄印をもらうためだけの乗り鉄旅に、全国各地の第三セクター鉄道を訪ねてきました。集めた数は37。残るは3つ。今回、この残りの3社を一気に回ろうと乗り鉄旅を計画、夏休みに行ってきました。行先は道南いさりび鉄道、IGRいわて銀河鉄道、そして由利高原鉄道です。
道南いさりび鉄道へ
旅の始まりは、いつものように新幹線。北へ向かう時は、いつも上野駅を利用しています。東北新幹線の始発駅は東京駅ですので、どちらから乗ってもよいのですが、やはり、昔から「北の玄関口」として栄えてきた上野に、なぜか吸い寄せられるように行ってしまいます。
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乗車するのは、新函館北斗行の「はやぶさ1号」です。盛岡までは「こまち1号」を併結していますので、先頭はこまち号が務めます。この列車で一気に北海道の大地へと移動します。
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東北新幹線は高架橋が多く、そしてその側壁が高いので、結構景色が見えづらいのですが、要所要所でその景色を楽しむことができます。新青森から先の区間で見えたのは陸奥湾の青い海。のどかな田園風景と青い海に心が癒されました。
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そして青函トンネルをくぐります。とはいえ、感覚的にはただの長いトンネルです。別に景色が見えるわけではありませんから、せいぜい、入ったばかりの電光掲示板で「あぁ、そうなんだなぁ」と思うくらいでした。
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青函トンネルを抜けると、程なく木古内駅に到着します。私はここで下車。上野駅からは約4時間。飛行機で函館空港に一気に飛べば1時間半ですから、早くなったとはいえ、まだまだ時間はかかるものです。青函トンネル内の速度制限がなくなればもう少し早くなるでしょうか。
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ここで函館までのきっぷを購入し、駅前の道の駅で道南いさりび鉄道の鉄印を記帳してもらいます。
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木古内駅は、もともとは江差線の中間駅でしたが、北海道新幹線開業を機に、江差線の末端区間である木古内-江差間は廃止。貨物列車が頻繁に走る五稜郭-木古内間を引き継いだのが道南いさりび鉄道です。始発駅の木古内は北海道最南端の駅となっています。
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木古内駅のホーム自体は狭いのですが、そこに道南いさりび鉄道のキハ40が停車していました。白地に小豆色のアクセントが、なかなかオシャレです。普通列車よりも本数が多いのではないかと思う貨物列車も頻繁に駆け抜けていきます。
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ここから道南いさりび鉄道の列車に乗って函館を目指します。結構多くの乗客がいたのですが、運よく海側のボックスシートをゲットすることができました。この日は大晴天で、沿線からは津軽海峡越しに函館山を望むことができました。この景色こそ、道南いさりび鉄道を代表する絶景ですね。列車には冷房はついていませんが、海風を感じながら旅の車窓を楽しみました。
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上磯あたりから立ち客も出るほどの盛況となった車内。木古内から1時間、12時17分に函館駅に到着。函館には何度も来ているのですが、列車で函館に来たのは何年ぶりでしょうか。
函館に来たら函館市電でも撮って、函館山で夜景を楽しんで、翌日は大沼周辺や噴火湾沿いに鉄道撮影を楽しむのもいいのですが、今回は鉄印を集める旅。何と函館滞在時間は45分。きっぷを買って、余った時間でお昼ごはん。ちょうど駅舎の2階に函館ラーメンのお店がありましたので、食べたかった函館塩ラーメンをいただきました。
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とんぼ返りでIGRいわて銀河鉄道へ
13時01分発の「はこだてライナー」でわずか45分滞在の函館を後にします。向かうは新函館北斗駅。北海道新幹線の現時点の終着駅です。もともと渡島大野駅といって田園地帯の真ん中にあった駅でしたが、今でも田園地帯のど真ん中に大きな新幹線の構造物があります。
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数分の乗換で北海道新幹線に再び乗車します。車内からは周辺の田園地帯や、遠く函館山を望みながら、再び青函トンネルに入りました。新青森では、ちょうどホーム上屋の窓から、青森駅方向へ延びる線路を見ることができました。遠くには青森駅の象徴ともいえる「青森ベイブリッジ」も見えました。
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今度の下車駅は盛岡駅。ここでIGRいわて銀河鉄道に乗り換えます。第三セクター鉄道になって不便になったのは改札口が別にあって、乗り換えに少々時間がかかること。運賃徴収だったり管理の観点から仕方がない部分はありますが、ちょっと不便ですね。
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盛岡駅からはIGRいわて銀河鉄道に乗車します。やってきたのは元JR701系。IGRいわて銀河鉄道ではIGR7000系と呼ばれています。青春18きっぷユーザーからは不評の、通称「東北版走ルンです」と呼ばれるロングシートの車両です。この列車で向かうはひと駅先の青山駅。ここで鉄印を記帳していただきます。
