マガジンのカバー画像

散文とか短編小説とか

128
僕の回りくどい手紙のような散文
運営しているクリエイター

#エッセイ

対立と調和─思考実験:真空状態と運命の関係性について

要旨本エッセイは、偶発性と不確定性に着目した数理モデルと文学的思索を織り交ぜながら、人間…

卍丸の本棚
7か月前
7

人間存在の複雑性 補足

章立て、加筆致しました。 難解で抽象度が高すぎるきらいがあり、一般読者層にはハードルが高…

卍丸の本棚
7か月前
6

人間存在の複雑性──バタイユの視点から

0.要旨 『人間存在の複雑性』をテーマに、本エッセイは人間の存在の意味、対立と調和、内面的…

卍丸の本棚
7か月前
26

77 x 3の求め方

77 x 3の求め方 7 x 3=21 2 + 1=3 ∴77 x 3 = 231 複素数の場合はどうか?──複素数の場合な…

卍丸の本棚
8か月前
6

Museu Picasso──バルセロナのピカソ美術館

 スペインの偉大な画家の絵は、どれも無言のまま語りかけてくる──晴れたり曇ったりするなか…

卍丸の本棚
11か月前
41

風の色彩 #シロクマ文芸部

秋桜と彼岸花が、いのころ草のひろがる草原に、ぽつりぽつりと群生し、それぞれに、感情を持た…

32

ラフマニノフ ピアノ協奏曲第二番・第二楽章

広大な大地の地平線から夕陽が差し込んでくるような美しく雄大な旋律──ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第二番第二楽章が始まり、妻が肩を震わせて泣き始めた。つられて僕も泣いたミハイル・プレトニョフ氏のラフマニノフ・ピアノ協奏曲全曲リサイタルの第一夜。 先日、妻の恩師から東京オペラシティコンサートホールでの第一夜と第二夜のS席を二枚ずつ譲っていただいたコンサートでの出来事である。

手紙──優しい夕べに

彼女が「詩を作ったよ」と言ってシューマンの幻想小曲『夕べに』を添えて詩を送ってきてくれた…

13

ミラボー橋のふたり

星々たちが姿を消し緑濃く霧雨が降る真夜中、深い艶のある朗読で僕は目を覚ました───音のす…

18

春子の憂鬱

春樹が六年ぶりに長編を書いた───しかも私のもっとも好きな作品のまるで建て増しのような─…

38

ケーブル・チェスト・フライの煩悩

腐りかけたような茶色と薄紅色の花びらをわざと踏みながら久しぶりにジムへと歩いていた。 邪…

13

あーちゃんと海辺のリス

粉っぽくて薄いベールを被ったような空気を時々海風が揺らす。 アスファルトの上ではねられた…

6

系の消失

宙ばかりを見上げていた。 桜の木の枝に蕾が固くなっているのをみつけて、その先に一段と紅く…

13

自分自身についてではなく、世界や人物について書く─ミラン・クンデラ

最近よく思うのは、本の書評や感想ってなかなか難しいものがある、ということ。 僕は、他人の感想を見るのが好きで、自分の気が付かない視点から深く掘り下げられていると面白いな、と思って読む。 そうしたものは、書き手の教養的なバックボーンも反映され、特に、須賀敦子さんの書評やエッセイは目を見張るものがある。 体系付けられた確かな知識と豊かな経験、世界観の奥行きは、ヨーロッパ各国での留学と生活、そこでのひととの知的交流、そして彼女の場合、クリスチャンとしての信仰心からくるであろう芯の