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【オススメソング特別編】拝啓、マキシマム ザ ホルモン様。


ム"ェ"ッ"!


御機嫌よう、バプルマンです。今回言いたいことはただ一つ。
マキシマム ザ ホルモンを聴きなさい。ただそれだけです。

「そもそも俺邦ロック聴かないし、今更マキホルはダサい」とか、「コミックバンドみたいだしなんかサブカルクソオタク扱いされるのヤダ」なんて言っている腰抜けは今すぐ安全なお家でRADWIMPSかアッポロミュージックの洋楽BEST100プレイリストでも聞いておけ。いいよねRAD。「病んでるときにききたぁーい」とかほざく野郎は別として。RADは個人的にNONA LEVEESの次に好きです。(個人的アーティスト好きチャンピオンはリッチーブラックモアのrainbowとやっぱりQueen)
しかぁーし! 
RADWIMPSの出演しているフェスを見てもらいたい。しれっと「マキシマム ザ ホルモン」と書いてあったりする。つまりお前には逃げ道など無いことをはっきりと自覚しなければならない。いつか絶対聴くことになるから、今聞いておけ。

とにかく。まずはここにある動画を見てほしい。公式のMVとマキシマム ザ 亮君氏公認の「非公認」MADたちだ。


情報量が多いとか、開幕から聞かせるのかよ!そんな苦情は聞いていない。というか聞かせるのが目的なのでもうこれ以降は記事を書かずに宗文是の名作、ハイヤニスペインでも日本語訳してお茶を濁そうとしたのだがレビューするからには腰を据えてかかねばならない。

あえて問おう。

いかがだろうか。歌詞は聞き取れただろうか。なにかたぎるものはないだろうか。

今読者諸氏には俺と同じカルチャーショックを体験していただいた。
初めて俺がホルモンを聴いたのはだいたい5年か6年、下手したらもっと前かもしれない。当時俺は80s~90s洋楽をヘビロテし、「なんか今の邦楽の歌詞って金太郎飴だよなぁ」とかいう舐めた口をきいていた。アニソンでも俺を満足させることはなく、次第に音楽を聴かなくなっていた……その時俺のYOUTUBEのオススメにピコーンと上がってきたのはホルモンだったのだ。
俺は特にみる動画もないので押した。
その時に聞いたのは確か「予襲復讐」と「え・い・り・あ・ん」だったことを覚えている。はじめ「変な名前のバンドだなぁ」とか、「見た目がSEKAI NO OWARIの出オチ感ある人たちだから歌詞も曲もメルヘンチックで甘い曲なのかなぁ」とか考えていた。
だがそれらはすべて裏切られたのだ。

開幕、重々しいギター。完璧すぎるスピードコントロール。どこか昔ながらのテイストを感じるメロディライン。歌詞カード読んでもわかるのかよ見たいなラップ顔負けの歌詞。極めつけはベース。スラップベースが俺の体に深く突き刺さった。

全身の血液が逆流する感覚を覚えた。脳内物質がキャパシティを超えてあふれ、気が付いたらお小遣いは消え失せ、「予襲復讐」と「ぶっ生き返す!!」に変わっていたのだ。
それからは猿のように聞いた。歌詞カードが脳内で再生されるまで聞いた。親に見せるのが恥ずかしいのでついでにブルーハーツも聞きだした。
歌詞法則を紐解き、言語感覚の教科書にもした。

それほど、ホルモンとの出会いは衝撃的だったのだ。

夜中に一人、歌詞カードを読んで爆笑し、泣いていた。

気が付いたら腹ペコになっていた。ライブにはチケットが当たらなかったりして行けていないが、熱量的には腹ペコだ。いかんせん「腹ペコ試験」の問題の八割は解説動画が公開されていた時期に知ったとはいえ解説を見ずに解けたのだから。
話がそれた。今回はたぎるパッションを手加減して書くことにする。
オススメソングレビューの特別企画だったな。アーティストレビューに話を戻そう。
マキシマム ザ ホルモンを我流にレッビューするならば、「濃厚融合前衛的ロックバンド」というところになる。
本記事ではホルモンの何が濃厚なのか?を中心にホルモンを語っていきたい。というか語るぞ。
長すぎる前置きはここまでだ。

