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好きな映画を2つ①(邦画編)

すっかり忘れていたのですが、私、どうやらけっこう映画が好きでした。「洋画編」みたいにベスト3をやろうと思いましたが、どうしても3つに絞ることができず、そこで「あれれ」と気づきました。2つずつ何回かに分けて書いていきます。たぶん。

1、ラヂオの時間

ずいぶん前に衛星放送で途中から見たのが最初です。メチャメチャ面白くてそのままDVDを購入し、何度も見返しています。舞台はごく狭い空間。なのに壮大でまさにラヂオドラマの世界観です。汗と涙と不条理、創作意欲と企業論理のせめぎ合い。プロフェッショナルの矜持及びそれと背中合わせの面倒臭さ。そしてクリエイティブなんて言葉では語り尽くせぬ、追い詰められた作り手のすごみを味わえます。クセの強いキャラクターも然ることながら、とにかく着眼点とストーリーが素晴らしい。

三谷さんといえば私の中では「古畑任三郎」「振り返れば奴がいる」「王様のレストラン」などドラマの印象が強いのですが、どれも全く異なるテイストで、改めて引き出しの多い作家だなあと。ところで「新撰組!」で香取氏を近藤に、山本氏を土方にキャスティングしたのはどなたでしょうか。完璧です。江口氏の龍馬もよかった。最期の描き方も含めて。ヒール的な存在だった芹沢鴨や山南敬助の印象もあの作品で変わりましたよね。山南さん、土方くんに倍返しだ!(言いたかっただけ)三谷さんはやはり目のつけどころと発想の柔らかさが秀逸。「みんなは普通にそう思って疑わないけど、こういう見方もできるよね」と教えてもらった気がします。

2、カメラを止めるな!

これもすごかった。大胆な発想とそれを形にする過程の作り込み、なにより細部への目の行き届き加減に感服しました。

知名度の高い役者や人気アイドル、売れっ子の脚本家などを使って大々的に売り出す映画が悪いとは思いません。商売ですから。でも見る側にとって重要なのは、ただ面白いか面白くないか。たとえば興行収益が500億円に達すれば商売としては大成功でしょう。ところがそういう作品がすべからく面白いとは限らない。たとえ全世界でヒットして大きな賞を獲っていたとしても、つまらないものはつまらない。私の場合、そこで線引きになるのは「発想及びそれを形にする手法のあり方」です。

お金と時間が十二分に足りていればできることは増えますが、新しい発想は「何かが足りない」状況から生まれることが多いように思えます。お金がなくてあれはできない、もしくは技術が追いついていない、だったらこれで代用できないか、こういう方法もあるんじゃないかと。ビートルズが「リボルバー」でテープの逆回転を取り入れ、円谷プロが「ウルトラマン」で海を表現するのに寒天を用いたことを思い出します。ゴダールのデビュー作「勝手にしやがれ」も低予算ゆえのハンディカメラ&街頭撮影&即興演出のおかげで生まれた傑作ですよね。この映画にも同じ匂いを感じました。

ところで「一定の評価を得ているのに、あえて低予算で作品を撮り続ける監督」っていらっしゃるのでしょうか? 詳しくないので、もしいたら教えてくださいませ。


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