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体重に振り回されないために、知っておくべき事実

「昨日あれだけしか食べてないのに、あんなに運動したのに、体重が減ってない」

こんな経験はありませんか?

前回の記事で「減量」と「ダイエット」の違いについて書きましたが、今日は健康を目的とした「ダイエット」の目標として体重を設定する前に、知っておいた方がよいと思うことをお話します。

もし今ダイエットに悩んでいる方がいれば、何か参考や気づきになればうれしいです。

体重の中身は?

体重の中身を考えたことはありますか?

体重を目標にする人は、「体重=脂肪」という印象がとても強くなっているのではないかなと思います。

でも、体重の中の「脂肪」の割合はほんの一部。それをまずは見ていきましょう。

体重の中身を見るにはいろんな視点があるのですが、今日は身近でわかりやすい二つの視点を紹介します。

①組織構成からみる体重の中身

まずは組織の構成から見ていきましょう。人間の体は組織の観点で見ると、重たい順に、

骨格筋(約40%)、脂肪組織(約22%)、血液(8%)、骨(7%)、その他

となっています。

よく、体脂肪率20%とか言いますよね。その20%というのは、この組織の視点で見た時に、体の重さ全体のうち、脂肪組織の占める割合が20%という意味です。

では、このうち健康を目的としたダイエットによって変えることができるのはどの部分でしょうか?

正解は、「骨格筋」と「脂肪組織」です。

筋肉には、体を動かすための「骨格筋」と、内臓を動かすための「平滑筋」、心臓を動かすための「心筋」がありますが、このうち、骨格筋だけは筋トレなどによって増やすことができます。

そして脂肪組織には、「皮下脂肪」と「内臓脂肪」とがありますがこれはいずれもダイエットによって減らすことができます。内臓脂肪の方が、皮下脂肪よりも増えやすく減らしやすいという特徴があります。


②分子構成からみる体重の中身

さて、次は「分子」です。「分子」と聞くと難しそうに聞こえますが、よく、「体の60%は水でできている」とか聞きますよね。それが分子構成からみた体の中身です。

水分(60%)、脂質(19%)、タンパク質(15%)、その他

60%を占める水分は細胞内液(血液など)と、筋肉や心臓に広く分布している細胞外液とがありますが、いずれも私たちの生命維持のために必要なものです。

しかし、水分が占める割合が多いがゆえに、「水分が減ったこと」=「体重が減った」と勘違いしまうと、一喜一憂してしまったり、間違った方向性でダイエットを継続してしまう原因になります。

例えば、ジムでランニングをしたり、運動をすると汗をかきますよね。また前回紹介したボクサーが行う水抜きなどもそうですが、とにかく体の中から水分が減れば、体重は減ります。

しかし、水分は生命維持に欠かせないものですので、健康を目的とするならばおすすめできませんし、もちろん水を飲めば重さは元に戻るので、いずれにしても本質的なダイエットとは言えません。

あと身近な例でいえば、糖質制限などを行うと、最初の数週間、ストンと体重が落ちますよね。

これも実は体に蓄えられるはずの水分が減っているだけなのです。

糖質というのは、体内で水分と結合しやすく、糖質1グラムあたり3グラムの水分をひきつけ体の中で蓄えられます。だから、糖質を控えると一緒に引き込む水分量も減り、結果として「体重」は減ります。


私は昔、糖質制限と激しい運動を毎日行うダイエットを行っていましたが、結果的には、体重は減りましたが、「脂肪も、筋肉もそぎ落とされて、極端に代謝が低い体」が出来上がっていたのです。

このダイエットの時には、食べれば太るという体になっていたので、食べることがどんどん怖くなっていきましたし、私の場合はそれが行き過ぎて拒食症にまでなりました。


体重に振り回されないようにするためには?

ここまでで、「体重」を目標値とすることの難しさを少し理解いただけたかなと思います。

健康的にきゅっと引き締まった体を創りたいのなら、

「代謝を下げないように筋肉をしっかりと残したうえで、無駄な脂肪を減らしていくこと」が大切ですよね。

つまりそのためには、「体重」そのものを減らすのではなく、「体重の構成」に着目することがとても大切になります。

では、「体重の構成」をベースに、何を目標値とすればよいのでしょうか?


どうしても数値で見たいのならば、「体脂肪率」

体脂肪率は、体の組織の中の脂肪組織の割合を示した指標なので、ダイエットの成功を図る指標として有効だと思います。

しかし、ここにも難点があり、筋肉や内臓には水分を含んでいるので、その時の体の今の水分量によっても、体脂肪率は大きく変動します。

多くの体組成計の場合体脂肪率は、体に電気を流してその抵抗の力の有無で計測するものが多いのですが、水分は電気を通しやすいため、体内に水分がたくさんあると、電気が通りやすくなり、脂肪組織以外の割合が多いと診断されて、体脂肪率が下がります。

 だから、食事をした後などお水をたくさん飲んだ後は、体脂肪率は下がります。これも一喜一憂してしまう要因ですね。

また、体組成計の機械によっても、大きく数値が変わりますので、これを防ぐためには、同じ時間に、同じ体のコンディションの状態の時に、同じ体組成計で計測することをおすすめします。


一番のおすすめは、「昨日の自分からの変化」

上記のとおり、体脂肪率にもデメリットがありますし、いずれにしても数値で一喜一憂してしまう要素をはらんでいます。

だから私は数値に捉われないで、昨日の自分と比べて、「見た目」や「気持ち」にどんな変化があったかに着目して目標を設定することをおすすめします。

体重は減ったけど、見た目はあんまり変化がなくて回りに気づいてもらえないダイエットと、実は体重はあまり変わっていないのに、見た目が大きく変わったダイエット、どちらがいいですか?

あなたが「体重」や「体脂肪率」の名札を付けて歩いているわけではない限り、「見た目」の方が大事ですよね。

おすすめは、写真でBeforeを残しておくことです。毎日自分で同じ体を見ていてもなかなか変化に気づけないもの。写真で昨日の自分、先月の自分と比較して、変化を楽しみましょう。

そして何よりも、「気持ち」の変化には何よりも敏感になってほしいなと思います。順調にいっているけど、どこか気持ち的に「しんどさ」があったり、人との比較で苦しくなってきたりすると、それは、ダイエットがよくない方向に向いている可能性が高いです。

おすすめは、日記を書くことです。毎日の気持ちの変化を逃さないように、ポジティブなことも、ネガティブなことも、紙に書きだす癖をつけると、いつのまにかネガティブな気持ちに押しつぶされてしまった、、ということも未然に防げる可能性が高くなるのかなと思います。


人と比較することを目的に作られた「体重」や「体脂肪率」などの指標ではなく、昨日よりも今日の「自分」に、ポジティブな変化を起こしていくことを目標にすることが、健康的なダイエットを続けていくためにはとても大切だと思います。


今日はこのあたりで!




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