・まずメンバーが濃いこと

そもそも濃くないバンドなんて存在しないのだが、ホルモンは群を抜いて濃い。作詞作曲をしているマキシマムザ亮君の見た目以上にユニークなキャラクターだとか、キャーキャーうるさい方ことダイスケはんの持つ謎の芸人力だとか。パート表記もVo.とかGt.ではなく「ドラムと女声と姉」「4弦」なんて雑な表記であることもホルモンの持つゆるさ、どのジャンルにも入らないような楽曲スタイルを物語っている。
ビジュアル的にもユニークであったりする彼らであるからかそれとも亮君の悪戯心なのかは知らないがメンバーを歌った曲までできるほどだ。上原~FUTOSHI~という曲がある。この曲は4弦こと上ちゃん(太さん)の個人情報事細かに、彼の大好きなレッチリテイストでさわやかに歌ったもので、頼んでもいないのに彼がウイニングイレブンが上手いとか、堅あげポテト大好きだとか、主張の激しいベースとは裏腹にもの凄く優しくて良い人と言う事を知れる。
そう。レッチリタトゥーしててその可愛さは面白すぎるやろ!なんて感情を抱くことは間違いなしなのだ。いい意味で全員人間臭い。メンバー全員が人間らしさを前面に押し出している。それがまず濃さの源だと思う。
コミック的なキャラクターを用いながらも、時折顔を見せるご近所さん感がメンバーの濃さを醸し出している。例えるなら、自分の友人が小説かマンガを描いていて、このネタは彼のあのネタなんだなぁなんて裏事情を嫌でも知りながら読むを強要されるというか。このネタは作者と俺とかしか知らないよなーこれ知ってるとまた違った面白さがあるよなーなんて事を全視聴者に強要するスタイル。メンバーのことを知った上で曲を聴いて彼らを知る。
聞けば聞くほど、ホルモンという何かがますます濃厚になっていく。
だからメンバーはとてつもなく濃いのである。
一度見たり発言を読んだりしただけでも強烈な印象を心に「シミ」として残していく彼らの濃さは頭一つ抜けている、そう感じた。
アットホーム感とメジャー感が混ざっているからかもしれない。先日二号店たる曲を共有した別動隊もできたのだが、そのメンバーもそれぞれがとても濃かった。素人参加企画からの発足だからかご近所さん感が今大変強い人たちだ。
ただまだCDがないので二号店ことCOTELEEについて語るのはやめておくことにする。
とにかく等身大のアーティストして、ホルモンメンバーは相当精神に焼き付けられるのは間違いないのである。

・もちろん曲も濃いこと

上に張ってある通り、曲自体もだいぶ濃い。「握れっっっっっっっっ!!」で面食らった読者も多いことであろう。
開幕「ダメチ○ポ握れ GET UP BOYS!(ゲッタポイ!)」を連呼する。これでもかと連呼する。その潔さにチ○コたったわ。
「my girl」、「ビキニ・スポーツ・ポンチン」、「恋のスペルマ」などお下劣要素を含んだ曲も多く亮君が普段から言っている中学パワーを肌と耳で感じられる……思い出してほしい。中学生の頃の風景を。野郎連中はどこで仕入れてきたのかわからんイカガわしい情報を共有してたり、とにかく下ネタを言いまくっていたのではないのだろうか。あの風景である。まさに曲であの風景を再現しているのである!
人前で言うのは恥ずかしい。だがその羞恥心を乗り越えた先にあるとんでもなく暴力的なエネルギーがホルモンの持ち味なのだ(実際聞いてて元気になる)
それに別にお下劣な歌詞ばかり書いているホルモンではない。
個人的に俺の座右の曲に入れさせてもらっている「ロッキンポ殺し」「ぶっ生き返す!」「ロック番狂わせ」といった曲。これらは一見すると意味が解らない。だからここで引用する。
まずは「ロッキンポ殺し」より。

飢えろおめえら 飢えろおめえら
命令だBOY! 増えるウイルス年齢なんぼ?
植える俺が 植える俺が
全霊願望を 派手にイヤミ垂れ 乱暴
「イエッサー」 言わせればMYWAY
腹いせ 酸っぱい罠 裏 安否
宇宙は常にアンビシャスで 
紀元前 未来 本音は「生」
平成スタイル。ヨレヨレの園児スタイル。
発見ガッツポーズで
戦レース てんで放棄 飛び降りろレジスタンス
あいつロッキンポFAN

いかがだろうか。
何か感じないか。
俺がパルプ小説を書いている腐れオタクだからかもしれない。
虎視眈々とメイクマネーを狙う男だからかもしれない。
ロッキンポ=自分たちを理解しない連中に対して反旗を翻すっていうメッセージ。「平成スタイル。」って言われても俺は俺のやり方を貫き通す宣言。
そして自分を理解した人たちにはもっと俺のロックを食らえ!の「植える俺が植える俺が全霊願望を」「イエッサー言わせればMAYWAY!」。
どんな論よりもまず魂という言葉を俺は感じた。殺された。
次にぶっ生き返す。

記憶の墓場にばら撒かれた
まるで「生命のダスト」「感動の迷宮」
積もり積もる骨に涙枯れて
薄っぺらなメモリアルと化した
「糞臭い便所こそマイホーム」
フテくされるLIFEからの迷子
猛烈球 股間にデッドボール
死体蹴っ飛ばしてゲップだすBOMB!!!

