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営利ビジネスからソーシャルビジネスへの転身_求められる創造性と目的思考

「なにか手伝えることがあればボランティアでやるよ!」

そんな一言がきっかけで、あれよあれよとボーダレス・ジャパンの採用責任者となった上野陽子(通称:VEMO)。

この記事は、そんな彼女のボーダレス・ジャパンとの出会いから、謎に包まれすぎて「怪しい」と検索する人もいる組織の内情を綴った忘備録である。

※本記事は5,000字オーバーの大作となっています


上野陽子(VEMO)とは何者か


上野陽子(通称:VEMO)

まず私が一体何者なのかについて触れておきたい。東京出身のブランディングをしているが、埼玉県春日部市で生まれ育った。大学を卒業したのち、キャリアの前半はリクルートや楽天で販促系の営業・営業推進に従事。キャリアの後半はアーリーステージのスタートアップ数社で新規事業立ち上げ、バックオフィスの立ち上げなどに従事してきた。その後1年の育休を経て、この4月にボーダレス・ジャパンにジョインした。最近の趣味は自家製納豆作りであり、特技は歩きながら四葉のクローバーを見つけること。そして好きな食べ物はコロッケだ。

現在マレーシアのジョホールバルに住んでいる。夫とマレーシアに法人を作り、そして今年の2月に移住した。移住後は、いくつかの仕事を業務委託でやるつもりだったが、その1ヶ月後ボーダレス・ジャパンの採用責任者になっていた。

ボーダレス・ジャパンとは何者か


ボーダレス・ジャパンとの出会いについて触れる前に、ボーダレス・ジャパンとは何者かについてもここで述べておきたい。

ボーダレス・ジャパンは「ソーシャルビジネスで世界を変える」ことを目指し、社会起業家が次々に立ち上がるエコシステムを創っている会社である。現在日本だけでなく、世界14カ国で51の事業を展開、2023年度の売上高は86億に及ぶ。事業の全てがさまざまな国で手付かずでいた社会的な問題をビジネスの力を使って解決するソーシャルビジネスである。

ソーシャルビジネスは儲からないという通説を覆し自己資本のみで成長を続けるその姿をみて、ある人はカジュアル面談でどんなからくりがあるのかと聞き、またある人はGoogleの検索窓に「ボーダレス 怪しい」と入力する。ちなみにボーダレスでは毎月全社員が集まる月次会で全社、そして各社のPL、CFだけでなく預金残高まで公開している。情報の透明性における最高の暴挙であり、できることならそれを「ボーダレス 怪しい」検索をする諸兄姉の皆様にお送りさせていただきたい。

ボーダレス・ジャパンとの出会い


そんなボーダレス・ジャパンと私の出会いは、いわゆるリファラルだった。元々、会社自体は知っていたが、社内で情報の透明性における暴挙が行われていることなど外には微塵も感じさせないほどの静けさを保っており、全くもってイメージもつかなかった。送ってもらったサイトにはカンパニオとかフェローといった聞き慣れない言葉が並んでおり、完全にエヴァンゲリオンの世界線と一致した。NERV、ゼーレ、リリスといった言葉が頭をよぎった。

ラジオパーソナリティを組んでいた元同僚

それから少しして紹介してくれた元同僚から改めてボーダレスの魅力、今仕事がいかに面白いか、そして人手がとにかく足りないことを聞いた。マレーシアの法人設立が終盤に差し掛かっていた私は、何か手伝えることあったらボランティアでやるよと伝えた。

その夜、とても久しぶりに高校時代からの想いを思い出した。高校生の頃、緒方貞子さんに憧れ、大学では人権を学ぶために法学部へ、そして国連でも働けるようにとフランス語を選択していた。就活でJICA、NGOやNPOの話を聞く中でサステナブルに社会課題の解決をするにはビジネスの力が必要だと気づき、あえて資本主義ど真ん中でビジネスの力をつける選択をし、気づけば20年の月日が経っていた。(まずいぞ、年齢がバレる。)

営利ビジネスからソーシャルビジネスへ転身しての気づき


営利ビジネスとソーシャルビジネス、求められるスキルの違いはあるのか

ここ数年、大手やメガベンチャーなどで働く友人・知人がソーシャルベンチャーに転職する動きがある。一方で、営利ビジネスとソーシャルビジネスでは働く上で求められるスキルは変わるのか、どんなキャリアの方がソーシャルビジネス領域で働き、そして活躍しているのか、それはいまいち想像がついていなかった。結論から言うと、メガベンチャーやスタートアップで求められてきたスキルとソーシャルビジネスで求められるスキルはほぼ変わらなかった。ただ一つ加えるとすると、より高い創造性が求められることが分かった。

