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現時点における今年のG1ベストバウト

いよいよ今日から最後の両国三連戦です。
G1の決勝戦ではなく最終公式戦を生で見るのが好きで、ほぼ毎年会場に足を運んでいます。いちばん印象に残っているのは、2015年の中邑真輔vsオカダカズチカです。当時、真輔選手が体調不良で(ひじを擦りむいたことが原因の感染症で数日間欠場し、公式戦もひとつ不戦敗になった)さすがに決勝まで行くのは無理だろう、勝って欲しいけど無理しないでくれよとハラハラしていました(結果的にあれが真輔選手の現時点における最後のG1公式戦になっています)。
次点は2006年の永田裕志vs金本浩二。これも結局はジュニアの金本選手が負けるだろうと思っていました。もうひとつの次点が2003年の蝶野正洋vs秋山準。こちらは結果こそ予想通りでしたが、内容が予想外でした。すでにピークを過ぎた蝶野選手が全盛期の秋山選手に太刀打ちできるわけないと思っていたのです。

いずれの試合も会場は両国国技館でした。やはりG1といえば両国ですね。

心に残るプロレスほどいい意味でファンの予想を裏切ります。超えてきます。今回のG1でそれが最も顕著だった試合はどれか? ひとつしかありません。10月10日にAブロックでおこなわれた飯伏幸太vs鈴木みのるです。何度も見返しました。開始から数分がとにかく衝撃で。短い時間とはいえ、まさか2020年の新日本プロレスを見て1993年のパンクラスを連想させられるとは。

言葉は悪いですけど、私の目にはプロレスラー同士のプロレスではなく「グラウンドを多少かじった超一流キックボクサーとプロレス上がりで頂点を取った総合格闘家のマッチアップ」と映りました。しかも最後まで飛び技や反則攻撃、ハイスパートといった現代プロレスの主要素が見事に削ぎ落とされていました。あの不自然にスイングしない、いい試合をしようじゃなくてただ目の前の相手を倒してやろうというゴツゴツした歪な空気。あれが新鮮で心地良かったのです。

試合を見終わって「もしいまの飯伏とキング・オブ・パンクラシスト時代のみのるが初期のパンクラスルールでやっていたら」と妄想に耽りました。ずっと純プロレスしか見ていないファンには無理だろうという謎の優越感を抱きながら(と偉そうに書きつつ、実は私もパンクラスを生で見たことはありません。会場で見たことのある総合格闘技は修斗だけです)。飯伏選手が打撃でKOか、あるいはみのる選手がヒールホールドか膝十字固めで勝つか。みのる選手が94年のトーナメントでジェイソン・デルーシアを高速タップさせた外側から極めるヒールホールドを思い出しました。あ、あれも両国か。すごいな。

今年の最終公式戦であれ以上のプロレスが見られることを期待しています。あ、そういえば先日の試合で石井選手が一瞬だけチキンウイング・フェースロックを使いましたよね。素晴らしい。またいい場面でお願いします。





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