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【脳の栄養素】DHAのチカラ

どなたでも一度は耳にしたことがあるDHA(ドコサヘキサエン酸)。しかし「なんとなく身体に良い」くらいのイメージではないでしょうか。今回はDHAの素晴らしい効能について解説したいと思います。

DHAとは?

DHAは青魚に多く含まれている多価不飽和脂肪酸で、脳や神経組織の機能を高める働きがあります。脳は脳内に入れる成分と入れない成分を選別しますが、DHAは脳内に入ることができ、神経細胞を活性化させ記憶力や学習能力を向上させます。成分は主に冷たい海に住んでいる魚の脂で、低温状態においても固まらない性質を持っています。

DHAの歴史

グリーンランドに住むイヌイットは、動脈硬化や脳梗塞などの生活習慣病、また心筋梗塞などによる死亡率が少ないことがわかり、イヌイットの食生活に注目が集まりました。気温の低いグリーンランドでは、野菜の栽培ができないため、イヌイットの主食は脂肪分の多いアザラシの肉や魚です。そのアザラシや寒冷地の魚などにDHAなどの多価不飽和脂肪酸が豊富に含まれていることが上記の死亡率の低さと推測されました。

DHA(ドコサヘキサエン酸)の効能

・記憶力、判断力を向上する効果
DHAは脳を構成する約140億個の脳細胞の膜に存在し、特に記憶や学習に関わる海馬に多く集まっています。DHAは脳を活性化する働きがあるため、海馬のDHA量が頭の良さに関わっているといわれており、脳の栄養素とも呼ばれています。子どもにもDHAを摂取させると学習能力が向上し、集中力が高まることもわかっています。

・アルツハイマー型認知症に対する効果
認知症患者に半年間DHAを摂取してもらうと、計算力や判断力が高まるという結果が報告されており、DHAはアルツハイマー型認知症にも効果的であることがわかっています。アルツハイマー型認知症は脳の神経細胞が死んで萎縮する病気ですが、DHAは神経細胞を修復し、細胞の働きをサポートします。

・血流を改善する効果
DHAには血管壁や赤血球の細胞膜を柔らかくする働きがあるため、血流が改善され血液がサラサラになります。また、血圧が高くなるのを防ぐ働きもあります。さらに中性脂肪を減らし、善玉コレステロールを増やす働きもあるため動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞、高血圧、高脂血症などの生活習慣病を予防する働きもあります。

・視力を回復する効果
DHAは目の網膜に含まれる脂肪酸の約40%を占めています。また、脳の働きが鈍くなることで視力が低下することも明らかとなっているため、DHAを摂取すると近視の改善や集中力の向上、動体視力の改善などに効果的とされています。

・アレルギーを予防する効果
DHAにはシクロオキシゲナーゼというアレルギーを促進する酵素を阻害する働きがあります。アレルギー源であるシクロオキシゲナーゼを阻害し、アトピー性皮膚炎や花粉症、喘息といったアレルギー症状、関節炎などを緩和する効果も報告されています。

・精神を安定させる効果
子どもやお年寄りを対象にした研究により、DHAを摂取することで攻撃性がなくなり、精神面の安定が維持できるとされています。そのため、ストレスの緩和も期待されています。

過剰摂取には注意が必要

DHAは血液凝固を抑制する働きのある健康食品やサプリメントと併用すると出血が止まりにくくなることがあります。また、血圧を低下させる可能性があるため、血圧降圧剤と併用すると血圧が過度に低下するおそれがあり、注意が必要です。

まとめ

DHAは脳細胞の活性化において大切な栄養素のため、不足すると記憶力・学習能力が低下する恐れがあったり、胎児、乳児期に欠乏すると脳の発育に支障があるとも言われています。魚を頻繁に食べるのが難しい方はサプリメントなども簡単に手に入るので、ぜひ試してみてください。

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