共に収入源が事業収益のビジネスでありながらも、その目的は異なる。営利ビジネスは利益の最大化を目的とし、ソーシャルビジネスは社会課題の解決を目的とする。この目的の違いにより、構築されるビジネスモデルも異なる。営利ビジネスでは、利益を出すため効率化をして徹底的にコストをダウンする。一方ソーシャルビジネスでは、コストダウンではなく、商品やサービスに付加価値をどうつけるか、非効率を含めてどうビジネスをデザインするかを考える。つまりここで高い創造力が求められるのである。

ボーダレスのフェローたち

またどんなキャリアの方が働いているのかについてボーダレス中途入社者に関していうと、花王、リクルート、サイバーエージェント、楽天、サイバード、STORESなど大手、メガベンチャー、急成長スタートアップ出身者が多く、彼ら彼女らは能ある鷹爪剥き出し状態で活躍している。

ソーシャルビジネスへの転身で給与待遇は下がるのか

確固たる証拠はないが、ソーシャルビジネス領域は給与待遇が低いイメージは確かにあった。営利企業と違ってお金を稼ぐことが企業の最優先事項ではないからだ。正直、私自身は仕事とファイナンスを明確に分けている。仕事は自分の身銭を切ってでもやりたいこと、そしてファイナンスは自分が実現したいことをやるために必要なお金。なので必要ならば、副業したって、FXに力を入れたっていい。そんな考えだったので、それほど給与についてのこだわりはなかった。ただあまりに想像もつかなかったので、興味本位でボーダレスの年収をとある口コミサイトで調べてみた。平均年収、324万。324万、そんなバナナ!

新卒の年収が360万円なのに324万。冷静沈着で名の通っている私が五度見した。よく見ると情報がかなり古く、また様々な雇用形態の方が入り混じっていた。その後ご縁をいただきオファーをもらったが、結果は前職と同水準で拍子抜けだった。もしソーシャルビジネス領域は収入が低いというイメージで優秀な人材が来ていないのだとしたら残念なので、給与については触れておきたかった。

右から二番目:AMOMA代表 佐伯(双子のママ)

あと私にとって良かったのは、ボーダレスには仕事と子育てを両立させている女性が多かったことだ。子育て世代にも働きやすい制度や環境を謳っている企業は多くあるが、実際にそういった女性がたくさん「存在する」というのがとても心強かったし、安心だった。ちなみに皆SMSM(スーパーモンスター級ストロングマザー)であることは誤解のないように添えておく。

入社2ヶ月での衝撃体験


その後、野性のチーターも驚く速さでボーダレスに入社した私は、入社数ヶ月で度肝を抜かれるいくつかの衝撃体験をすることになる。この体験が当たり前の感覚になってしまう前に、綴っておきたい。

自社利益より社会を前進させること

先日ボーダレスの事業の一つ、バングラデシュの貧困問題を解決する革ブランド「ビジネスレザーファクトリー(通称ビジレザ)」の採用説明会を行った。そこで、たぐっさん(代表:田口)ときゅーさん(事業代表:齊藤)は大きな方針変更の話をした。それは、ビジレザをみんなが知っている日本一の「エシカルブランド」にする、というものだった。

先月開催したビジレザの採用説明会

これまでビジレザでは商品の購入が社会貢献に繋がっていることをあえて顧客に伝えず、プロダクトやサービスそのものに魅力を感じてもらい商品を購入いただいていた。なぜなら社会貢献目的の購入は、その後の継続購入に繋がりにくいと事業視点で判断したからだ。しかし今後世の中に環境汚染に加担しないエシカルな消費が広がっていくためには、エシカルな選択肢が並んでいる必要がある、そのためにはエシカルなプロダクトであることを伝えた上でそれでもその商品を選択肢に入れてもらうこと、そういったプレイヤーが増えることが重要だと考えた。

だからこそ自社利益といった事業的な視点を超えて、社会を前進させるためにボーダレスがその役割を担い、みんなが知っている日本一の「エシカルブランド」になることを掲げた。私は説明会の司会であったにも関わらず思わず席を立ち、スタンディングオベーションでブラボー!と叫んでしまいそうになったが役割を鑑み我慢した。

そんなボーダレスには、企業連携の話が連日舞い込んでくる。利益を追求することは個々の競争になる、でもどうやって社会を前進できるかを考えた時、手を組みたい相手になっているゆえなのだろう。

やってみて、修正

これまでトライアンドエラーを意味するバリューを掲げるいくつかの企業で働いてきたが、正直ボーダレスほどトライアンドエラーを繰り返す企業を正直見たことがない。そもそもソーシャルビジネス自体が、言葉を変えれば社会実験なのでトライアンドエラーを繰り返すことは当たり前なのかもしれない。

