かわしマン

実話怪談、短編小説、アイドルソングのレビューなど、書きたいことを雑多に書いてます。

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マガジン

  • 実話怪談集

    私が集めた怪談をまとめたものです。 怪談とは不条理なものですね。

  • ホラー小説短編集

    私の書いた短編のホラー小説をまとめた物です。

  • スマイレージ・アンジュルムのいままで振り返るブログ集。

    スマイレージ・アンジュルムがどういう経緯を辿ってきたグループが分かるように、過去にはてなブログに投稿してきた私のブログを転載してマガジンにまとめました。

最近の記事

【実話怪談】『符号』&『まだいる』

【符号】  夏の夜、半袖Tシャツを着て就寝中だった西山さんは、左肘あたりで何かが蠢いているような気味の悪い違和感を覚え目を覚ました。  慌てて立ち上がり照明を点け左腕を確認すると、細長い人間の指が一本、芋虫のように上下にうねりながら皮膚の上を這っていた。  赤黒い切断面と産毛がはっきりと見えた。  西山さんは叫びながら咄嗟に右手でそれを払い除けると、タオルケットを頭から被って、寝ぼけて幻を見ただけだと自分に言い聞かせながら目を瞑った。  いつのまにか眠っていた西山さんは翌朝

    • 【怪談】ニューフェイス

       塚原さんの三歳年上の姉、ティナさんが自ら命を絶ったのは五年前、塚原さんが高校二年の時だった。  ティナさんは当時大学に通う傍ら、音楽活動をしていた。  ギターの弾き語りをするソロアーティストで、自ら作詞作曲した曲を小さなライブハウスや路上で歌っていた。  塚原さんも一度ライブハウスでティナさんが歌う姿を観たことがある。  いつも隣の部屋から鼻歌で聴こえてきていた素朴なメロディが、ライブハウスの迫力ある音響で聴くと、魔法が掛かったように美しかった。  ティナさんの歌声は女

      • 葛藤、逡巡からの力強い決意。間違いなく最高傑作!≠ME『アンチコンフィチュール』レビュー

        「真っ白な天使の羽を真っ黒に染めるのどう?」と、若い女性のジェンダーロールからの解放を歌ったかのような力強いダンスナンバーの『天使は何処へ』から、一転して揺り戻しかのようなステレオタイプとも言える萌え感を強調した王道アイドルポップの『想わせぶりっこ』という、2023年のノイミーのシングルの流れというのは、意識的に見ている人ならば、一貫性がまるでないかのような違和感のあるものだったと言っていいと思います。 そんな違和感に対するアンサーとも言えるのが最新シングル『アンチコンフィ

        • 【実話怪談】母と娘

           四十代の主婦、志村さんが体験した話だ。  ある日の朝、志村さんが朝食の支度をしていると、中学一年の一人娘であるナツミさんが、一枚の小さな紙片を「真ん中に写ってるのママ?」そう言いながら、不思議そうな顔で差し出してきた。  受け取って紙片を見てみると、それはプリクラだった。  ブレザーの制服の、女子高生と思われる三人の女の子が写ってる。  真ん中にいる女の子のこめかみに、両側にいる女の子二人が拳を押し付けるポーズで撮られ、〈きたねぇブス〉そう書かれた落書きから伸びた矢印は真ん

        【実話怪談】『符号』&『まだいる』

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        • 実話怪談集
          10本
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        • スマイレージ・アンジュルムのいままで振り返るブログ集。
          5本

        記事

          進化ではなく深化。=LOVE『ラストノートしか知らない』レビュー

          『あの子コンプレックス』は、YouTubeのMV再生回数が1000万回を越え、イコラブの最大のヒット曲となったと言っていいでしょう。 その好評を受けてという事なのか、15枚目シングルの『ラストノートしか知らない』も、『あの子コンプレックス』と同路線の、バラード調の切ない恋愛ソングとなりました。 単にエッセンスだけコピーしただけのような曲ならば、何も語る事はないなという所なのですが…。 結論を言えば、『ラストノートしか知らない』は『あの子コンプレックス』からの進化…いや「深化

