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中学受験で大切な成長

以前書いた記事で、高畑勲監督作品を推薦しましたが、その事について、もう少しだけ書かせていただきます。

私たちは、子供たちを指導する上で、「相手の立場に立って考える」という「他者理解」を大切にしております。
これは本当に難しいことで、意識していても決して完璧にできるものではありません。
「人間の認識」の限界から考えれば当然の話なのですが、だからこそ、そこに人の誠実さというものが表れるのでしょう。

これまでの指導経験でも、この「他者理解」が合否を分けると申しますか、その大切さを理解している子が中学受験の最難関校に合格している印象です。
特に、国語の入試問題が難しい学校では、その傾向が強いと感じています。
最難関校の国語の入試問題を見ると、高度なレベルでの「他者理解」を求めているように感じます。

では、中学受験の入試問題で高度な「他者理解」を求められるかと申しますと、それは社会に出たときのことを考えてのことだと考えています。

中学受験の最難関校を卒業していく子は、司法立法行政の三権はもとより、経済の世界でもリーダーになっていく可能性が高い子達です。
そのような仕事は、自己の決定が自己だけではなく他者や社会に大きな影響を与えます。
たとえば、国の予算の配分、それを運用する法令・政令などは、全ての人に平等なものにはなりえません。それらは、個人の感情で評価すれば、全員が納得するものは存在しえないでしょう。
だからこそ、そういった仕事に携わる人たちは、何かしらに意思決定をする際に功利主義的な考え方をしなければならざるをえないことが多いでしょう。
功利主義的選択で意思決定を行う場合は、常にマイノリティーを生み出すことを自覚しなければなりません。
ゆえに、その判断の道徳性を常に考え続けることが大切になるのです。
これは、絶対に正しい答えのない問題です。
だからこそ、これらの意思決定には、高度な「他者理解」が求められるのです。

その点で、高畑監督の『平成狸合戦ぽんぽこ』と『おもひでぽろぽろ』の 2 作品は、分かりやすく他者理解を促している作品です。

前者は都市で暮らす人間が農村の実像に気付く話で、後者は人間の開発に追いやられしまった狸の話です。
都市部中心主義・人間中心主義的に物事を見ていると、この国から失われていくものがあることに気付いてもらうために、子供たちには推薦しています。

後者は都市に住んでいる主人公が、自然を一面的な理解と憧れでしか認識していなかったことに気付く話です。
都市から見る「田舎」像や「自然」像と、実際にそこで生きている人達の「生活」と「自然」は、決して完全一致しないことを、子供たちに気付いてもらうために推薦しています。

私たちは、受験結果と向き合います。
しかし、受験結果には固執しません。
その子は、将来社会に出たときに、人から信頼され求められる大人に成長することを期待して、そのためにこの国の「受験制度」を利用します。

そのような考えのもと、お子様を成長させたいとお考えの方は、是非お問い合わせください。


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