見出し画像

ボーダレスが本社移転した理由。目指すはソーシャルグッドな街づくり

コロナ禍で注目されたリスク分散や働き方の変化などから、本社機能を首都圏から地方へ移転する動き。今、その動きは逆戻りしている。

総務省が発表した2023年人口移動報告によると、東京都では転入者が転出者を上回る「転入超過」が2年連続で起こっているそうだ。改めて浮き彫りとなっている東京一極集中。

そんな中、ボーダレスがなぜこのタイミングで福岡に本社を構えることにしたのか、代表の田口に話を聞いた。


逆戻りする東京一極集中、今こそ地方に本社を構える理由

東京一極集中へ逆戻りしつつある日本の社会。ボーダレスが福岡に本社を移転する背景はどこにあるのだろうか。

昔から本社は地方に構えたいと思っていました。人口が減少する中、東京一極集中が加速すれば、今まで以上に地方が衰退し、暮らし方の多様性が失われることを危惧していたのです。僕は2012年に地元である福岡に戻ってきましたが、九州を離れた14年で地方から出てくる若者たちの現実を目の当たりにしていたんです。

『本当は地元に帰りたいけど、仕事がない』

コロナ禍で、働き方は多様化しました。リモートワークも進み、地方移住も少しばかり増えているように感じます。しかし、東京にある会社で地方から働くのではなく、地方に良い会社をつくり、地方の雇用を創出することも大切です。これまで一貫して社会の課題を解決するためのビジネスを生み出し、希望づくりに取り組んできたボーダレスが意志を持って本社を地方に移すことは、微力ながら全く意味のないことではないと考えました。」

地方への思いがある一方で、本社は東京都新宿区に置いていた。そこには、創業時からボーダレスを支え続けてくれている税理士の中川誠さんとの深い関係があった。

「東京に本社を置いていた主な理由は、税理士である中川さんへの恩返しをしたいという気持ちからでした。中川さんは、ボーダレスを立ち上げて間もない時に、2年間無償で支援をしてくださいました。会社も軌道に乗っていなかった頃だったので、志に共感し、差し伸べてくださる手が本当にありがたかったです。幾多のチャレンジに力を貸してくださった中川さんとの業務を円滑に進めるため、僕の希望で本社は東京に置いていました

しかし、コロナ禍で経理チームの在宅勤務と税理士業務自体のデジタル化が進んだことで、本社を移転しても中川さんの手間を取らせる心配がなくなったことは、大きな後押しになりました。」

地方の新たな役割、より良い社会をつくる仲間の存在

そして、ついにボーダレスは、2024年1月に正式に本社を東京から福岡へと移す。今回の本社移転は、企業誘致のような形ではない。地方に本社を構えたいと考えてきた田口は、日本の中枢「東京」とは異なる地方の新たな役割について、こう述べる。

「僕は、世界をよくしていくロールモデルが必要だと思っています。他の自治体が参考にしたくなるような、何か象徴的な存在という意味でのロールモデルです。そのポテンシャルが福岡にはある気がしています。

スタートアップの世界では、経済的成長が良しとされ、どうしてもIPOや時価総額の話になりやすい。しかし、同時に経済的成長を求めすぎた結果として生じた環境問題や労働問題といった課題を打破していく存在も必要だと思います。

注目されつつあるソーシャルの文脈で考えた時、福岡の起業家たちはある種の存在感がある。社会をどうしていこうか、地域をどうしていこうか、環境をよくしていこうかなど事業と暮らしを一緒に考えている人が多いのです。深い間柄でもある、「地球とつながるよろこび。」を事業として具体化し、多くの人々へ届けることに挑戦しているYAMAP社の春山さんや世界史を中心とした人文知の価値を伝え、人類にメタ認知のきっかけを提供しているCOTEN社の深井さんとは、よく一緒にこの社会をどうしていこうかと定期的に語り合っています。まさに、事業を通してより良い社会をつくっていく仲間感がありますね。

アメリカでは、最先端のテックといえばサンフランシスコ・ベイエリア(シリコンバレー)、金融や広告はニューヨーク、エンターテイメントはロサンゼルスと言われるように、それぞれの都市に特徴がある。日本は東京一極集中のままでいいのか。僕たちが、どんなロールモデルをつくっていくべきか議論と挑戦をする時がきている気がするのです。」

福岡をソーシャルグッドな街づくりのロールモデルへ

それらを議論するにあたって欠かせないのが自治体や教育機関との協働だ。2011年「ソーシャル・ビジネス・フォーラム・アジアin 福岡」において、福岡市はアジア初の「ソーシャル・ビジネス・シティ」を提唱している。こうした背景もあり、今後は一定の規模感でソーシャルビジネスが生まれる環境を醸成していく必要があるのではないかと田口は語る。

「企業や自治体、教育機関が協力して地域を良くしていくことに取り組めば、ITの象徴であるシリコンバレーのように、次のビジネスのあり方、ネクストスタンダードを世界に提示していく街としての代名詞になりうると思っています。福岡発の「ソーシャルグッドシティ」のような事例を生み出せれば、他の地域にも波及し、地方に多くの社会起業家が生まれる機会が創出されると思います。

また、社会人だけでなく学生たちが地域の社会起業家と接点を持てるフレームワークをつくることも重要です。これまで、就職する前の大学生に目を向けてきましたが、最近は高校生のうちから「起業」の選択肢に触れられる機会が必要なのではと社内で話しています。学生の皆さんに社会起業家と交流してもらうことで、ビジネスの面白さを感じてもらえる。地元で働きたいと思える会社と出会ってもらえる。最終的に、地方で起業やソーシャルビジネスに挑戦する人が増えていく仕組みづくりを考えていきたいですね。」

地方における学生と社会人の接点、魅力的な会社づくりと「場」の提供。

福岡という場所で社会起業が生まれる仕組みに、本社を構える1社として象徴的なトライを重ねていく。すでに田口の頭の中は、アイデアで溢れている。

採用情報

現在、ボーダレスでは世界13カ国で51のソーシャルビジネスを展開しており、新規事業開発やマーケティング・クリエイティブなど複数ポジションで採用強化中です。

カジュアル面談も受け付けておりますので、お気軽にご連絡ください。

●キャリア採用
●新卒採用(新規事業開発コース)
●インターンシップ

◇社会起業を目指す方はこちらをご覧ください
◇ボーダレスの最新情報をメルマガで受け取る

-LINEで説明会や新着求人情報も発信中です!-
●新卒向けLINE
●社会人向けLINE

TOPICS
ボーダレス・ジャパン、福岡・天神「ソーシャルベンチャーPARK」へ本社移転のお知らせ
Text: Kumi Sakata
Edit: Mikiko Mine


この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?