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教育効果のあるゲーム #6

シリーズ6回目に紹介するゲームは、「FILLIT」です。

どのようなゲームかという説明については、以下のサイトをご覧ください

オセロ」や「将棋」が教育効果の高い古典的ゲームだと、広く認知されていると思います。
このゲームは、ルールが「オセロ」よりは複雑で「将棋」よりは簡単なので、二つのゲームに辿り着く前の子供の思考力トレーニングに、丁度良いゲームです。

これらのゲームの教育効果のポイントは、「出入りの計算」があるところです。
スイスの心理学者ジャン・ピアジェの研究によると、子供が「物理的量の保存」の基本的観念を獲得するためには、一定の年齢になることと学習が必要であるそうです。

それを「オセロ」と「将棋」で説明します。
これらのゲームは、範囲が決まっていて、その中で発生するエネルギー(勝敗に影響する力という意味で使う)が一定です。
「オセロ」は、64マスの中に基本的には均等な回数だけ石を置き、勝敗を争うゲームです。盤面に存在するエネルギーの法則は、常に一定です。
「将棋」は、81マスの中に均等に配置されたコマを動かし、勝敗を争うゲームです。やはり盤上に働きかけるエネルギーは一定です。
「出入りの計算」は、その一定のエネルギーが対局者間で動くことで勝敗が決まるという意味で使っています。
「FILLIT」も、2つのゲームと同様で、「出入りの計算」の精度が勝敗を分けます。
このようなゲームにおいて、「保存」の概念を獲得していない子は、「出入りの計算」ができません。

たとえば、オセロで言えば、子供たちは「自分がめくる枚数」は数えられても「自分がめくられる枚数」は数えることができません。
最初は、「めくれるところ」を見つけられるようになり、次に「めくれる枚数の多いところ」に目を向けるようになります。
しかし、オセロの「多くめくる」という着手は、必ずしも好手とは限りません。
「多くめくる」ことよりも「相手がめくれるところを少なくする」とか「相手にめくられないところを作る」といった方が重要な指標だったりします。
ゆえに、「出入りの計算」能力が非常に重要になるのです。

「将棋」に関しても同じです。取った駒や取られた駒を再び置けるというルールが「出入りの計算」を必要とします。
時には飛車角を切る必要も出てきたりと、駒の絶対的な価値のようなものはなく、常に状況判断が求められます。
ゆえに、「計算力」とそれに基づく「大局観」が重要になります。

しかし、「オセロ」はシンプル過ぎるゆえに、着手の善し悪しの判断が難しく、素人のたどり着けない奥深さがあります。
また、「将棋」は複雑すぎるので、やはり奥深く、着手の善悪の判断が難しいです。

そこで、教育効果を目的とするのであれば、「FILLIT」が最適だと考えています。
「FILLIT」とは、「出入りの計算」が重要なゲームでありながら、盤の構造上、着手点の数が「オセロ」や「将棋」と比べると少ないです。
したがって、「出入りの計算」がしやすく、対戦後の反省もしやすいです。
そのため、私たちの教室でも、子供たちの成長を促すゲームとして重宝しています。

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