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「おひとりさま」客が飲食店の店長さんに伝えたいこと

以前このnoteに書いたように、1人外食はまったく苦にならない。むしろ「おひとりさま」外食が好きだ。

ラーメン、牛丼、回転ずし。焼き鳥、立ち食い、ローカル食堂。おしゃれなイタリアンやタイ料理。「餃子の王将」のカウンターで、知らない男性たちと並びながら食事するのもへっちゃらである。

自分で「食べたい」「行きたい」と思えば、はじめましてのお店でも行く。自分のこういうところは、シンプル設計でなかなかイイぞ、と思っている。

その傾向は、フリーランスになってからますます顕著に。

事務所で午前中の仕事を終え「あそこでランチ食べたいな」と思えば、そのお店まで自転車をシャカリキにこぐ。もともと料理がアレなので、お昼ごはんまで自分が作ったものは食べたくない。自分のためのお弁当を作らないのは、会社員時代から変わらない。

人気の飲食店も、会社員のランチタイムを避ければ、わりとすんなり入れたりする。ちょっと遅め、13時すぎのランチ。こういうとき、フリーランスになってよかったと思う。好きなときに食べに行ける気軽さ、いいよね。

さて。

「おひとりさま」で飲食店にいるとき、わたしは料理だけを味わっているわけではない。

もちろん、料理の盛りつけ、器やグラス、カトラリーのしつらえなどもちゃんと楽しむ。そのほか、お店の雰囲気や、インテリア、店員さんが働いているようす、ほかにはどんな感じのお客さんがいるか、などをぼんやり眺めている。料理を待っているあいだにわたしが見ているのは、スマホ画面ではなく、お店のようすなのだ。

このお店にまた来るかどうかというのは、料理の味だけでは決まらない

だから「おひとりさま」は結構いろいろ見てますよ、と飲食店の店長さんに伝えたい。もちろんすべての「おひとりさま」がそうであるとは言えないけれど、少なくともわたしはそうである。

この先は「n=1 」の話で一般性に欠ける情報かもしれないので、興味のあるひとだけ読んでもらいたい。

先日、オープンして1ヶ月ほど経ったスパイスカレー屋さんにやっと食べに行けた。このかたの影響で、いまではすっかりスパイス料理の虜になったので、最近は「スパイス」という単語がわたしのアンテナによく引っかかる。

そのスパイスカレー屋さんは、開業前から長期間かけてお店を丁寧に建てていた。そのようすをずっと見ていたので、開店が待ち遠しかった。

オープンしてから1週間ほどは、平日でも行くたびに行列(ランチタイムをずらしても)。期待値はグングンと高まる。そして、オープンから1ヶ月ほど過ぎた平日のランチタイムに、ようやく店内に入ることができた。

店長さんのこだわりが伝わってくるインテリア。飾り過ぎず、でもインパクトはしっかりある。この雰囲気、なかなかいいなと思った。

ところが、である。

わたしより少しあとに入ってきたお客さん。どうやら、店長さんの友人のよう。開店祝いを持って食事に来たらしい。大きな声で店長さんと話しているものだから、聞き耳を立てているわけでもないのに、店内にその内容が響きわたる。まぁまぁ広いお店なのに。

注文したカレーを待っているあいだ、いつものように「おひとりさま」視点で、ほかのお客さんのようすを見たり、壁にかかっている絵を眺めたりしていた。

すると。

店長さんがその友人の質問に答える形で、そのスパイスカレー屋さんの近隣にあるお店の悪口を言いはじめたのだ。

あの・・・その悪口、わたしの席までめっちゃ聞こえるんですけど・・・

ほかのお客さんがどう感じたのかはまったく分からないけれど、わたしは非常に嫌な気もちになった。

あの・・・その話、店内で、お客さんの前で、する話ですかね?

店内にいるお客さんは、その近隣エリアに詳しい近所の人かもしれない。その人たちの前で、大声で近隣のお店の悪口を言います?わたし、100%近所のひとですが。

店長さんが友人と話しているあいだ、他の店員さんがスパイスカレーをテーブルにもってきてくれた。でも、食べる前から食欲喪失。ここのスパイスカレーを食べるのを、あんなに楽しみにしていたのに。悲しい。

その悪口を聞かなければ「めっちゃ美味しい!!!」となったかもしれない。だけど、うーむ。あんな話を聞きながら食べても、あんまりいい気分はしないよね。

非常に残念な「おひとりさま」体験となりました。

今回のエピソードをとおして、わたしが飲食店の店長さんに伝えたいのは(ここまで読んでくれている店長さんがいたとすれば)、料理の味も大切だけど、お店やそこで働くひとの「品性」もお客さんは見ていますよ、ということ。「おひとりさま」は特に(今回の話は「n = 1」 だけど)。

なんでもかんでも品行方正で、というのを求めているわけではない。お店の雰囲気やコンセプトにあった品行方正というものがあると思う。お店のコンセプトを知ったうえで、お客さんがお店に期待する「品性」というか。

居酒屋には居酒屋の、フレンチレストランにはフレンチの、ラーメン屋にはラーメン屋の、そのお店の雰囲気と相まった「品性」があるはず。

たとえば、おなじ料理ジャンルのA店とB店で迷ったとき。

美味しさもおなじくらいなら「気もちのいい」お店で食べたい。働いているひとのマナーが素晴らしい、とか。いつも笑顔でハキハキしている、とか。「気もちのいい」お店の定義はひとそれぞれだろうけど。

飲食店で働くひとにとっては、店内やお客さんの前というのは「オン・ステージ」だと、わたしは解釈している。だから、バックステージにいるときとは違う振る舞いをしてもらいたいと思いました。

店長さんの「品性」はお店全体の「品性」にも大きく影響すると思うんだけどな。この話、やっぱり「n=1 」かしら。

















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