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「あるべきBI」への道筋

不思議なのは、どこのメディアも「5万円追加給付」の話しかしないこと。要望書の趣旨がちゃんと伝わっていないようです。

第二次補正予算の予備費を使い切るために、まず年度内に一律5万円を追加給付。そして第三次補正予算を編成し、そこから定額給付金を継続する。つまり5万円で終わらず、もう一度「一律10万円支給」をやろうということ。菅総理のブレーンである竹中さんの提唱する「ベーシック・インカム」の試験的な意味合いも感じ取れます。だから総理も「そういう方向で頑張る」と仰って要望書を受け取ったのでしょう。

「財源がない」「一律ではなく困っている人に」という反論は当然出て来るでしょう。もう財務省から出ているかもしれません。前者に関しては、そもそも本当にないのならこのような要望書を総理が肯定的なコメントと共に受け取るはずもない、と考えます。できなくはない。だったらぜひ真剣に検討して欲しい。まずは9600万から始めませんか、と言いたかったです。

後者は前回と一緒で、単に払いたくないことの言い訳。困っている人が助けを求めにくい、なかなかお金をもらえない複雑で細かくて意地悪なシステムを作っているのが、他ならぬ日本の役所です。日本には生活保護の受給資格者が1000万人いるのに、実際に給付を認められているのは200万人しかいない、というデータがあります(興味のある方は「AIとBIはいかに人間を変えるのか」という本を読んでみてください。著者は波頭亮氏、版元は幻冬舎です)。

一律に速やかに支給すればいいのです。困っていない人は困っている人のために使うか、寄付でもすればいい。困っている人はすぐにでも欲しいのですから、そちらの都合を優先するのは当たり前。つまり「一律ではなく困っている人のために」という理屈は、実は困っている人のためになっていないのです。そしてこの考え方を推奨する人は、おそらく自分自身が生活に困っていない。だから本当に困っている人の気持ちがわからない。そう断言していいと思います。

例の学術会議云々から話題を逸らせるためという声もありますが、それはまた別の話。是々非々でやってください。ただ、もし安保法制に反対した学者が外されたのだとしても、イコール学問の自由の侵害にはならないのでは? 職を奪われたわけではないし、本や論文だって自由に書いて発表できる。むしろこれを売りにできるのでは? そもそもこの会議を税金で運営する理由は何なのでしょうか。会員の名簿を見ると大半が大学教授とか名誉教授、副学長、研究所所長など。お金はないけど優秀な若い研究者を税金で支援するとかならわかりますが。先の戦争の反省を踏まえて? なるほど。でもそれなら本当に日本を侵略戦争への加担から守るために必要な「立憲的改憲」に賛同している会員があの中に何人いらっしゃるのでしょうか。

とりあえず5万円の追加給付が実現するかどうか。これが現実になれば、またひとつ「あるべき形のベーシック・インカム」へ至る道筋が見えてきます。気長に待ちましょう。


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