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青山駅は盛岡の市街地にある駅。特に観光地もありませんので、すぐにやってきた上り列車で、こちらもとんぼ返り。ちょうどやってきたのはJR花輪線から乗り入れてきた列車でした。
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盛岡から秋田へ
鉄印帳の旅。次に向かうのは秋田の由利高原鉄道です。当地を訪問するのは明日。今日は秋田で宿泊します。まずは新幹線こまち号で秋田へと向かいます。秋田へ向かう車中では岩手山の見事な山容、そしてきれいな夕焼けも見られました。
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こまち号は大曲駅でスイッチバック。秋田まではうしろ向きに車窓が飛んでいきます。個人的にクロスシートでうしろ向きに座るのは気持ちが悪いのですが、皆さん席を回転させようとはしません。30分少々なので回転しないんでしょうかね。
秋田駅に到着したのは暗くなってから。竿灯まつりの大きなオブジェが出迎えてくれました。
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本日の宿泊は秋田駅から徒歩5分のところにあるドーミーイン秋田。ドーミーインといえば夜鳴きそばです。21時半くらいから無料で供される半ラーメン。これが楽しみで、ついついドーミーインを予約してしまいます。
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雨の中、由利高原鉄道へ
翌朝は雨。それも結構な大雨になりそうです。少々心配になりながらもまずは7時前の列車で羽後本荘へと向かいます。早い時間ですが、この列車を逃すと9時過ぎまで列車がないので、貴重な列車です。羽後本荘までの車中は雨に濡れてほとんど外は見えませんでした。
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羽後本荘駅に到着しました。乗換時間数分で由利高原鉄道への列車があるのですが、ただ由利高原鉄道を往復乗車しても詰まらないので、駅前で少し待って、地元のバス会社羽後交通の路線バスに乗って由利高原鉄道の終点、矢島駅を目指すことにします。地元の路線バスに乗るのもその土地ならではなので楽しみました。
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地方の路線バスあるあるですが、乗客は1人としていませんでした。夏休みシーズン、平日の朝8時過ぎではそれが日常なのかも知れません。雨が降りしきる中、バスはゆっくりと矢島方面へと進んでいきます。途中、1人の老人が乗車し、途中の停留所で降りていきましたが、厳しい路線バス事情を垣間見ました。9時ちょうど、バスは矢島駅前に到着しました。
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この矢島駅は由利高原鉄道の終着駅。ここから先、国道は峠を越えて湯沢の南、院内まで延びていますが、そこへと向かう公共交通機関はありません。先ほど乗車してきたバスが途中の鳥海総合支所というところまで行っているだけです。あの乗車率では利用客もほとんどいないものと思います。
さて、この矢島駅で由利高原鉄道の鉄印を記帳してもらいます。これですべての鉄印を集めることができました。
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ここからは由利高原鉄道の列車に乗って、再び羽後本荘駅へと戻ります。入線してきたのは通称おもちゃ列車。鮎川駅のそばにある旧鮎川小学校を改装した「鳥海山木のおもちゃ美術館」にあやかった特別車両。車内には木のおもちゃコーナーがあり、子ども連れにも大人気の車両です。
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しかし、平日のお昼前、雨も降っている中で、乗客は家族連れはおろか、私ひとりで出発。そんな中でも旗を振ってお見送りをしてくれた駅員さん、ありがとうございました。
雨は小ぶりからやがてやみ、車窓からは雄大な鳥海山がちょっとだけ顔を出してくれました。
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そして列車は羽後本荘駅に到着。ここからは40分ほどの待ち合わせで特急いなほ号に乗車し、新潟を経由して東京へと戻ります。再び雨模様。先日豪雨被害を受けた村上付近では雨の中ではありますが、粟島を見ることができました。
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羽後本荘から新潟までは実に3時間。そのスピードは新幹線と比べると雲泥の差です。新潟からは上越新幹線に乗車します。お昼を食べ損ねたので、新潟駅で名物の「えんがわ押し寿司」を購入。車内で頬張りながら帰路に着きました。
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むすびに
こうして、2020年9月に購入して始まった鉄印帳の旅は、丸2年をかけて全40社の鉄印収集を終えました。北は北海道の道南いさりび鉄道から、南は熊本県の肥薩おれんじ鉄道まで。全線に乗車したわけではありませんが、いろいろな乗り継ぎや寄り道なども楽しんで全国各地を旅することができました。これまで、撮り鉄がメインで、列車本数を考えると乗り鉄をしながらだと撮影効率が悪く、どうしてもレンタカー頼みになっていたのですが、この「鉄印帳の旅」は、そんな私に乗り鉄の楽しさを教えてくれました。
鉄印帳の旅は終わりましたが、これからも、タイミングを見計らって乗り鉄の旅も続けていきたいと思いますし、せっかく訪れた第三セクター鉄道についても、今度は別の季節に訪ねるなどしていければと思います。
これまでのご愛読ありがとうございました!
(掲載写真はすべて筆者撮影)
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