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月見 まる
2020年2月7日 07:03
日は登り、暮れていく。 黄昏に浮かび始めた月は、昨日より少し満ちていた。 黒い風が唸り宙を蹴る。光や温もりを見つけると近づきグルリと巻き込むがすぐに離れる。その様子は、誰かを探しているように見えた。ゴウゥ、という音に黒い風はピタリと止まる。耳を澄ましているのだ。グググ、という音に黒い風は尾を振って空を一直線に横切った。 その風の波が、古くて小さな墓守の小屋の窓にぶつる。
2020年2月6日 07:19
古い友人が帰宅後、ドミノはようやく自分の時間を取りもどした。部屋に入りると、光を無くした卵達が机の上に転がっている。 「君たちもお休み」 そっと卵を手にすると、棚に置いてある籠の中へ優しく入れてやる。籠には庭の色とりどりの枯れ葉が敷き詰められており、それはまるで本当に鳥の巣で守られている卵の様だ、とドミノはいつも思う。 視線を上段に向けると、鍵のかかるガラス扉。そこにはずらり