竹二郎の物語③ 戦後77年編
竹二郎と淑子が亡くなり、8年近くが経過していた。
台風の影響で海沿いの街は湿気が強かった。それでも雨のお陰でほんの少し暑さは柔らかくなってもいた。
2022年8月18日。
竹二郎の息子、武文は1番若い孫の大と作業場で木材の加工をしていた。
「そういえばさ、この前聞いたり確認したひいじいちゃんの話を文章にしてみたんよね。じいちゃんちょっと、見てくれる?」
午前中の休憩のとき、武文にiPhoneの画面を見せてきた大。
武文は笑いながら、孫の書いた、父親の物語を読み始めた。