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無痛分娩と素因数分解

こんな人が書いてます 『母子医療✖️コーチング』

・新生児科、産科、保育園で働き、約2000組の母子のケアをしてきた看護師
・婦人科疾患、妊娠、出産、育児の悩みなどの女性の悩みをコーチングを用いて紐解くコーチ

こんな人のために書いています

・無痛分娩にしようか悩んでいる方
・無痛分娩を家族に反対されている方
・ご主人や家族との意見のすれ違いが平行線になり、いつも同じ話を繰り返してしまう方

日本における無痛分娩

日本における無痛分娩は、まだ少ない

アメリカやフランスでは60〜80%の妊婦さんが無痛分娩を選択しているのに対し、日本は僅か6%程度

6%は、かなり少数派だ

『無痛分娩』とネットで検索すると、
『無痛分娩 ずるい』
『無痛分娩 むかつく』
『無痛分娩の何が悪い?』
というラインナップ

無痛分娩を選ぶ方、選ばない方、選べない方それぞれの思いが込められている検索予測だ

実際、わたしが働く職場でも、無痛分娩を選んだママからは
「家族が無痛分娩に反対してるけど、押し切って無痛にしました」
「無痛分娩にしなくていいんじゃない?って言われました」
「家族が反対してるので、無痛分娩ってこと内緒にしてもらえませんか?」
などの発言がある

何も引っかかることがなければ出てこない言葉たち
出産当日でも、心の中に引っ掛かりを持ったまま、出産に挑んでいる

日本で無痛分娩が少ない理由

理由は様々ある

そもそも無痛分娩に対応できる施設や医師が少ないという理由や
費用が高くなるため、選択できないという金銭的な事情もある

無痛分娩はできるが、
24時間対応でなかったり、計画分娩はできるが急な対応は不可(急な陣痛発来・破水など)という病院も多く、それなら無痛じゃなくてもいいか、、という声も聞く

これとは別に、
日本で無痛分娩が増えない理由でもあり、妊婦さんの『引っ掛かり』を作る原因は別にある

陣痛というものさしを持つ女性たち

『あの痛みに耐えてこそ感動するのにと言われました』
『痛みに耐えないと赤ちゃんへの愛着が湧かないらしいよって言われました』
『赤ちゃんは苦しい思いをしているのに、自分だけ楽をするのかと言われてます』
など、無痛分娩に対する意見に悩む妊婦さんは多い

以前のnoteで、
自分の経験値に基づいた『ものさし』で生理痛の辛さを測られることが多いという話をした

↓その時の記事はこちら🌕

出産においても、まさにこれが当てはまるように感じる

ただし、今回は人によって差がある『痛み』というものにフォーカスしているのではなく
『最後まで陣痛を味わう出産』というものさし自体を持っているかという話になる

無痛分娩が増えてきた現在でさえ、無痛分娩の出産が6%ということをお伝えしたが、
15年前の2007年ではその割合は僅か2%であった

意見を伝えられることが多いであろう妊婦さんのお母さんたち(赤ちゃんから見て祖母)の時代から現在に至るまでの妊婦さんの中で、
無痛分娩を経験した妊婦さんのパーセンテージを考えると1%以下であることは容易に想像がつく

100人中1人いるかいないかという存在になってしまうと、
『あれ?やっぱり私もあのものさし必要なの?』と不安にもなるだろうし、
『出産といえば、陣痛だから!だってほら、みんなが、この ものさし持ってるじゃない!』と自信を持って話をする人がいることも納得できる気がする

『社会的価値観』と『心』に分けて考える

みんなが持っているということで安心するものさし
みんなが持っていないということで不安になるものさし

この考え方には『社会的価値観』が関係している


それぞれの持つ意見を
『社会的価値観』と『心』に分けて考えてみる

『社会的価値観』
社会的な考え方や、他人と調整する価値観のこと。私の中では大人のイメージ。
「普通は」「妻だし」「相手のことを考えると」

『心』
他者や社会的背景、役割など考えないありのままの自分の気持ちのこと。こちらは、自由な幼児のイメージ。
「自分はこうしたい」「みんながとか、知らない」


それぞれの社会的価値観

①無痛分娩をしようと考えている人の、考えられる社会的価値観
・近年は無痛分娩が増えてきている
・高齢出産や高血圧、パニックを起こしやすいなどの理由があり推奨されている
・無痛分娩の実績がある病院で産む
・友達や家族が無痛分娩をしたことがある
・海外では無痛分娩の方が主流
  あたりがよく聞く。まだまだありそう。

②無痛分娩を反対、否定している人の、考えられる社会的価値観
・6%しか無痛分娩がいない
・無痛分娩以外で産んだ人がこんなにも周りにいる
・無痛分娩にはリスクがある
・病院の実績がない
・痛みを伴ってこそ出産という日本の考え方がある

①も②も、もしも相手に言われたら
『たしかに…』
と思う内容ではあるけれど、それを言われたところで
『いや、でもね!』
とモヤッとして反論したくなってしまう気もする

これらの内容ってたしかに事実だけど、あくまで社会的に考えた時の事実。
お互いにこれを掲げて話し合っても、話は平行線になることが多い

それぞれの『心』

では、次に『心』にフォーカスしてみる

①無痛分娩をしようと考えている人の『心』
・痛いのは嫌だから、無痛分娩にしたい
・夫や家族が言うこともわかるけど、私は無痛がいい
・夫や家族の言うことを聞いた方がいいんだろうか?(妻という立場を考慮しなければ、という社会的価値観も混じってますね)
・私が産むんだから私が決めてもいいじゃないか!