          進化ではなく深化。=LOVE『ラストノートしか知らない』レビュー

          【カクヨム連載中 実話怪談アルバム霊和より】顔文字

           カクヨムにて『実話怪談アルバム 霊和』の連載を始めました。令和の怪談=霊和と題して比較的最近のお話や現代的なテーマが浮かび上がりそうな話しを書いていきます。これからもnoteにも実話怪談書きますがカクヨムの方も良かったら読んでみてください!おねがいします! リンクはこちら↓  二十代後半の女性、池田さんが三年前に経験した話しだ。  契約社員として経理の仕事をしていた池田さんだが、会社の都合である日突然雇い止めをされ、その頃は金に困っていた。  目前に迫った家賃の支払いが出

          【カクヨム連載中 実話怪談アルバム霊和より】顔文字

          【実話怪談】八月三十一日

           四十代の男性会社員内山さんから伺った話し。  毎年八月三十一日になると内山さんのもとに、中学三年の時に亡くなった同級生の木村さんの霊が現れるという。 「八月三十一日は木村君の命日なんです。自殺でした。夏休み最後の日に線路を跨ぐ陸橋から飛び降りたんです。原因はいじめです」  亡くなった翌年から、木村さんは当時の姿のまま現れた。そして毎年「ごめんね内山君。僕、死ななければよかったねぇ」と謝りながら泣いているという。  内山さんと木村さんは特段親しかった訳ではなかったが、休憩時間

          【実話怪談】八月三十一日

          【実話怪談】靴擦れ

          ある日、有村さんが会社から住んでいる都内のマンションに帰宅すると、自室の玄関扉の前で、白い花柄のワンピースを着た女児が一人でうずくまっていた。 時刻はもう二十三時を回っている。さすがにこんな時間に子供が一人でいるのは只事ではない。 無視するわけにもいかず、有村さんはその女児に声を掛けた。 「どうしたの大丈夫?」 「あん…よが…痛いの…」 消え入りそうな、か細い声で女児はそう言うと、長い髪で顔を隠し、うつむいたまま立ち上がった。 ワンピースの裾から伸びた女児の足を有村さ

          【実話怪談】靴擦れ

          【怪談】予知夢めいた物【ホラー】

          大森さんが最初に予知夢めいたものを見たのは小学六年の運動会の前日だった。 クラス対抗リレーのときに渡されたバトンを落とす夢だった。 翌日、実際に大森さんは手を滑らせてバトンを落とし、その結果クラスは最下位に沈んでしまった。 車で追突事故を起こす夢を見た翌日、実際に事故を起こした。 旅行で訪れた那須のホテルで吊り橋の上からスマホを落とす夢を見た翌日、実際に訪れた吊り橋から手を滑らしてスマホを落とした。 「ある時こう思ったんですよ。予知夢を見てるんじゃなくて、自分の方から

          【怪談】予知夢めいた物【ホラー】

          【実話怪談】卒業アルバムの寄せ書き

           永田さんは、二十五歳の時に中学校の同窓会に出席した。  三年の時のクラスメートで、いつも一緒に行動していた女子五人のグループで一つのテーブルに固まり飲んでいた。  大学を卒業し、お互い就職したあたりからは徐々に疎遠になりつつあったが、集まるとすぐに当時となんら変わらない、あの頃の五人の雰囲気に戻り、賑やかに再会の場を楽しんでいたそうだ。 「グループの中にイナちゃんって子がいて。稲村さんだからイナちゃんなんですけど、その子が卒業アルバムを持ってきてたんです。みんなで見よう

