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【好きと向き合う事の楽しさ・苦しさ】が巧妙に描かれた漫画ブルーピリオド

芸術の秋、読書の秋その二つがピッタリと当てはまった
漫画ブルーピリオドについて紹介します。

ストーリー

成績優秀かつスクールカースト上位の高校生、矢口八虎。
一見、何でも持っているような彼も心から熱中できるものがなく、虚無感を感じ日々を過ごす。そんな中一枚の絵に心を奪われ、倍率60倍という超難問大学の東京藝術大学を目指す

個人的に思う本作の魅力

①登場人物の心の葛藤に共感できる。

芸術は誰かと競争しているわけではない為、常に自分との闘いである。
一方、スポーツは勝ち負けがはっきりしている為、わりかし構図がはっきりしている。

大学受験なので作品に対して優劣をつけて合否を決める。
だが、不合格だからと言って一概に合格者より劣っているとも限らない。

そんな正解のない世界で主人公八虎をはじめライバル達も常に葛藤している。

また、そのライバル達もそれぞれが違う下記のようなバックボーンを持ち人間臭くとても魅力的である。

・周りがなんと言ようと自分の好きを貫く女装男子
・藝大首席合格である天才の姉を持ち、その呪縛にとらわれる者
・コミュ症で友達がいなく自分には絵しかないとおもっている天才


登場人物、皆苦しみながら一歩一歩前に進んでいる様に勇気づけられる。

②作中に出てくる数々の名言

本作品は登場人物達のセリフにとても力を感じる。
その中で特に好きなセリフを抜粋。

「後悔はないですよ、反省は死ぬほどあるけど」

「才能なんかないよ。絵のことを考えてる時間が、他の人より多いだけ」

「マジメさに価値があるのは義務教育までよ」

自分が「普通」だと思っていることは案外「その人らしさ」だったりするのよ。でも自分にとっての「普通」はみんなにとっても「普通」だと思っちゃうから一人でそれに気づけないのよ」

「好きな事をやるっていつでも楽しいって意味じゃないよ」

特に最後の「好きな事をやるっていつでも楽しいって意味じゃないよ」
は、過去に自分の好きを追いかけた事がある人にとっては共感できるのではないか。

確かに好きな事をやっている人は、幸せなんだろと漠然と思ってしまう。

ただ、好きな事だからこそ上手くいかなかったり、誰かに負けた時の悔しさ、やるせなさは非常に大きい。
ある意味、逃げ道がない精神状況になるのではないか。

順風満帆に生きている人間に面白いものなんて作れない。
また、言葉の重みも感じない。

死にたくなるくらい、自分の情けなさや弱さと向き合っているからこそ心に刺さるような言葉が出てくる。

最後に


作者が東京藝術大学出身で、自身の経験談?から物語を描いているので内容がとてもリアルです。

芸術に携わってきた人でしたら「あ~わかる、わかる」となりますし、全然
その道を通ってこなかった人にとっては「こんな世界もあるんだー」と目から鱗が落ちるんではないでしょうか。

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