見出し画像

チーズ、かけてみた

なんども書いているが、わたしは料理がアレだ。

アレというのは、つまり好きではない。食卓を任されて25年経つが、料理を楽しいと思えない。食べるのは楽しくて、めちゃくちゃ好きなのに。

食べる専門になりたい。

家族のために一応は作る。でも、いつまで経ってもモチベーションが上がらない。モチベーションを待ち焦がれて25年、ちっともやって来ませんよ。

モチベーション、あなたはいつわたしのもとへ?

お義母さんはすごいと思う。1人暮らしになって10年以上、自分の食事を1日3回作っている。レンジだけに頼らない。もしわたしが1人暮らしなら、レンチン人生まっしぐら。まちがいない。

子どもたちが小さいころ、オットの実家に遊びに行くと、お義母さんは手の込んだ料理を作ってくれた。ハンバーグ、ギョーザ、かぼちゃポタージュ。家でコロッケを作れると知った子どもたちは、手作りコロッケをお義母さんにリクエストし、何度も作ってもらっていた。

このラインナップを見て「どれもそんなに難しくないよ?」と思うかもしれない。でも、料理が好きでないわたしには、どれもハードルが高い。

25年の主婦生活で、ハンバーグを作った回数は1桁台。「子どもが3人もいるのに、その回数は驚異的!!」と友人に言われた。

はぁ、そうですか。

コロッケもポタージュも1度も作ったことがないし、手作りギョーザは10回くらい。25年で。ギョーザといえば冷凍ですよ。冷凍ギョーザのストックは欠かさない。3~4パックを常備している。

冷凍ギョーザは、わたしの心の拠りどころなのだ。

材料を練ったり成形したり裏ごししたりというステップが、どうも苦手だ。片付けが大変な揚げ物は、1シーズンに1回。

天ぷらを揚げたのは人生で1度だけ。アレは大失敗だった。慣れないことをやるもんじゃない。油ギトギトの、得体のしれない何かができあがったのだ。それ以来、天ぷらを家族にリクエストされたことは1度もない。

ほらね、わたしは料理がアレなんだぞ。

残念ながら、料理のセンスがまったくない。モチベーションもセンスも低いんだもの、そりゃあ楽しくないわけだ。

日々の食卓では、材料を切って鍋で煮る、フライパンで炒めるというメニューが多い。丼物は常連。100回くらい作っているメニューでも、いまだにレシピを覚えられず、つくるたびにレシピとにらめっこだ。

人間、興味がないことは本当に上達しない。

こんな惰性だらけの料理を作っていたわたしに、救世主が現れた。それはピザ用チーズだ。これはすごい。わたしの貧相なメニューにかけるだけ。それだけで、なんでもご馳走のように見えちゃう。おまけに、チーズと相性バツグンの食材は多い。

豚キムチにチーズ。ジャーマンポテトにチーズ。油揚げにかけて焼く。ちくわにかけて焼く。

チーズのおかげで、茶色っぽいメニューが一気に華やぐ。

最近ハマっているのが、なんでもかんでもグラタン皿に入れてチーズをかけて焼いちゃおう!である。

オールシーズンオッケーメニュー。冬のグラタン皿は最高だが、夏のグラタン皿もいいもんだ。暑いときにこそアツイもの!凍えそうな真冬にアイスを食べる、あの感覚だ。

前日の肉じゃがにチーズをかけて焼く。残ったカレーにチーズをかけて焼カレー。トマトを切り、オリーブオイルと塩コショウ、その上にチーズをかけてオーブンへ。冷蔵庫の余り野菜やお弁当用のウインナーを切り、マヨネーズとチーズをかけて焼く。ゆでたジャガイモに市販のパスタソースとたっぷりのチーズをかけてオーブンへ。

余っていたトマトとアボカドにチーズをかける


残り物の大豆カレーにチーズをかける


ウインナーとオクラにパスタソースをかけてチーズをかける


ピザ用チーズ、きみはなんて優秀なんだ。

オーブンに入れたチーズはトロッと溶けて、端のほうはカリッと香ばしい。うっすらついた焦げ目が食欲をそそる。つややかに光る溶けたチーズに、口元はニヤニヤ。

チーズのあのビジュアルに、家族はみんな騙される。

チーズの下はすべて手抜きなんだぞ。
チーズの下はすべて残り物なんだぞ。
チーズの下には「料理って面倒」というわたしの本心があるんだぞ。

チーズは、たいがいのことをうまく取り繕ってくれる。

料理は、チーズをかければなんとかなるのだ。

この記事が参加している募集

#つくってみた

19,637件

大切な時間を使って最後まで読んでくれてありがとうございます。あなたの心に、ほんの少しでもなにかを残せたのであればいいな。 スキ、コメント、サポート、どれもとても励みになります。