          【実話怪談】卒業アルバムの寄せ書き

          【実話怪談】檻の中

          農家の七十代男性、松本さんから伺った話。   今から三十年ほど前、松本さんが住む地域に土木工事会社Aがあった。 「田島って言う養豚農家の一人息子が立ち上げた会社だったよ。」 Aの敷地には、事務所も兼ねた田島の自宅と作業員が寝泊まりしている二階建てのプレハブ小屋が建ち並んでいた。 「プレハブ小屋の前で作業員がたむろしてるのをよく見かけたけど、なんだか雰囲気が暗いし、通りかかるとジロッと睨まれたりしてなんだか嫌な感じはしたな。この辺の地域の人を雇ったんじゃなく、どこからか安

          【実話怪談】檻の中

          【実話怪談】就寝前トイレにて【生き物怪異体験談】

          ついに私も怪異と思わしき出来事に遭遇した。 そのことについて書いてみたい。 怪談の収集、実話怪談の執筆などをしていると、そういう物を引き寄せるのだろうか・・・。 などと、まぁもっともらしくここまで書いてきたが、今回の体験はネタとしてはだいぶ弱いし、この話しが本当に怪異と呼べるものなのかについては非常に微妙なものであるというのが正直なところ。 心霊的な体験ではないので、そこのところはあしからず。 私がこの体験をしたのは、2023年6月15日の夜遅く、あと少しで日付けが変わろう

          【実話怪談】就寝前トイレにて【生き物怪異体験談】

          【実話怪談】『お荷物』&『ホス狂い』

          『お荷物』  中嶋さんが荷物を預けようと某ターミナル駅のコインロッカーの取っ手に指をかけた瞬間、真っ黒焦げになった赤ん坊が顔を外側に向けた状態で、ぴっちりと二つ折りにされてロッカーにしまわれている鮮明でリアルな映像が頭の中にパッと浮かんだ。  胸のざわめきを抑えながら扉を開けたが、中は空だった。  中嶋さんの妊娠が確認されたのはその次の日で、相手は不倫関係にあった妻子持ちの、会社の上司だった。  堕胎を即決したそうだ。 『ホス狂い』  とある日、デリヘル嬢の坂下さんは、

          【実話怪談】『お荷物』&『ホス狂い』

          【短編小説】繋がりの子【地下アイドル】

          「元地下アイドルの肩書きあるなら夜職とかAVでめっちゃ稼げそうじゃない?」 親友からの信じがたい言葉を聞いた南雲メルは惨めな気持ちで、かわいらしいハート型のラテアートをスプーンでぐしゃぐしゃに崩した。 水曜日の夕方五時、新大久保のビルの二階にある、おしゃれなカフェ。 木目調の壁、白い凹凸のある屋根とそこからぶら下がる、白い筒状のスマートな照明。窓際の席は屋内なのにテラス席のようにパラソルが置かれ、奥にはロフトのような小上がりの席もあった。 三ヶ月前まで、ここに来れば、自分が

          【短編小説】繋がりの子【地下アイドル】

          『怪談に現れる日本人の国民性。』を考えされられるニュース。

          指を切り落としても配達を続ける…。 日本人らしい仕事に対する勤勉さも、ここまで来るともはやクレイジーかも。 怪談を収集していると、死してなおも幽霊となって会社に出社してくるサラリーマンや、甲斐甲斐しく家事を続けようとする主婦の方のお話しをよくお聞きします。 おそらくらご存命の頃はこの配達員の方のようにとても勤勉な方だったのでしょう。 怪談にも日本人の国民性が現れているのかなと思わされたニュースでした。

          『怪談に現れる日本人の国民性。』を考えされられるニュース。

          【実話怪談】人形の遊び方

          沢田さんは、父親の影響で子供の頃から映画を観るのが好きだった。 中でも派手なアクションが満載の、とあるカンフー映画に小学四年生の沢田少年は魅了された。 敵に追い詰められた主人公がビルの屋上から飛び降りる、ハラハラドキドキのスリル満点なシーンに心が踊った。 そんな映画のワンシーンを沢田少年は自分の手で再現したくなった。 しかし自分が高い場所から飛び降りたら怪我をするのは明白。 それならばと考えた。 三歳下の妹が遊び飽きて放置していた、女児用の、三十センチほどの着せ替え人形に主人

          【実話怪談】人形の遊び方