一つ一つの事業で解決したい課題は決してブレないが、ビジネスモデルがうまくいかなければどんどん変えていく。よくボーダレスで立ち上がる新規事業はどれくらい継続できているのかと聞かれる。これまでボーダレスでは60近い事業が立ち上がり、現在50事業以上が継続をしている。異常な数字だと思った。ビジネスモデルが大きく変わってきた事業も多いが、解決したいテーマへのとてつもなく強い思いと執念をもって、どれだけピボットしてもトライアンドエラーを諦めないのだ。トライアンドエラーと言いながら道半ばで諦めていた人たちにボーダレスの爪の垢でも飲んで出直すべきだと言おうとしたが、ボーダレスの爪ってなんだ。

目的思考のメンバー

よく採用説明会や面接でボーダレスで働いている方はどんな方ですかと聞かれる。私も他のフェローたちも上手く伝える言葉が見つからず、「みんな、いいひとです!」と小学1年生のような返しを揃ってしていた。

私はこれを何とか言葉にしたいと三日三晩これでもかと寝続けて考えた結果、ボーダレスのフェローたちは「目的思考が強い」という結論に達した。そしてその目的は共通しているのだ。自分や自分の組織の損得ではなく、社会をどうしたらよくできるかを常に考え、その軸で全ての判断をしている。

例えば、先日起業家たちにインターンシップで約3ヶ月間、毎週3人の学生の壁打ちをしてほしいという正直何のメリットもない狂気の沙汰のような依頼をしたが、社会のために何かしたいという学生のためになるならとみな快諾だった。私が大手の営利企業にいた時には、営業は売上を追い、企画は利益率を追い、お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんは川へ洗濯に、あれ、みんな違う方向を向いている「うわあああああああ」みたいな状況になることが時折あったが、ボーダレスではそういったことがない。

ボーダレスの起業家たち

そんな話をするとボーダレスのフェローたちを美しい湖から布を纏って現れた聖人君子のように捉える方もいるが、それもまた違う。社会をよくするという目的を実現するために必要であれば言葉は選んだ上だが、お互い率直なフィードバックはする。ガンジーでも逃げ出したくなり、思わず腰を浮かすレベルだ。でもその矢印は真っ直ぐにコトに向かい、人に向かうことがない。というかそんな暇もなく、群馬の赤城おろしを超えるほどにカラッとしているのだ。

たぐっさんという存在

もはやここまで読んでくれている稀有な方が何人いるか想像もつかないが、最後にスペシャルエディションとしてたぐっさんについて触れておきたい。初対面はZoomでの面談だった。Zoom画面を突き破るほどの猛烈な覇気をこれでもかと垂れ流してくる人物を想像していたが、そこに現れたたぐっさんは良い意味で肩の力が抜けており、とても柔らかな印象だった。一方で発せられる言葉一つ一つには確かな重みがあり、その言葉の裏にとてつもない数の思考や試行があったであろうことを感じたし、そしてそこには確かな覚悟のようなものと何とも言えないワクワク感があった。

入社後は、彼の人望の厚さとフェローとの信頼関係の強さに何度となく驚かされることになる。特に、たぐっさんがとあるポジションで人手が足りず現メンバーの帰りが遅くなっている、一刻も早く採用して楽にしてあげたいので求人のシェアをお願いしたいとSlackに投稿した後、フェローのSNS拡散力はすごかった。

最後にたぐっさんをキングダムの武将に例えて終えようと思ったが、あまりに時間がかかりすぎてあえなく断念した。たぐっさんほど事業の立ち上げに長けた人物をこれまで見たことがなく、そういった面では知略型であるように思うが、大局での判断は本能型のようにも思う。これは極めて難しい。ぜひここについては、フェローたちと語り明かしたい。ちなみに見た目は、蒙武だ。

おわりに


入社エントリーは2500文字〜3000文字を目安にと言われていたが、既に5500文字を超えている。書きすぎている、完全に書きすぎてしまった。でもいい。怪しいとまで言わしめたボーダレスの内部のことが少しでも伝わってくれていたら本望だ。そしてこれを読んでもなおボーダレスに興味があるという方はカジュアル面談でさらなる不思議の世界へお連れしたい。

採用情報


現在、ボーダレスでは世界14カ国で50以上のソーシャルビジネスを展開しており、新規事業開発やマーケティング・クリエイティブなど複数ポジションで採用強化中です。

カジュアル面談も受け付けておりますので、お気軽にご連絡ください。

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TOPICS
ボーダレス・ジャパン、社会課題に取り組む学生を次世代リーダーに認定する「YOUTH FELLOW」制度を開始
Text: Yoko Ueno
Edit:Mikiko Mine

※最後までお読みいただきありがとうございます。
本記事は、あくまで個人の見解です。


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