これもだ。「売れる」「売れない」「感動の押売り」そんなもんはくそくらえで、俺はきたねえ場所から来たんだ!と俺は受け取った。ロッキンポの死体を蹴飛ばす。ここで一度殺している。だが

ブッイキス!!
てめーらブッイキス!!
I wanna ブッイキス!!
てめーらブッイキス!!
ブッイキス!!
貴様らブッイキス!!
貴様らブッイキス!!
貴様らブッイキス!!

生き返している。

餞別 VIPメンバーに
クローズアップ
ピースメーカーリング
墓穴掘るブログニート
永遠 皆ビギナー
恨む意味はねえ
暗い悪魔フレンズを
破滅到来 FRY! 這い巡るめくロード

「人のつながり?」ああ知らねえよ。皆破滅した。結局のところここまで(PRO)のメキシコの土を踏めるのは一握りだ。他は永遠の初心者。
消えていったものもいるだろう(実際このアルバムのスタッフロールのスペシャルThanksはロッキンポ殺しよりやや少ない)

ブッイキス!!
てめーらブッイキス!!
I wanna ブッイキス!!
てめーらブッイキス!!
ブッイキス!!
貴様らブッイキス!!
貴様らブッイキス!!
貴様らブッイキス!!
猛獣ドメスト
レスポールでハリケーン
安楽 幽霊 連中は別世界 亡霊
喪中のゲスト 霊魂で灰人間
世は悲惨WORLD「見捨てれん!」

そうだ。生き返す。誰もかれもを真っ白にして生き返す。悲惨な世界を生き返す。何でだ?
レスポールでだ。自分が持つ武器でだ。殺すのではない。生き返す。

脳味噌 常に震わせて
荒々と 運命にそむく
もういっそ 俺に生まれたなら
君をぶっ生き返す!!

ここはもう説明不要のカッコよさだろう。俺はここでしびれた。完全にやられた。
こんな高尚な目標を歌いながら破滅的にかっこいいメロディに乗せて脳へ直接届けつつ「ロック番狂わせ」の「白帯魂」なのだ。
つまりどういうことか。
俺たちをメキシコへと歩かせた原点たる何かに帰るためのワープ装置であるのだ、ホルモンは。
魂で殴りつける。純粋な熱で殴りつける。自分の頭ン中を殴りつける。その心だ。その心に火を点ける力がある。とにかく歌詞も難解に作ってあるが、聞き込むほどにだんだん人生のきっかけと引っ掛かって血となり肉となるのだ。
曲の情報量もものすごく多い。「デス声ドラムチョッパー合唱二重唱突然切り替わるメロディ濃すぎる歌詞」……食いきれるか?

つまりおれはこの濃さにやられたのです。

この濃さじゃないと満足がいかないのです。

何が言いたいかって

俺は!

腹ペコだ!!!!

グダグダと音楽を文章で説明させるんじゃあない!いいから俺が大好きになったこの味を食らってくれ!
たぶん悩みの多い皆様ならわかってくれるはずだ!まずはCD屋で適当に買ってきて(強制終了)


特別付録:ハイヤニ・スペイン私家翻訳版(593ページより)

宗文是の名作を翻訳してみました。それだけです。

(前略)
一口。一口だけ口に運んで言った。
「趙くんよ……味が変わらんのじゃあないか?」
「まあ、そうでしょう。俺が作っているんですから」
「全部同じ味って言ってるんだよ」
何だって。こいつは料理の事を分かっていない。
「いい加減、君の考えを捨てたまえ。料理に集中しろ」
考えることなんてあるか?
「料理は料理人のものじゃない。食った人間のものってのは知ってるだろう。散々教えただろう。肉だって……」また一口。顔をしかめた。「味はいいが臭い。これは料理と呼ばん」
俺が作っているんだ。全部俺が作っているんだ。俺の味だ。どんな料理も俺の味なんだ。全然わかってない。俺の師匠の癖に。
「納得する味を教えてください」
「もう教えた」
「そうですか」
「ああ」
***
この一件があってから、俺は料理を根本から見直した。だが結論は変わらない。
もう理解した。包丁を振りかざす。料理の喜びはここにある。「骨」さえ見えた。良い出汁が取れるか? 
そうだ師匠、お前の食っていたのは俺だ。俺の味だ。俺の味は俺なんだ。そしてお前も俺だ。
鍋に火を入れる。
この肉は臭そうだ……
(後略)

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