などなど
これも人によってさまざまな感情が出てくる

心を素因数分解する

『逃げるは恥だが役に立つ』の中で、みくりさんが心を素因数分解してみた
というシーンがある
心を素因数分解するというのは、まさにコーチングのセッションでもよく行うことだ

例えば
『夫や家族が言うこともわかるけど、私は無痛にしたい』
という心の中には
・夫と家族が言うことを汲み取りたい気持ちもある
・夫や家族に理解してほしい
という心が隠れている

さらにこれを素因数分解すると
・夫、家族を尊重したい
だったり
・夫と家族に私のことを受け止めてほしい
・私のことを否定してほしくない
という『願い』が隠れていることもある
もちろん、この素数は人それぞれだし、過去の経験をもとに作られた『願い』が出てくることもある
(たとえば子供の頃実母に自分の話を聞いてもらえなかった時のモヤモヤが残っている、など)


無痛分娩を引き止める人の心の素因数分解をすると
・私も無痛が良かった。陣痛が辛かった。
とか
・母体や赤ちゃんに無事でいてほしい
という素数が出てくるかもしれない

このような素数を伝え合うことは、平行線な話し合いを深めたり、自分や相手の気持ちを理解したりするのに、とても有効だと思う

例えば、
『無痛分娩なんて、実績が少ないんだから(社会的価値観)+やめた方がいいんじゃない?(心理)』
を素数で言い換えると
『あなたや赤ちゃんに何か起こらないか心配だな(心理)』
『いいなぁ、わたしの時にも無痛分娩があったら良かったのに(心理)』
という表現になるし

『友達もしてるし、海外では当たり前だし(社会的価値観)+私の出産なんだから私の好きに決めさせて!(心理)』
を素数で言い換えると
『わたしの気持ちに寄り添ってほしい(心理)』
『陣痛の痛みがすごく怖くて、不安。あなたはどう思う?(心理+心理の問いかけ)』
という表現になる

子供の頃に
『みんなちゃんとしてるんだから、やめなさい』
と言われたり
大人になってからも
『わたしは気にしないけど、一般的に言うと〇〇っていうから、そういうのやめた方がいいんじゃない?』
と言われたり。この『社会的価値観+心』の言い方は案外多いように思う
でもこの伝え方だと、言った方も言われた方もモヤッとすることがある

もちろん、この言い方が悪いという訳ではない

ただ、『出産』という大切な場面においては、
一度『社会的価値観』を脱ぎ
『心』を素因数分解して話すということも大切なように思う

We でもThey でも Sheでもなく『I』

社会的価値観で話をするのはとても楽だ

『みんながそう言ってる』
『常識的にはこうだ』
『ふつうはこうだ』
『あの人も言っていたけど』
『わたしは妻だし』
と伝えるのはクッションにもなるし、
自分を守る言い方のようにも思う

ただ、だからこそあえてそこで
『わたしはこう思う』と伝えることも大切だ

『社会的価値観』を盾に話すと、相手も『社会的価値観』で答えることがある。つまり平行線だ。

自分から『社会的価値観』を脱ぎ、素因数分解した『心』を伝えると、不思議と相手も『心』を伝えてくれることも多い

もちろん、自分が『心』を伝えても、相手が『社会的価値観』で返してくることもあるが
不思議なことに自分が『心』を伝えたことでスッキリとし、相手の社会的価値観を受容できることもある

『心』はあなた自身に気付いてほしくて、言葉として外に出たがっているからだ

社会的価値観のアンテナを持つ

社会的価値観のアンテナを持つと
ずいぶん楽に会話ができるようになる

自分が
『普通さ…』『みんな言ってるけどさ…』
と使った時に、社会的価値観を盾にしてる自分に気づき
『あれ?本当はわたしはどう思ってるの?』
『なんでそう思ったの?』
『本当は何を伝えたいの?』
と考えることができる

相手が
『うちの親が…』『母親っていうのはさ…』
と言った時には、相手の願いはなんだろう?と気付けて
『そっか。あなたはどう思う?』
と聞くことができる。
ここで『それは一般論でしょ』と責めないことも大切。本人は社会的価値観を使っているとは気付いていないこともある。

あなたたち家族の大切な時

出産は本当に神秘的で
とてもデリケートなものだと思う

不安を抱えていると、身体が緊張してお産が進まないことも多い

一生に何回あるか分からない出産
あなたたち家族の一生の記憶に残る出産

だからこそ
ぜひ心を素因数分解して話をし、
あなたたちだけの答えを見つけてほしい


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最後まで読んでくれた方、ありがとうございました🤱

初めて『親になる』というのは、不安が伴います
不安だからこそ、周りの『社会的価値観』に安心を求めてしまうもの

でも、母親としてのあり方も、夫婦としての在り方も、家族としての在り方も『社会的価値観』だけで考える必要はないと思います

お互いの『心』を知った上で、自分達に必要な『社会的価値観』『知識』を選択していく

そうすることで、お互いの気持ちを尊重した、
あなたたち家族だけの在り方に辿り着けると思います

心の素因数分解をしたいプレママ、ママ
是非HPも遊びにいらしてください🤱

まだオープンしていないので
今なら自由価格でセッションを受けられます


そして、今回は『無痛分娩』の話し合い方についてお伝えしたかったので
『無痛分娩』のメリットデメリットなどにはあえて深く触れていません

自分と家族の『心』に触れてから、必要な知識を取り入れてほしいという願いであえてそうしました

その上で、知識として知りたいことなどあれば、
分かる範囲でお伝えはしますので公式LINEなどからご連絡ください
ただしこれも、いち医療従事者の意見です
どの意見を信じて選ぶのかも、あなたの自由だと思います

あなたと赤ちゃん、ご家族にとって
最善な選択ができますように👶


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